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あゝ異世界転生、亜神なり ~能力全開の快適スローライフ~  作者: 渡名喜橋もうれ


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18/20

ダンジョン探索(4~5階層)

ダンジョンアタックは続く。

 第四階層の遺跡型フィールドに降りてきたアイノ探検隊。


 この階層は、ダンジョンに入る前にあった古代遺跡みたいな構造物が、そのまま地下に入っている感じのフィールドで、いうなれば地底都市という感じだ。


 正直、第三階層でテンションを使い切ってしまった感があるため、俺もゴレム達も半ば消化試合みたいな感じになっている。


「マルメロ様。拠点に戻ったら、まずは王道のカレーを作ってみましょうよ」

「そうですね。その後にバリエーションを広げていきましょう」


「いやぁ~、キノコの栽培楽しみだぁ~。あっちのエリアにキノコの栽培ハウス建設しないとだべぇ」

「おっ、そしたらあっしがちゃちゃっと建ててやらぁなっ!」


 もう完全に意識ここにあらず。なんなら地面をぶち抜いて下の階層に行こうかと思うくらいだよ。


「まったく、どうなっておるのだこ奴等の強さは……」

「……」


 ロスカに抱えられたテトが呆れたように呟くと、それに賛同したようにロスカも「うんうん」と無言で頷いた。



 今のところ、人型や魔物型のアンデッド、動く骨ことスケルトン、そこそこ強い獣型魔物などがわんさか出てくる。しかも、どの魔物も上の階層のものより狂暴である。


 本来、遺跡型は秘宝やロストテクノロジーが眠っていて、それらを発見するのが最大の目的とする場所らしいのだが、それはまた今度でいいのではないかと思い始めてきた。


 古代遺跡っぽくて雰囲気あるし、軽く見て周って、さっさと最下層に向かおうかなと思っていた我々アイノ探検隊であるが、遺跡を抜け広場の様な場所に出たところで、今日一の衝撃を受ける事になる。




「「ッ!?」」


「アイノ様! 大変です! こ、これは……まさかそんな……」


 マルメロとフィグが何かを感知し、マルメロが俺に緊急事態を報告してきたのだが、その様子からただならぬ気配を感じた。あのマルメロが臨戦態勢を取っているのだ。これはとんでもない事である。


「来ますッ!」




 ―――― ドオォンッ!!




 俺達の前に、ロスカの麒麟形態を遥かに超える大きさの大型魔物が、空から凄い速度で降りてきた。降りてきたというか、突っ込んできた。それも三十体も。


 轟音と共に姿を現したその大型魔物は、牛とドラゴンを合わせた様な見た目をしており、濃緑の体躯に巨大な翼と角、顔は牛なのに牙が生えており、鋭い爪まで生えている。まさにモンスター。


 ロスカも臨戦態勢を取っている。


「アイノ様! あの魔物は危険です!」


 そう言いながら俺の横で臨戦態勢を取っているのだが、テトを抱えているので緊張感がない。



「マルメロ、まさかあの魔物って……」


「はい! あれは今までの魔物とは格が違います! あれは……『特級魔物』ですッ!」



 我々の上級魔物最美味神話が崩壊した瞬間である。俺、サブ、ファム蔵、マルメロ、フィグは、皆一様に目を見開き、その信じ難い事実と言う名の衝撃に耐えていた。


「あれは間違いなくレッツモーを凌駕する、美味なる魔物です」

「はい。私達の食味判定がそう告げています」


 さっきからマルメロとフィグの食味判定が「激旨ッ! 激旨ッ!」っとアラートを上げている。


 俺達は完全に油断していた。もうこのダンジョンに用は無いとさえ思ってしまっていた。


 くっ、上には上がいるのか……



「アイノ様! どういたしますか?」


 ロスカが、恐らく戦闘の指示を仰いできた。


 どうもこうもない! やる事は一つしかないだよッ!



「よしッ! 討伐ッ!」


「「「「はッ!」」」」


 隊長である俺の掛け声と同時に、俺とゴレム達は一斉に魔物に向かっていった。


「え?」

 

 ロスカがそう声を上げた時には、既に俺たちは魔物に向かっていき、いつも通りぶっ叩いて討伐し、亜空間収納に入れていった。


 だが、俺と向き合っていた内の一匹が、俺の前から逃亡しようとしていたので空間固定で動きを封じ、その巨大魔物に手を添えて発勁(はっけい)的な攻撃で仕留めてみた。


「さすがアイノ様です。ぶっ叩く事すらしないとは」

「さすがは我らの神です」

「ほぉんと、さすがだべぇ」

「アイの旦那には敵いませんぜっ!」


 眷属のゴレム達が拝みつつ賞賛してくれている。嬉しい。


 ロスカはこの状況に呆然としている。テトは遠くの方を見ている。考えるな! 感じろ!


