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星を護る者  作者: 花鹿
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20/20

故郷は彼方の星

ほぉ、ジェニス開発陣もたまには良い仕事するな? ルリ専用の特製スクーター型ビーグル――その名も、『VS-07V スパーク・スクーター』だ!」


 ルリ専用スクーター型ビーグル:主要性能設定


 ——機動性(ホバー&ホイール可変機構)

 アスファルトの道路はもちろん、ビルの壁面や水面だってスイスイ走れる万能仕様。市街地の入り組んだ路地裏でも、小回り抜群で敵を翻弄できる。短時間なら飛行も可能。


 ——武装(小型エーテルキャノン) 

 ハンドル周りに内蔵された小型の魔力火器。巨大なボスに挑む前の雑魚掃除や、動きを封じる足止めには十分すぎる火力だな。


 ——防御・展開機能(ライト・バリアフィールド)

 車体展開と同時に、微弱なエネルギーシールドを展開。不意打ちの攻撃を受けても安心。


 ——通信・ナビゲーション(バロン専用リンク回路)

 これが一番大事な機能だな! ボクの美声と的確なアドバイスが、リアルタイムでルリの脳内に直結する特等席仕様。実況解説付きの安全ドライブ。


「どう? なかなかにテンション上がるだろ?

 さあ、その相棒にまたがって、悪徳どもをまとめてブッ飛ばしに行くぞ――アクセル全開、頼んだぞ、ルリ!


———某所・パトロール中のルリ


 潮風を切り裂きながら、スパーク・スクーターが海岸線の舗装路を軽快に駆け抜ける。


 小さな体で、ちょこんとシートに座るルリの姿はなんとも微笑ましい。


「ふんふんふーん♪ 海風が気持ちいい……っと!?」


 不意に脳内にバロンの声が響く。


「そこ右、なにかいる」


「何かって?」


「行ってみないとわからん」


 それだけ言うと、バロンの声が途絶える。


「ちょ、まっ……また意味深な事言いやがって」


 文句を言いながらも、指示通りにハンドルを右にきりアスファルト小道を抜ける。


 そうして辿り着いたのは、すっかり寂れ廃棄された港だった。錆びついたクレーン、ガタのきた倉庫、そして打ち寄せる波が冷たくコンクリートを叩く音だけの寂しい空間。


「ここに何が‥‥ん?」


 その防波堤の先端に一人の少年が、ぽつんと佇んでいた。高校生ぐらいか?


 冷たい海風が彼の制服の裾を激しく揺らしている。

 けれど、少年は海面など見ていない。


 曇った空、そのはるか彼方を見上げていた。


「あれ? あんなとこに学生がいる‥‥サボりか?」


 スクーターのエンジン音を切り、俺は近づいて行く。


「やあ、少年。イジメにでもあったのか?」


 少年は無表情のまま振り返ると‥‥一瞬、目が青く光った。それを目にした時、俺の中の何かが反応した。


「今日は星が見えない‥‥」


「お前何者だ?」

 

 少年、空を指す。


「此処ではない所から来た」


「お前、異星人なのか?」


 俺は無意識のうちに、腰の銃へ手を伸ばしていた。


「僕は……故郷の星に帰りたいだけだ」


「故郷の星? それは何処にある?」


「此処から、20万光年ほど先にある惑星だ」



 ——ジェニスベース


「というわけで、迷子の異星人を保護しました!」


 胸を張るルリが、ジェニスベースへ連れてきたのは自称・異星人の少年だった。


 しかし、黒髪黒目でどこからどう見ても、ごく普通の日本人の少年にしか見えない。


「は? 異星人?」


 張りつめた司令室に、拍子抜けしたような沈黙が流れる。オペレーターの面々は顔を見合わせ、モニター越しに視線を送る隊員のひとりは「ルリちゃんの冗談か?」と肩をすくめた。


 急いで駆けつけてきた警備班も、拍子抜けしたように銃口を下げ、困惑した表情で首をひねっている。


 隊長の織田も、さすがに判断に困って腕を組んだ。


「とりあえず……ラボリーダーの湯川さんに任せるか」


 当の少年はといえば、周囲のざわつきなど意に介さず、相変わらずぼんやりしている。

 何を考えているのかさっぱり分からない。


「ルリちゃん、本気で言ってるの? この子が異星人だなんて……」


 あまりの落差に戸惑いを隠せない玲が、不安そうにルリの袖を小さく引っ張る。



「うーん……だが、バイオセンサーの波形に見たことのない微弱なノイズが混ざってはいるな。ただの人間じゃないのは確かだ」


 端末のデータを食い入るように分析していた湯川がそう呟くと、それまで半信半疑だったメンバーたちの間に、一転して緊張したざわめきが広がった。

次回予告

迷子の宇宙人?を保護したルリ達。

彼は何をしに地球に来たのか?例の通報騒ぎに関係あるのか?

次回「異星人の贈り物」

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