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なんか捨て子の女の子に転生したらしい  作者: ダレイワス1世
第五章 アレクシア学園入学編
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なんか答えることも試験らしい

控室に戻ると、受験者たちの声は減っていた。


身体確認を終えたあとだからか、座ったまま膝を押さえている子がいる。


木剣を強く振っていた少年は、腕を回していた。


柵を軽々と越えていた子も、今は水を飲んでいる。


俺は席に着き、番号札を机に置いた。


右手には、まだ木剣の感触が残っている。


係の女性が入ってきた。


「これから面接を行います。呼ばれた番号の方は、札を持って隣の部屋へ入ってください」


面接。


紙の問題や実技とは違う緊張があった。


前の番号が呼ばれた。


戻ってきた子は、首を傾げたまま席に座った。


何を聞かれたのかは分からない。


俺は水を一口飲んだ。


「二十七番、ヨウカさん」


「はい」


札を持って立つ。


扉の前で息を吸った。


中は広くない部屋だった。


窓際に机があり、三人の大人が座っている。


昨日の魔法実技にいた灰色髪の女性。


書類を持った年配の男性。


もう一人は、書記役らしい女性だった。


正面には椅子が一つ。


灰色髪の女性が言った。


「座ってください」


「はい」


椅子に座る。


足は床に届く。


年配の男性が書類を確かめた。


「ヨウカさん。十歳。フィル村出身。推薦はフィル村村長。補足書類はルーベル薬師工房のミラ殿から。間違いありませんか」


「はい」


「保護者はアンナ殿とヨシュア殿」


「はい」


男性は顔を上げた。


「この学園で学びたいことを話してください」


俺は膝の上で手を握りかけて、やめた。


「治療と薬草、それから魔法を学びたいです」


「理由は」


「村やルーベルで、怪我や体調不良を見ることがありました。何かしたくても、知識がなければ、動かしてはいけない人を動かしたり、使ってはいけない薬を使ったりするかもしれません」


灰牙鼠。


治療院。


怪我人の顔。


頭の中に浮かぶものはある。


全部は出さない。


「助ける前に、判断を間違えないようになりたいです」


書記役の女性の筆が動いた。


年配の男性が次の紙を見た。


「筆記では、生活知識と初期対応はよく書けています。王国史と礼法は弱い」


「はい」


はっきり言われた。


「礼法を学ぶ必要はあると思いますか」


「あります」


「理由は」


「礼を欠けば、相手に話を聞いてもらえないことがあります。治療でも相談でも、先に警戒されると進みません」


「礼法は面倒ですか」


「慣れていないので、難しいです」


「慣れる努力はできますか」


「はい」


年配の男性の表情は変わらなかった。


灰色髪の女性が、別の紙を前に出した。


「魔法実技について確認します。光は安定。闇は反応のみ。昨日、光をさらに強く出さなかった理由は」


「形が崩れそうだったからです。明るさより、眩しさが先に出ると思いました」


「強く見せたいとは思いませんでしたか」


「思いました」


三人の筆が止まる。


「強く出して崩すより、保てるところで止めた方がいいと判断しました」


灰色髪の女性は、間を置いて紙に書いた。


「闇を広げなかった理由は」


「まだ安定しないからです。人の近くで使うには早いと思いました」


「学園で伸ばすつもりはありますか」


「あります」


「どのように」


「まず、自分の手元で止められるようにします。広げるのはその後です」


灰色髪の女性は筆を置いた。


昨日、実技場の隅で揺れた気配については聞かれなかった。


それだけが、紙の上に残されたままのようだった。


年配の男性が、身体確認の紙を見る。


「今日の身体能力と武器確認について。速さと跳躍は高くありません。合図への反応と二回目の修正は記録されています」


「はい」


「自分ではどう見ていますか」


「速さと跳ぶ動きは弱いです。止まることと、言われた後に直すことはできました」


「武器については」


「木剣は、体より先に剣が残りました。短い刃は、距離が近くて動きが固くなりました」


灰色髪の女性が言う。


「昨日の魔法と比べると?」


「魔法の方が扱いやすいです。体と武器は、思った通りに動きませんでした」


「不満はありますか」


「あります」


「では、どうしますか」


「今の体に合わせて練習します。できると思い込んで動くより、できなかったところを直したいです」


年配の男性が、次の書類へ目を移した。


「薬師工房と治療院での手伝いについて記録があります。内容を説明してください」


「薬草の整理、布の準備、水運び、案内です」


「治療行為は」


「していません」


「どこからが治療行為だと考えますか」


「薬を使うこと、患部に触って動かすこと、症状を判断して処置を決めることです」


書記役の女性が筆を走らせる。


「あなたは、それをしていない」


「はい。指示された準備と補助だけです」


「なぜ、その線を引くのですか」


「見たことがあるだけで、自分で判断できると思うのは危ないからです」


灰色髪の女性が聞いた。


「判断したくなる場面はありますか」


「あります」


「その場合は」


「今は、できる人に伝えます」


「急ぐ場面でも?」


「呼吸や周りの危険は確認します。けれど、患部を動かすかどうかは、勝手に決めません」


灰色髪の女性は紙に書いた。


年配の男性が最後の質問に移る。


「学園に入った場合、あなたが困ると思うことを一つ挙げてください」


「情報が多いことです」


「どういう意味ですか」


「人の声や規則が、一度にたくさん来ます。全部追うと、動けなくなると思います」


「対処は」


俺は息を吸った。


「必要なものから見ます。全部は追いません」


灰色髪の女性が書類を閉じた。


「面接は以上です」


膝の上の手が、まだ固かった。


「退室してください」


「ありがとうございました」


立ち上がり、一礼する。


扉へ向かう途中、灰色髪の女性が言った。


「ヨウカさん」


「はい」


「午後の追加確認については、控室で説明があります」


「はい」


それだけだった。


廊下へ出る。


空気が冷たい。


魔法を出した時とも、木剣を握った時とも違う疲れがあった。


控室へ戻ると、次の番号が呼ばれていた。


俺は席に座り、番号札を机に置く。


答えることも試験らしい。


口にしなかった言葉の方が、しばらく重かった。

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