 この後、この謎の魔物を試食をしてみたのだが、さすが特級魔物というだけあり、尋常ではない美味さだった。あのレッツモーが霞んでしまうほどだ。テトとロスカも気を失いそうになっている。いやぁ吃驚すくらい美味かったな。サシの入り方も下品ではなく、味はくどくない和牛みたいだ。なんか、世に出してはいけないレベルの美味だと思う。


 余談だが、この魔物は「ファングモー」という名前に決定。こちらは、マルメロとフィグの案が採用された。




 食後、マルメロとフィグは二人で新作料理の話をしている。俺はサブとファム蔵と、とある事について打ち合わせをした。


 今回のダンジョンアタックは収穫が多かった。満足だよ。



「じゃぁ帰りますか」


「ツォーーーイッ! ツォイツォイ!」


 俺が帰ろうとしたら、テトが顔をビタ付けしてツッコミを入れてきた。


「なによテト。もうこれ以上は何もないって~」


「あるある! 全然ある! あと一階層あるであろう!」


「「「「「……」」」」」


 俺とゴレム達は無言の返事をした。


「いやいやいや。あと一階層! な、あと一階層だけ頑張ろう!」


 必死に説得してくるテトに押されて、渋々最下層アタックをすることにした。


 大団円だったのに。まぁ仕方ない。あと一階層頑張ろう。ダンジョン攻略してみますか。




◇ ◇ ◇




 ようやくやってきました最下層。第五階層は「◎△$♪×¥●&%#?!」という謎フィールドだ。


 最下層にやってくると、百五十メートル四方はありそうな大きな空間に出た。


 地下神殿みたいでとても雰囲気のある空間だけど、魔境でロスカと遭遇した後に空気が変わった場所があったが、あの場所の嫌な感じを超特濃にしたような「何か」が充満している。

 

 この階層は、上層階から降りてきてすぐのところに踊り場があり、その先に円形の台座が配置されている。その台座の上には大きさ一メートルほどの正八面体をした宝石のような物体が浮かんでいるのだが、その物体は宇宙を閉じ込めたような色をしており綺麗である。


 ただ、その正八面体の物体を取り囲むように、気味の悪い色をした霧が立ち込めていて、その中で魔物がウジャウジャと蠢いている。っというか、次から次に湧いて出てきていて結構キモい。湧いて出てきては「シュンッ」と、どこかに消えていく。もしかしたら上層階に飛ばされているのかも。時折り襲い掛かってくる奴もいる。


「テト、ここって魔物発生装置的な場所なのかな」


「恐らくそういった場所であろう」


 俺の質問にテトが答えた。


「アイノ、お主のマップに詳細が表示されているのではないか?」


 そうテトに言われてマップの詳細を見てみる。




 <奈落の迷宮(アップグルニアン)


 【全五階層】

 第一階層:迷宮型フロア

 第二階層:地下洞窟型フィールド

 第三階層:生態系型フィールド

 第四階層:遺跡型フィールド

 第五階層:人工構造物型フロア(カオス)

 状態:狂乱

 備考(+)




 この階層は人工構造物型なのか。ってことは、誰かが造ったってことだよね? しかもカオスってことは、やっぱり異常ってことなのかな。


「フロアの状態がカオスってなってるんだけど」


「フロアの状態がカオス? それでいて状態も狂乱なのであろう?」


 そういうと、テトはしばらく考え込んだ。


 少しの沈黙の後、テトが口を開いた。


「恐らく、これは邪素ノ乱流(コンクレイグ)であるな」


「邪素ノ源流コンクレイグ?」


 テト曰く、邪素ノ源流コンクレイグとは、ダンジョン内に集まる魔素の乱れのことを指すらしく、地脈のズレなどで魔素の流れが変わってしまい、魔素が邪素に変質してしまうことが原因とのこと。そうすると、ダンジョンの秩序が乱れ、ゆくゆくは魔物暴走が発生し無数の魔物が地上に出てきてしまうらしい。


「ここへ来る前に魔境で嫌な感じのする場所があったであろう? あそこも邪素が多くなっていたぞ」

「あぁ、なるほど」


 テトにそう言われて腑に落ちた。あの「嫌な感じ」は邪素が混じっていたからだったのか。


 ちなみに、邪素を簡単に説明すると、汚染された魔素って感じである。山の空気は澄んでいるけど、工場地帯の空気は汚染されているという理屈がわかりやすい。なので、魔素が邪化(じゃか)して邪素になり、それが淀んだ状態が邪素ノ源流コンクレイグといった感じ。


「まだ魔物暴走には至っておらぬが、あと数日後には発生していたとみて、まず間違いない……しかし……」


 ただ、今回の件でテトが気になっているのは、ダンジョンの状態が「狂乱」となっていることみたいだ。


 俺も狂乱という状態が気になっている。ただ、このダンジョンに入ってマップを見た時から気なっていた「備考(+)」という謎の表記も気になっていた。ちょっと見てみるかと、この項目をタップした瞬間、とんでもない圧を感知し、それと同時に攻撃が飛んできた。



 ――――ドゴォンッ!



