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なんか捨て子の女の子に転生したらしい  作者: ダレイワス1世
第七章 アレクシア学園二年生編
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なんかやり方は見えたらしい

研修から戻って、しばらく経った。

 

日常は、元に戻っていた。

 

授業。

訓練。

食事。

睡眠。

 

その繰り返し。

 

ただ、訓練の中身を、少し変えた。

 

きっかけは、ソリスの風だった。

 

あれは、攻撃ではなかった。

 

押す。

浮かす。

逸らす。

 

物を動かす風だった。

 

それでも、戦いの役に立っていた。

 

使い方次第で、魔法は形を変える。

 

なら、光と闇も。

 

目を切るだけでは、ないのかもしれない。

 

 

訓練場の隅で、的に向かった。

 

まず、光を出す。

 

いつものように、手のひらで丸く保つ。

 

的の横で、弾く。

 

的は、光らない。

 

ただ、弾けるだけ。

 

これが、いつもの使い方だ。

 

相手の目を、一瞬切る。

 

それで、十分だった。

 

でも、今日は、別のことをしてみる。

 

弾くのではなく、集める。

 

手のひらの上で、光を、小さくする。

 

広げるのではなく、狭くする。

 

アンナの、火のように。

 

広げると、散る。

 

狭くすると、全部乗る。

 

火と光は、違う。

 

分かっている。

 

でも、試す価値は、ある気がした。

 

光を、一点に集める。

 

小さく。

 

もっと、小さく。

 

手のひらの上で、光が、点になった。

 

熱い。

 

今までは、弾けるだけで、熱くなかった。

 

集めると、熱を持つ。

 

「……熱っ」

 

声が出た。

 

指先が、熱い。

 

慌てて、消した。

 

指が、赤くなっている。

 

自分の光で、自分が焼けかけた。

 

だが、分かった。

 

光は、集めると、熱くなる。

 

弾いて目を切るだけではない。

 

集めれば、何かが、できるのかもしれない。

 

 

もう一度、試した。

 

光を集める。

 

点にする。

 

熱を、持たせる。

 

今度は、的に向けた。

 

的の、板。

 

そこへ、熱を、放つ。

 

光が、飛んだ。

 

的に、当たる。

 

薄く、焦げ跡がついた。

 

穴は、開かない。

 

焦げただけ。

 

アンナの火とは、まるで違う。

 

あれは、板を抜いた。

 

これは、表面が、少し焦げただけ。

 

弱い。

 

だが、焦げた。

 

今までの光は、弾けるだけだった。

 

的に、跡は残らなかった。

 

今は、焦げ跡がある。

 

小さいが、確かに、進んだ。

 

問題は、続かないことだった。

 

一発、集めるだけで、指が熱くなる。

 

二発目を撃つ頃には、手のひらが、痛い。

 

三発目は、集める前に、熱さで散った。

 

体が、ついてこない。

 

光を集めて撃つには、指が、保たない。

 

やり方は、見えた。

 

でも、まだ、体が追いつかない。

 

 

闇も、試してみた。

 

だが、訓練場では、大きく出せない。

 

人がいる。

 

闇を広げると、目立つ。

 

だから、小さく、影を伸ばす。

 

足元から、細く。

 

今までは、膜だった。

 

受けて、落とす。

 

広げて、視界を遮る。

 

でも、今日は、伸ばしてみる。

 

影を、細く、長く。

 

的の、足元へ。

 

影が、伸びた。

 

薄い。

 

頼りない。

 

すぐ消える。

 

でも、伸びた。

 

今までの膜とは、違う形だった。

 

これを、もっと濃くできたら。

 

何か、できそうな気がする。

 

何が、とは、まだ分からない。

 

ただ、膜と目くらまし以外に、使い道がありそうだ。

 

その気配だけ、あった。

 

だが、影を濃くしようとすると、反動が来る。

 

指先が、冷える。

 

長く保つと、足が重くなる。

 

いつもの、反動だ。

 

濃くするほど、それが強い。

 

薄く伸ばすだけなら、まだいい。

 

だが、濃くして、形を持たせようとすると、体が、保たない。

 

光と、同じだった。

 

やれそうなのに、体が追いつかない。

 

 

訓練場を出る頃には、少し疲れていた。

 

体は、それほど動かしていない。

 

でも、指が痛い。

 

足が重い。

 

魔法の疲れは、走った後とは違う。

 

内側から、削られる感じだ。

 

それでも、収穫はあった。

 

光は、集めると熱を持つ。

 

闇は、伸ばすと膜以外の形になる。

 

どちらも、今までとは違う使い方が、ありそうだ。

 

片鱗は、掴んだ。

 

あとは、体を、慣らすしかない。

 

一発撃つたびに、指が焼ける。

 

一度濃くするたびに、足が止まる。

 

それを、少しずつ、延ばしていく。

 

投擲と同じだ。

 

最初は、二回に一回しか当たらなかった。

 

続けたから、当たるようになった。

 

光も、闇も、たぶん、同じだ。

 

 

夜、個室に戻った。

 

訓練場では、闇を大きく出せない。

 

でも、ここなら、一人だ。

 

窓の外に、人はいない。

 

小さく、闇を出す。

 

手のひらの上で。

 

影が、集まる。

 

それを、少し、濃くしてみる。

 

集中する。

 

影が、少しだけ、濃くなった。

 

指先が、冷える。

 

反動だ。

 

すぐ消す。

 

でも、今日は、昼より、少し長く保てた。

 

気のせいかもしれない。

 

でも、続ければ、変わる。

 

昼、訓練場で掴んだ感覚を、ここで、確かめる。

 

濃くすると、反動が強い。

 

でも、濃くしないと、形にならない。

 

その境目を、少しずつ、探る。

 

一人の部屋は、それに向いていた。

 

誰も見ていない。

 

闇を出しても、驚かれない。

 

個室になって、よかったことの一つだ。

 

 

記録板を開いた。

 

訓練。光と闇を、攻撃に使えないか、試した。

光=集めると熱を持つ。的に焦げ跡がついた。穴は開かない。まだ弱い。

闇=伸ばすと膜以外の形になる。濃くすると、何かできそう。

両方、続けると指が焼ける/足が止まる。反動が強い。体が追いつかない。

 

そこまで書いて、少し考えた。

 

やり方は、見えた。

 

でも、まだ、体が保たない。

 

一発で、指が痛くなる。

 

一度濃くすると、足が重くなる。

 

だから、まだ、実戦では使えない。

 

一発撃って、指が焼けて、次が撃てないなら、意味がない。

 

それを、延ばす。

 

続けて、慣らす。

 

それしか、ない。

 

記録板に、書き足した。

 

やり方は見えた。体が追いつけば、使える。

それまでは、続けるだけ。

 

書いてから、手のひらを見た。

 

昼、光で焼けた指先が、まだ少し赤い。

 

自分の力で、自分が焼けた。

 

少し、笑えた。

 

まだ、扱いきれていない。

 

でも、扱えるようになれば。

 

光を集めて、焼く。

 

闇を伸ばして、何かをする。

 

今は、その入り口に、立ったところだ。

 

記録板を閉じた。

 

窓の外は、暗い。

 

明日も、訓練場に行く。

 

また、指を焼くだろう。

 

また、足が止まるだろう。

 

でも、少しずつ、延びる。

 

投擲が、そうだったように。


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