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星を護る者  作者: 花鹿
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始まりの時

「地球は狙われている」


もはや、ありふれた映画のワンシーンか・・・

あるいは安っぽいSF小説の帯に書かれた陳腐とも言えるそのセリフが、まさか現実のものとなろうとは,

人類の誰もが、その瞬間まで想像していなかった。


世界中の観測網が異常を捉えたのは、初秋の静かな夜のことだった。

月 orbit(軌道)のわずか外側、静止衛星のさらに彼方。

突如として何の前触れもなく、空間が歪んだ。無数の巨大な影が、まるで夜空にぽっかりと開いた黒い大穴から吐き出されるように現れたのだ。


奴らは来た。

地球を侵略しに、星の彼方から。

 

 唐突の自己紹介すまん。

 俺の名前は、九条孝太郎。

 年齢は45歳。

 疲れ切ったサラリーマンだ。


 どれくらい疲れ切っているかと言うと・・・サービス残業を 毎月50時間ほど繰り返している。

 いわゆる、ブラック企業に勤める社畜だw


 その俺は何かに導かれるように暗い山道を歩いていた。


 会社からの退勤の後、ここへ来るまでの記憶が全くない。

 気がついたらここにいた。


 深夜の山道は真っ暗だ。


 街灯の光はもちろん月明かりすら木々の隙間に遮られ、足元すらおぼつかないはずだった。


 それなのに、何故か山頂に行かなければならない気がする。

 理由などない。

 ただ、本能の奥底から湧き上がる衝動に突き動かされている。


 驚くべきことに日頃のデスクワークで酷く衰えたはずの運動不足の俺が呼吸も乱さず、鍛え抜かれたアスリートのように動けている。


 身体は羽のように軽く、闇夜を滑るように進んでいった。


 山頂に着いた。


 当たり前だが、真っ暗だ。

 吹き抜ける夜風が冷たく、自身の息づかいだけが静寂を切り裂いている。


 ここに何があるのだろう?


 見渡す限りの闇。


 街の明かりすら見えない。

 山頂の開けた広場の中央に立ち尽くし、俺はただ立ち尽くした。


 そこで、何かを見た気がするが・・・


 直後、意識がプツリと暗転し途切れた。


 再び気が付いた時には、俺は自宅のベッドの上にいた。

 スマホの画面を見ると、退勤時刻から丸一日が経過している。


 どうやって戻ってきた?夢だったのか? それとも?


 そして、あの場所で俺は何を見たというのか?


 混乱しながらも布団から這い出し、顔を洗おうと洗面所へ向かおうとしたその時だった。


「あれ? え?」


 なんだか視点がいつもより低い。

 床がやけに近く感じる。


 何気なく発した声を出して我が耳を疑った。

 妙に高い可愛らしい少女の声。


 慌てて壁にかかった姿見の前に駆け寄る。


 そこに映っていたのは、見慣れた疲れ切ったサラリーマンの顔ではなかった。


 青灰色(または淡い青紫)のツインテール。

 前髪は切り揃えられており、丸く大きい金色の瞳が印象的。

 肌の色は、雪のように白い色白。

 中学生くらいの美少女だった。


 恐る恐る右手を上げてみると、鏡の中の美少女も全く同じタイミングでパッと右手を上げる。

 つねってみれば、もちもちとした頬には確かな痛みがあった。


 あー、間違いない。


 これ、アレだ。


 昔よく読んでいた、ライトノベルの導入で主人公が巻き込まれる魂の入れ替わりか?

 あるいは見知らぬ肉体への転生ってやつじゃないのか?


 鏡の前で頭を抱えていたその時だった。


 ――ズズーン!!


 マグニチュード数クラスの地震の如き猛烈な揺れが、自宅のマンションを激しく突き上げた。


 家具が軋み、インテリアの小物が床へと転げ落ちる。


「うわっ!なんだっ!?」


 パニックに陥りながらも、慌ててリビングの窓際に寄り外の様子をうかがう。


 夜空を焦がすような赤熱した光源が、街の上空にあった。


 同時刻、街中に設置された防災スピーカー。

 そして持っていたスマホの緊急速報が、けたたましいアラート音とともに鳴り響く。


『――【緊急警報】―—」


 それは地球防衛組織「ジェニス」からのものだった。


「K地区に正体不明の飛行物体が降下中!! 全市民は速やかに地下シェルターへ避難せよ。繰り返す、K地区に正体不明の飛行物体が降下中――!」



「思ったより早かったなぁ」


 突然、背後から呟かれた声に全身の血が凍りついた。


 ――今、俺しか居ないはずの部屋で聞こえたよな?

 誰だ? 泥棒か、それとも不法侵入者か。慌てて身構えようとする。


 声のする方に恐る恐る目を向けると、そこにいたのは人間ではなかった。


 ベッドの端にちょこんと座っていたのは動くぬいぐるみ? のような、この世のものとは思えない不思議な生物だった。


 丸っこい体型に、つぶらな瞳、頭の上にはアンテナのような奇妙な突起が生えている。


「ちす!」


 そいつは愛嬌のある仕草でこちらに向かい、しゅたっと小さな片手を上げて挨拶をしてきたのだ。


 地球防衛組織ジェニスの緊急警報が響き渡る中、突如現れたこの謎の生物はいったい何者なのか。


 俺の身体が少女に変えられたことと、何か関係があるというのか!?


 

次回予告

突如現れたの正体不明の飛行物体。その正体は?

謎のぬいぐるみが現れる時、全てが動き出す。


次回 「巨人現る」でFuture Go!!


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