入国劇団
入国審査官に俺の提案通りの説明をサルマがしている。
間違ってボロが出ないか不安だったが、思念はやたらと使えない、何しろここは魔族領なのだ。
来る途中にクワンリから魔力の絞りっていうのをサルマと一緒に教わった。
相手に極力近づいて眉間により集中力を集め相手に向かって思念の魔力を漏れ出させる、と言うのか染み出させる。難しい、、、
そうすれば周りに魔力を感じさせずに思念を使えるそうだ。
練習してなんとか合格点を貰ったが、不安なのでなるべくなら使わない方がいいな。
なので事前に皆で打ち合わせをしてにわか劇団が結成されたわけだが、どうにも笑いが込み上げてきてしまう。
オババはさすが年の功アドリブが多いが上手くやっている。
一番のアクトレスだ。
そのアドリブにあたふたしているサルマが可笑しい。
そのせいでセリフが飛んで出てこなかったりしてる。
クワンリは強張った顔で上品を気取っている演技が微妙に笑える。
何もしないでそのままでいいから、黙ってすましていれば良いと言ってあったのに、自分も何かしないと落ち着かないのだろう、でもなんか健気で可愛らしい。
滞在日数は観光で訪れた場合最長の15日間を申請した。結構稼いでいたつもりだったが3分の2がここで消えた。滞在中はガイドがつくと言ってそのガイドが旅行者用の宿泊施設に案内をしてくれている。
いわゆる監視付きって事だ。
国家機密だらけの国って事なのだと気を引き締め直す。
現世でもこんな国はあったな〜とイヤな記憶とイヤな予感に包まれている。
しかし、監視付きだと調査がやりづらいな
クワンリもサルマも動けないだろうな
俺が動くしか無いのだけど
野良猫情報網は今回は作れない。
何をどうやって調べりゃ良いのか?
サッパリわからない。
てか、なんで来たんだ?
魔族領だと確認できたらそれで良いんじゃないか?
全部解決って、、、恥ずかしい、、、
焦らず観光しながら怪しい感じのものを探してみよう。
ヘリとサンダーバード2号は調査からは外せない。
カッコイイからね。
あの2つのカメムシを見た月夜の夜。
あの方向音痴の女のせいで、、
いや、、、
おかげで、
焚き火大会をしてふんわり仕上がった干物を食べたあの夜を思い出してしまった。
うまかったなぁ〜
そっちじゃなくてクワンリの故郷に伝わる伝説の方。
やっぱり月から来た宇宙船だよね。
土が積もり、
苔が生え、
でっかい木まで生えてしまっているけど、
気球の上から見たあの姿はサンダーバード2号だったもん。
開かない窓の外を見ながら、そんなことを考えながら黄昏ている。
それしかやることのないからだ。
クワンリとサルマは薬草の本を読みながら時々議論を交わしたりしている。
今日の朝、博物館の市内観光に案内役とともに行くはずだったのだが、
案内役が一向に来る気配がない。
ドアを開けて案内役を探しに行こうとしたサルマがドアが開かないことに気づいた。
要は、監禁されたと言うことだ。
その事について、皆を集めて話し合ったのだが。
クワンリなど監禁と言う意味すらもわからないような態度で、
「そんなわけはない。きっと何かあって届けに来れないだけだ。みな優しかったではないか。」
などと言いながら、先日買った包丁を磨いていたりする。
さすがにサルマやオババは、危機感があると思って、期待をしてみたら、それも無駄だった。
サルマはクワンリの言う事ならそうだと思うなどと言っているし。
オババなどは自分の袋の中から干し、豆を出してボリボリ食ってる。
呑気な奴らだ、、、
仕方ないので俺が考えを巡らす。
魔力が漏れたのか?
あの下手な芝居がまずかったのか?
クワンリに可哀想なので「くるしゅうない」
とかって下手な芝居のセリフについてのツッコミは言わないでおこうと思った。
でも、あれは引っかかるあの時かもしれない。
俺の予想は多分あの時だ、
ワイバーンが襲ってきてクワンリがドラゴンになったとき。
ワイバーンがそれを目撃していたからだと思う。
この世界でのドラゴンはとても珍しいらしい。
魔族の王の末裔でしか、ドラゴンにはなれないらしいから、、
こちらの採掘地は枯渇してきているんだろう。
だからクワンリの故郷の魔性石も、人間を使って、通聖と言う名で搾取したいのだろう。
ドラゴンは彼らが狙っている。その土地の支配階級だと言うことも当然知っているのだろうな。
クワンリが狙われていると思うと、黄昏れている場合ではないのだが答えは出ないまま、
猫の本能に引っ張られるがまま、
眠りに引き込まれるのだった、、、
何かいい匂いがする。
カチャカチャ皿の音がする。
ご飯の時間だ!
「ンンンンンンンンーん」
伸びをしてから、ゆっくりみんなの所に歩いて行くと、
監禁されているのに、ご飯を持ってきた担当の人もクワンリやサルマ、オババも皆楽しそうだ。
全く本当に呑気な奴らだ。
担当の人が申し訳なさそうに2食分持ってきた。
そういう問題じゃないと思うけど。
転生後この世界では、1日2食が当たり前の常識とわかったときの衝撃は今でも忘れない。
担当の人が言うには何か政治的な問題が起きたらしい。
クワンリを見ると目が合った。
ドヤ顔してやがる、
揉め事の内容は大体こんな感じらしい。
山猫族とワイバーン族との揉め事によって猫の手も借りたい位の忙しさらしい。
俺は貸したくはないが、、、
って山猫族!!!!!
探していた!
やっと見つかった!
俺たちはどちらの陣営に監禁されているのだろう?
人間に戻れるかもしれない!
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今日は2時起き
短いですが眠いのでこれでアップします。




