ヘソクリ
ユイコリウス侯が治める山脈に囲まれた盆地には、昔から純度の高い魔性石が獲れる。
王宮魔道具研究所で魔性石の有効利用が発見されたのが55年前。
日本の江戸時代の様な生活が一変した。
灯りが灯り、夜の闇の恐怖が薄れ、鉄道が引かれ世界が小さくなる。
便利で快適な生活に憧れ、鉄道で故郷を捨て都会に人が集まる。
飛行船はユイコリウス侯の発明らしい。
鉄道が引かれていない地域にも便利は行き届く。
飛行船のお陰で魔性石の採掘が盛んになる、さらには大鉱脈が見つかり便利な魔道具は全国に広がることになった。
隣の家と便利さを競い合う。
便利が豊かさ。
お金を稼ぐ事が目標になる。
お金が神を上回る世界になる。
どこの世界でも同じ道を辿るんだなって納得する。
この世界で一旗あげるなら、魔道車や魔道バイクの開発でもすれば異世界のフォードになれるかもしれないな、と思ってしまった。
まあ子供ノルでは難しいが、、、、
ベッサンに行く方法を見つけないとならなくなった。
鉄道という便利な移動手段があるらしいが、山脈を越えることは出来ないらしいので麓の街までしか行く事が出来ないらしい。
そこから危険な山道を行くことになる。
クワンリの故郷と同じだ。
タイホウに相談したらと言うサルマの提案でクワンリが気球船に向かった。
気球船をチャーターするのには幾らかかるのだろう。
今の持ち合わせで足りるのだろうか?
お金はクワンリが管理している、最近は騙されて変な物を買ってこなくなったから任せる様にしている。
それでも食うに困っている人を見つけるとすぐにお金をあげようとするので、朝食一食分ぐらいの金額という決まりを作って守ってもらっている。
クワンリとサルマが帰って来た。
タイホウの話は整備も終わっていていつでも出れる状態なのだが、魔性石が無いらしい、荷主が負担するのが業界の決まりなので少しの移動なら出来るが、ベッサンの山脈を越えるとなると純度の高い魔性石が必要になるのだと言われて来た。
ありますよ!ありますともよ!
ヘソクリの魔性石が!!
恐る恐るクワンリに言うと、少し睨まれたが
クワンリに揉みくちゃに撫でられた。
脳が揺れる、、、
「でかした!」
クワンリに褒められた。
なんか久しぶりな気がする。
ちょっと嬉しくなった。
タイホウはベッサンに行くのは二回目らしい。
一年前に魔性石の引き取り依頼を受けて山脈を超えた経験がある。
風を読むのが難しくて難儀したと苦い顔で言っている。
オババがいれば全然平気だと横からサルマが口を挟む。
サルマはベッサンに行くのは初めてなので少し興奮気味だ。
ノルが隠し持っていた拳大の魔性石はとても純度が高く航行には問題ない様だ。
まったくゆすり取ってくるとは!
残りの二つは私が持っていて良いとタイホウは言ってくれた。
皮袋に入れて腰に下げていると魔力が上がりとても調子が良い。
方法は頂けないが、ノルに感謝しよう。
いよいよ明日ベッサンへ向かうこととなる。
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