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魅了の効果

猫に肩や頭にのられボロボロになっているクワンリとサルマが顔を上気し、息遣いも荒くよろよろと俺の元にやってきた。

コントの様で笑ってしまう。


山猫さまの事を二人に話すとなんだか知らないが目を輝かせてワクワクした顔で俺を見る。

野良猫を束ねるくらいで何もできない、これと言った目立つ能力もないこの俺がどうやって世界を救うのか?

ありえない。


野良達に世界の危機とやらの情報を聞いたのだが要領を得ず。

ただ言い伝えで語り継がれているとしかわからないそうだ。

なので、この街に起きている異常な出来事の情報収集をしてもらうことにした。


薬の販売を始める前に闘技場や競馬場を見に行く事にしようとクワンリと相談して決めた。

この間の村での忙しさがだいぶきている様で、クワンリはビビりながらも意気込んでいる。

忙しくなる前に行けるところには行っておきたいと言っている。

俺は街のはずれのこんな不便な場所にはお客なんて来ないと思うと言うのだが、あの忙しさがトラウマになっているらしいクワンリには理解されない。

それに今回はサルマと言う助手もいるのだが。

クワンリは顔がすでにこわばっている。

落ち着かせるために擦り寄り膝の上を何度も上がり下がりして撫でてもらう。

顔を近づけてくるので鼻の頭をザリザリしてやる。

後でジャラシてもらって一緒に遊べばクワンリも落ち着くだろう。

俺はジャラシて貰えればそれで満足だ。


前世では格闘技も賭け事にも全く興味がなかった俺は、闘技場も競馬場も楽しめそうも無いのだが、社会見学だと思ってクワンリとサルマについて行くことにした。

子供ノルのサイズにピッタリの服をサルマが買ってきてくれたので、子供ノルになってお出かけしようと思う。

人型になって初めてのお出かけだ。

デートには程遠いが猫に比べればだいぶ近くなった。



右手にクワンリ、左手にサルマ、手を繋いで貸家を出る。

母と姉の仲良し家族の様でなんだか気恥ずかしいが嬉しくて、二人を引っ張る様に歩く。

サルマが転けそうになってクワンリに嗜められるが二人の顔を交互に見ながらスキップをしてまたサルマのバランスを崩して嗜められる。

そんな感じで歩いていたので、街の入り口に着く頃は足が疲れてガクガクしてしまった。

その事をクワンリに伝えると

「しようのないやつだ」

と言いつつも微笑みながら抱き抱えてくれた。

首筋に顔を埋めクワンリの匂いを嗅ぐと幸せな気持ちになってしがみつく腕に力が入る。

浮かれてだいぶ子供に引っ張られてしまっている様だ。


街に入り商店街の様な通りを歩く、道幅は鹿車一台分ぐらいの古くからある様な道の両脇にテントを張り出しているので更に狭くなっているが活気があって楽しい。


店主が通りを歩いている買い物客に声をかけたりしてなんだかアメ横の様で懐かしくなる。

アメ横はよく行った記憶がある、センタービルの地下によくスパイスを買いに行ったものだ。

インドカレーが食べたい、、、


クワンリに抱かれ歩いていると、菓子屋や惣菜屋の様な店の店主から声をかけられてなんだか色々くれる。

「おっ!可愛い坊ちゃんだねこれ持ってきな」


「あらあら可愛い事、照れてるの、おばちゃんにお顔を見せておくれ、なんて愛らしい、、これ後でお上がり」


通りを抜ける頃にはサルマの小さい腕の中いっぱいになるほどの頂き物が溢れている。


俺もだが、クワンリもサルマもこの魅了の力の強さにちょっと引いてしまった。


食うに困ったら子供ノルで商店街を歩こう。

暑いです。とっても暑いですね。

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