赤龍
服を着るまで見ているほど俺はゲスでは無い。
後ろ髪を引かれる思いでその場を離れ部屋に戻りクワンリを待つ。
着いて行って変身するところを見たと素直に言おう、そして謝ってレッドドラゴンの事を教えてもらう。
待ってる間に方針を決める。
裸を見てしまったこともお礼、、、じゃない謝ろう。
帰って来た!
鳴きながら、足元に戯れ付き八の字の様に両足の間をスラロームする。
ソファーの高い所に登りガジガジ爪を立てる。
・・・ごめんクワンリ フラフラしてるから、心配で着いて行って、、、、それで君の裸を、、、
・・・気にするなノルよ、いずれは話すつもりだったのだ。
少し恥ずかしくてな、、、
クワンリらしく無い、歯切れが悪い。
・・・そんな事ないよ、綺麗な身体だったし、ドラゴンめちゃくちゃカッコよかったよ。
ブレスなんて吐けて最強なんじゃないかと思ったよ。
でもなんでトカゲなんて言ったんだよ、魔族は嘘つけないんじゃないのか?
・・・すまん、ノルは魔族の記憶がないのだったな、失念していた。
魔族の間ではトカゲはドラゴンの隠語なのだ。
恥ずかしいのは、、、ト、トカゲは可愛くないだろ。
私だってノルの様な愛くるしい姿が良かったのだ。
此処に乙女がいた、愛らしくて可愛くて、膝に飛び乗りグルグル回り鼻の頭をペロペロしてやる。
ドラゴンだってなんだって、クワンリだったら問題ないんだから。
クワンリはとても疲れたと言ってベットに倒れ込むと気を失う様に寝てしまった。
お腹の上で丸まりたいのだが、我慢して頭の隣で俺も目を瞑る。
ドアがノックされる、猫パンチを頬にかます。
わずかに目を開けるがまた閉じてしまう。
よほど疲れたのだろう。
もうしばらくこのままそっとしておこう。
ノックは止み、足音は遠ざかる。
パトロールにでも行ってくるか。
一角鹿の様子を見に荷室へ行くと、見ない顔に出くわした。
二人は猫など気にせずに俺をいちべつしただけで話に戻る。
どうやら穀物商人の様だ。
聞き耳を立てて荷物の陰から様子を伺う。
話の内容からすると、二人は純度の高い魔性石を穀物箱の中に隠して密輸しているらしい。
翼竜はその魔力につられてやって来たのだと話し合っている。
ドラゴンもそうなのではないかと怯えていた。
捨てるか持って行くかで言い争いを始めた。
ドラゴンの姿が見えないと言って身なりの良い方の男が持って行く事を決めた。
そして、二人は荷室を出て行った。
パトロールを終えてクワンリの様子を見に帰る。
クワンリが言うには、ブレスを吐いたおかげで魔力を大量に使ってしまい凄く怠いらしい。
魔草などでは賄うことが難しく、魔性石を引き詰めた上にでも寝ないと回復するのに一週間はかかるのだとこぼす。
ふふふふふ、大量の魔性石は荷室にあるんだよ。
猫で良かったとつくづく思う。
神は俺の味方らしい。
ドアがまたノックされる。
クワンリがドアを開けると風読みの孫娘がモジモジしている、何か聞きたそうだ。
「あの、、、クワンリさん言いたくなければいいんですが、さっきのドラゴンはクワンリさんですよね。」
見られていたらしい。
「そうか、見ていたんだな」
孫娘はアタフタしながらも目を輝かせている。
「誰にも言ってません、これからも言いません、皆の命の恩人です、お礼が言いたくて来ました。ありがとうございました。」
孫娘は深々と頭を下げ出て行こうとするので、クワンリに引き止める様思念で伝える。
クワンリが魔力切れを起こし困っている事、穀物箱に密輸の魔性石がある事、それをこっそり借りて引き詰めてクワンリの魔力補充をする事、など伝えさせた。
穀物箱にある魔性石のことはクワンリも驚いている。
そりゃそうだ、さっき仕入れて来たホットな情報なのだからね。
孫娘は快く引き受けてくれた、俺とクワンリが意思疎通できることも教えるととても羨ましそうにクワンリに色々聞いている。
そんな時間は無い、早く荷室へ行って魔力補充だ!
具合の悪いクワンリなどひと時だって見ていたく無い。
頑張りました。
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