王都ゼルトマン
王都に着いた。大河に面している。かなり広い、上空から見たが大きな中洲に造られてなんか函館みたいだ。
函館の三倍はありそうだが。
函館は行った事がある。
イカ踊りを見に行った。
ちゃんちゃん焼きが恋しい。
大河の反対の川は支流の様で流れも穏やかで港もある。
船舶用と気球船様だ。
大河側は軍港の様だ。
ここも水路が町中に巡らされている。
水の都ベネツィアの様だ。
行った事ないけど。
停泊準備に乗組員が慌ただしく動いている。
いよいよ王都ゼルトマンに到着する。
ゼルトマンには二週間の停泊らしく風読協会の借家を安く借りられるので一緒にどうかとサルマが言ってきた。
願ったり叶ったりの申し入れにクワンリと二人喜んで受けた。
シェアハウスと言う事だ。
昨日の夜に穀物商人の部屋を子供の姿で尋ねて行った。
魅了の力を信じて密輸の魔性石の話を切り出してみた。
驚く商人を諌めつつ、誰にも言わないので少々分けて欲しいと多少気がひけるが、ゆすりをした。
さすが、強力な魅了の力。
商人は拳大の魔性石を三つ持って来てくれた。
クワンリのために少々危ない橋を渡ってしまう行為だったが。
ママのため、んママのため?
いかんいかんまた引っ張られてる。
愛しい人のため、そして魅了の力を試すためには良い機会だと思った。
クワンリに言うと返してこいと怒られそうなので、鹿車の中に隠しておこう。
停泊地を見下ろす小高い丘の上にある木造の平家が貸家だ。小さいが部屋は五部屋あり鹿車をおける小屋付きだ。
充分な広さである。
木造の建物なので魔族領を思い出してしまう。
ノルの人型変幻の問題は山猫族とは関係がない様なのだが、土地の魔力が無い状況は私にとって悩ましい問題だ。
早く帰りたい。
その様な事情もあり、ここでの視察が最後となる。
転移の魔術具がない今、帰りの行程を考え逆算すると妥当な予定だろう。
私の調査の仕事は人々の暮らしや社会の仕組みを視察して報告書を作る事だ。
サルマとミノルバが王都に来たら闘技場と競馬場は見ておいた方が良いと言うので視察対象にする。
本当は学校も見ておきたかったのだが、関係者以外は出入りができないと言うので、学生を探して聞き取りをしようと思っている。
同じ船の獣人達とは少し仲良くなれたが、職場見学は断られてしまった。まあそうだろう仕方ない。
あとは鹿車の小屋で薬の販売をしながら住人からの話とノルの野良猫情報網とで報告書は完成すると思う。
ノルの野良猫情報網にはだいぶ助けられている。
路銀はまだまだある。鬼人の討伐報酬の残りと、途中での薬の販売のおかげだ。
これについてもノルのお手柄と言って良い。
あいつと出会えた事は本当に良かったと思える。
王都までの運賃はタイホウに水の浄化ができる魔術具を作ってやってまかなえた。
魔性石はかなり少なくなってしまったが仕方なかろう。
まだ野良猫情報網はない、よって道案内もない。
クワンリを一人買い出しに行かせる事は無理だ。
サルマに頼みクワンリと共に干物の買い出しに行ってもらう。
その間に俺は野良猫を探してワタリをつけておかなければならない。
サルマは猫の集会に来たいと言っているので、干物運びの助手として同行を許してやった。
なので大喜びで買い出しに向かって行った。スキップする様な勢いで笑えた。
これだけ広い街になると全域をカバーするには時間も干物も足りなくなる。
まずは近場を掌握して、重要だと思う地域のナワバリボスを探してピンポイントで行こうと思っている。
しかしこの特技?能力は役にたつ。
前世の異世界物では、攻撃魔法や防御魔法のチート能力で旅を進めクエストをこなしていたが、ここで学んだ事は何にしても情報に勝るものは無いと言う事だ。
そう考えるとこの世界も前世も一緒なんだと思えて来た。
強力な武器、マシンガンとかグレネードとか持っていてもただの武器オタクになり、使ったとしても片方の言い分だけ聞いて使った物なら公平性が失われ、暴れん坊となってしまいかねない。
同族の偏った情報のみで相手方の事情もわからず殴り込みに行く話は異世界物にはよくある話だ。
俺は人間社会に懐疑的な考えを持っているらしく、人間の欲深さも前世で痛いほど経験しているおかげで、公平性を意識する事ができる。
鬼人の調査依頼の時もこの捻くれた性格のおかげで後悔する結果にならずに済んだ。
よって野良猫情報網の早期完成を目指す!
暑いですね。まだ夏の入り口だってのに。
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暑いですが皆さんご自愛くださいね。




