空の旅
風読みのオババの指示の元、気球船が浮き上がる。
最初のうちは進行方向の逆方向へ流されていたが、高度が上がるとともに前に進み始めた。
気流の道を見極める風読みとはすごいと思う。
魔導エンジンの様なプロペラも付いてはいるが、離陸の時に微調整に使っただけでほとんど使っていない。
なので風切り音だけで気球船は静かに進む。
船とはいっても気球なので揺れは独特だ。
船体は気球にぶる下がっておらず、直についているからまだ揺れはましなのだと、船酔いをしているクワンリに風読みの孫娘が話しているのを聞いて納得した。
窓から見える景色はなんだか不思議な光景だ。
小さな雲の群れの中一緒に流れている。
幻想的で見惚れてしまう。
さっきパトロールをしてきたが、なかなか広い。
荷室の一角鹿の様子も見てきたが、これと言って問題はないようだ。
この一角鹿は寡黙で男前だ。
ネズミはいるが、後ろ髪引かれる思いで見逃す。
無駄な殺生はしたく無いのだが、いつまで身体を抑えられるか少し不安になる。
猫じゃらしの時の様に本能に支配されたらどうにもならないと思う。
気がついたらネズミを咥えていたなんてシャレにならない。
穀物商人は部屋からあまり出てこない、クワンリの様に船酔いでもしているのだろう。
カイゼルまでは上手く風の道に乗れれば二日の予定らしい。
障害物のない空はやはり早いんだなと実感する。
船酔いでくたばっているクワンリの様子を見に行くと少し良くなったのか魔草を吹かしている。
一鳴きして足首に擦り寄ると、いきなり抱き抱えられて撫でくりまわされる。
嫌いじゃないが今はそういう気分じゃない。
身をくねらせ逃れる、クワンリは不服そうだが、俺はジャラシて欲しいのだ。
その意向を伝えるとクワンリはまだ本調子ではないと言って遊んでくれない。
仕方がないので窓の外を見ながら昼寝でもしようと思って小机にジャンプして外を見る。
んんんん!
雲の切れ間から大きな鳥?が数羽見え隠れして飛んでいる。
明らかにこの船と一定の距離を取って並走している。
視力強化で確認すると、、、確認すると!!!
よよ、翼竜〜〜だ!
さすが異世界!
やばいそんな事言ってる場合じゃない。
・・・クワンリ!翼竜!
翼竜が飛んでる!並走してるみたい! どうしよう、、、
クワンリは魔草を深く吸い込みおもむろに窓を覗き込むと
・・・ノルはここに居ろ、私が船長に話してくる。
いいな、ここにいるんだぞ。
ふらつきながらドアを開け出て行った。
心配だ、フラフラしてるじゃないか。
気づかれない様に後をついていく。言いつけを破るが、心配なんだから仕方がない。
船長の所に行き、何やら話している。聴覚強化をするまもなくクワンリは出てきた。
息をひそめ隠れる。
何を思ったか航行中立ち入り禁止のデッキに向かっている。
魔術で翼竜を攻撃でもするのか?
でも魔族は攻撃魔術は使えないはず。
デッキを見渡せる窓を探し様子を窺う。
クワンリは何を思ったか服を脱ぎ出し全裸になった、均整の取れた身体だ。
ドギマギしながら幸せにひたっていると、何やら目を瞑りブツブツ言っている。
一瞬赤い霧がクワンリの周りに立ち込めグルグル回り出す。
霧でクワンリが見えなくなった。
残念だ。
霧が一斉に霧散すると、身体が赤黒い龍が現れた。
龍と言うよりドラゴンだ。
あっけに取られていると、ドラゴンはデッキから飛び立ち翼竜の群れに一直線で向かっていく。
窓を変え翼竜が見える位置を探す。
何がトカゲだ、、ドラゴンじゃないか!しかもレッドドラゴン。
獣落ちの正体はトカゲじゃなかった。
ドラゴンになったクワンリは翼竜の周りを旋回し吠えている。
と、思ったらブレスを吐いた!
青と黄色が混じったブレス。
翼竜の脇をブレスは走る。
翼竜達はギャーギャー言いながら去っていく。
それを見届けたクワンリは気球船の死角からデッキに帰って来る。
すげえ、クワンリ無敵じゃね〜の。
暑くて脳が溶けてきました。鼻から出てきた気がします。
更新遅れがちですんません。
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