なんか後輩は生意気らしい
「あ、ヨウカだ!」
盆を持ったナナが、隣に座った。
返事を待たなかった。
一年生の、火魔法の子だ。
「一人で食べてるの? 一緒に食べよ」
もう座っている。
「どうぞ」
「ヨウカって、二年生でしょ。去年、活躍したって聞いた」
「誰から、ですか」
「みんな言ってるよ。一年で、二年生を二人抜いたって」
その話は、まだ残っているらしい。
「運が、よかったので」
「ふうん」
ナナは、あまり興味がなさそうだった。
自分の話がしたいらしい。
「私さ、この前の適性検査で、一年で一番でかい火、出したんだよ」
「そうですか」
「先生も、びっくりしてた」
胸を張っている。
「見た? 訓練場で撃ってるの」
「見ました」
「でしょ! すごいでしょ!」
的は倒れていなかった。
でも、火そのものは、大きかった。
一年生で、あれだけ出せるのは、素質がある。
それは、本当だ。
「威力は、すごいと思います」
ナナの手が、止まった。
「……ほんと?」
「はい。あの大きさを、一年で出せる人は、多くないです」
ナナの顔が、ぱっと明るくなった。
「だよね! そうなんだよ!」
急に、機嫌がよくなった。
単純な子だった。
「二年生に褒められた。えへへ」
「褒めたわけでは……いえ、すごいのは、本当です」
「褒めてるじゃん!」
それは、そうかもしれない。
⸻
ナナは、また勢いよく食べ始めた。
小柄なのに、よく食べる。
「ヨウカは、何の魔法?」
「光と、闇です」
「火じゃないんだ」
「火は、使えません」
「なーんだ」
はっきり言われた。
「火が、一番強いのに」
「そうかもしれません」
「そうだよ。ばーんって、全部燃やせるもん」
自信満々だった。
否定する気は、なかった。
大きい火は、強い。
それは、本当だ。
ただ、それが全部ではない、というだけだ。
でも、それを言う必要は、なかった。
「ヨウカの光って、燃やせる?」
「燃やせません」
「じゃあ、弱いじゃん」
「弱いです」
即答すると、ナナが、少し、拍子抜けした顔をした。
「否定しないの?」
「火みたいには、燃やせないので」
「変なの。もっと、自分の魔法すごいって言えばいいのに」
「すごくないので」
ナナは、うーん、と唸った。
「なんか、調子狂う」
そう言いながら、また食べている。
⸻
食べ終わると、ナナは、盆を持って立ち上がった。
「ヨウカ、いい人だね」
「そうですか」
「うん。二年生って、もっと偉そうかと思ってた」
「偉くないので」
「そこも、変」
ナナは、少し笑った。
「また、話そ。私の火、そのうち的も倒せるようになるから。見せてあげる」
「楽しみにしています」
「ほんと?」
「はい」
ナナは、満足そうに頷いて、行ってしまった。
賑やかな子だった。
来て、自慢して、食べて、行った。
一人になって、残りを食べた。
火の威力は、本物だった。
あとは、当てられるように、なるかどうかだ。
それは、あの子が、自分で見つけることだった。




