テクマクマヤコン
『テキマキマヨコン』
なんだそれは!!
昭和のあのアニメの
「テクマクマヤコン」
みたいで何か胡散臭い。
族長から聞いた人化の呪文は、何かふざけた呪文だった。
苦笑しながら試しに唱えてみた。
部屋中が濃い黒い霧に包まれた。
おおお!!!
と周囲がざわつく中、
よっしゃ人の姿に戻れるぞ!と思ったのだが、霧は急激に収束し、
俺の中に戻ってきた。
おかしいなぁ。あと1歩なのに発音が悪いのかなあ〜
テクマクマヤコン!!
やっぱり1回目と一緒だ....
もっと思念を使わなきゃダメなのかな?
テクマクマヤコン!!
だめだ。
成功しない。
もう一度試そうと思った時、
族長が後ろから声をかけてきた。
「山猫様、呪文が違います
テキマキマヨコンです。」
「そんな事はわかってる。さっきしっかり覚えたからね」
などと答えてみたが。
「山猫様、テクマクマヤコンと私どもには聞こえます。
しかも、通常では考えられない濃霧と大きさです。
テクマクマヤコンと唱えると、このように失敗するのではないでしょうか。」
俺は焦った。
自分の頭の中では、テキマキマヨコンと言ってるつもりなのだが、周りのものはテクマクマヤコンと聞こえているらしい。
なんだ、ここへ来て、前世の記憶縛りってか....
神様、
あまりにも、
それは、、、、
がっくり、肩を落としられていると。
俺を見て皆、同情の目を向けてくる。
同情するなら、
人間の体をくれ!!
前世の記憶縛りのギャグがなんだか自分でも悲しかった。
諦めは肝心だ。
なかなか諦めはつかないがいつまでもこうしているわけにはいかない。
情報収集しなきゃね。
それにしても、神様は俺を普通に人間にしてくれる気がなさそうだ。
族長から聞いた話では
山猫族には黒猫はいないのだそうだ。
真っ黒ではなく、少し縞模様が必ず入んだって。
そういえば、前世でも真っ黒な山猫はいなかったなぁ。
族長は昔から伝えられている山猫伝説の一文を教えてくれた。
周りにいる猫たちは王都で知り合ったチョビオと同じキラキラした期待混じりの目をして俺を見ている。
伝説の語りの中ではこのようなことが言われている。
黒き山猫
赤き龍に乗り、地に舞い降りる
約束の地の道しるべとなり
母なる船を目覚めさせ
母なる船は、降り立つ地を楽園と変えるであろう
今までは、黒っぽい山猫族と赤っぽいワイバーン族が何度も試したが、母なる船カメムシ城は動かなかったんだと言う。
やっぱりあのカメムシは船だったんだ!
もしかすると環境調整機能とかもついてんのかな?
現代人の知識から察すると、そんなふうにも読み取れる。
しかし、それを使って何をしようとしているのだろうか?
地方の街や王都で、猫たちを束ねる黒い山猫の噂を聞き調べていたのだそうだ。
そして、タイホウの気球船の色が赤色だったのでその伝説の山猫だと思ったらしい。
あああ、、、嫌な予感は的中だ。
便利だからって、調子に乗って野良猫ネットワークを派手に展開したことを少しだけ後悔する。
それに気球船が赤いということではなく、
本当に赤龍もいるんだよ。
魔王の娘がね!
そんなこと言ったら大変だ
余計面倒なことになりそうなので、この事については今は黙っておく。
動揺を抑えながら隠すのが大変だった。
ベッサンには二大勢力がありそれが山猫族とワイバーン族。
それぞれが、2つのカメムシ城の管理をしているのだが、
最近、ワイバーンたちの動きがおかしいらしい。
船が動かないのは魔性石が足りないのではないかと、大量の魔性石を集め始め管理する城に運び込んでいるのだと言う。
新たな魔性石の採掘地が見つかったことでその動きが活発化していると言う。
山猫族が言うにはワイバーン族はルナへの帰郷を掲げた思想の宗教が信じられており、
今統治しているワイバーンの族長はその宗教教団のトップも兼ねている、だから、最近強引な手を使って魔性石を集めていて、山猫族と対立が生まれているのだと説明してくれた。
最初協力していた黒っぽい山猫の仲間も今は監禁されて戻って来れない状態だと嘆いていた。
「何が原因で対立しているんだい?魔性石の取り合いって事はわかった。君たち山猫族はなんで魔性石が必要なんだ?」
「我々は、人族と関わり合いを持った。
彼らは自分たちと違うものは基本的に受け入れない。でも利用価値があると思ったら排除せず共存してくれるんだ。
だから便利なものを作って人々の暮らしを豊かにする。
我々はそうやって生き残るしかないんだ。」
「なるほどね、言い伝えの文章についてはどう考えてるんだい?」
「ワイバーン族はルナに帰りたい、帰りたければ帰ればいいんだ。
帰れるならだけど、我々は降り立ったこの地を楽園にする、ここの部分を目指している。
今、ここの場所を豊かに安定した生活ができるようにしたいだけなんだ。
帰る者たちは、後に残された者たちのことをあまり考えていないみたいだ。」
「それで俺たちの仲間は、ワイバーン側に監禁されてるってことだね?」
「はい、その通りです。
彼らは少し強引なやり方をしてしまうところがあるのです。山猫様が何か新しい進展を示すのではないかと。」
「じゃあとりあえず君たちが管理しているカメムシの船に俺を連れてってくれるかかい?」