 その攻撃は俺達を直撃した……けど特に問題はございません。ロスカは仰々しく結界的なモノを張ってテトも一緒に守っている。


「なんか凄いのが出てきたね。あれってダンジョンボスみたいな奴か?」


「とりあえず、アイノ様に攻撃を向けたという事実だけで許し難いです。速やかに抹殺しましょう」


 俺に楯突く奴は速攻死なすメイドことマルメロが、今にも飛び出して行きそうだったのでストップを掛けた。


「はい、テト。あれ何?」


「……断言は出来ぬが、恐らくダンジョンマスターのような存在ではないか?」


 俺が質問すると、「ふむ」と言った感じでテトが答える。ここにきて異世界名物ダンジョンマスターに遭遇できるなんてラッキー!


 背丈はだいたい俺と同じくらいで、身体は台座に浮いている物体と似たギャラクシーっぽい色をしていて、所々光っている。手には水晶の板みたいなものを持ち、白と濃紺が混じった髪が逆立っていて雰囲気ある! 今はどこからどう見てもバーサーカーみたいになってるけど、元々は知性があったんじゃないかな。あと、見た目からして恐らく女性……だよな?

 

 立て続けにずーっと襲い掛かってきてるんだけど、なんとなくロスカが苦しんでいた時の状況に近いものを感じる。


 俺は「あっそうだ!」と、思い出したようにマップの備考(+)を確認してみた。



 <ダンジョンの支配者>

 名前:???

 年齢:???

 状態:狂乱、邪化

 称号:ダンジョンの支配者(ダンジョンマスター)、ダンジョンフィクサー



 え、ダンジョンフィクサー? ってのは謎だから一旦置いといて、状態が狂乱になってる。あと邪化してるじゃん。


「なんか、邪化したダンジョンマスターっぽいよ。あと狂乱ってなるんだけど、多分、ダンジョンマスターのこいつが邪化して狂乱状態だからダンジョンも狂乱になってるみたいだね」


「……で、あるか」


「テト、こいつからはロスカの時と同じ嫌な感覚があるんだよね。恐らくヴァイス絡みだと思う」


「くっ……で、あるよな……」


 俺の言葉に、テトは悔しさに唇を噛み締めている。唇があるのか怪しいんだけどね。


「すまない! お主が斯様な姿になってしまったのは私のせいである……」


 テトが、肩(?)らしき場所を震わせ、視線を伏せながら狂乱状態のダンジョンマスターに謝罪している。なので、狂乱状態のダンジョンマスターの動きを封じ、「浄化」のイメージを念じてみた。すると、辺りに立ち込めていた気味の悪い色の霧が晴れて幻想的な靄へと変わり、魔物が淡々と発生しては消えていく。あと、周囲の構造物も綺麗になってるな。


 狂乱状態であったダンジョンマスターも、状態異常が解けて「ドサッ」とその場に倒れ込んだ。意外にあっさり解決できて良かった。


「私の感情を返せッ!」


 真っ赤になったテトが顔をビタ付けしてきて恥ずかしがっている。まぁ解決したんだからいいじゃない。



 テトのことはさておき、しばらくすると、その場に倒れ込んでいたダンジョンマスターが目を覚ました。


「……ん……? 私は一体何を……」


 ダンジョンマスターはキョロキョロと周囲を見渡し、俺達の存在に気が付いた。


「急で悪いんだけど、お前何者なの?」

「いや急すぎるッ!」


 俺の質問にテトがツッコミを入れてきた。



 起き上がったダンジョンマスターは、テトの様にフワフワと浮遊しながら俺の前にきて頭を垂れ、自分のことを喋り始めた。



「いやはや、あなた方はもしかしてこのダンジョンの攻略者様達ですか? いやぁ~、このダンジョンを創って数千年ほど経ちますが、攻略された方々は初めてでございます。貴方様方のことは最大限の敬意を持って賞賛させていただきたく存じます。もし、よろしければ上層階のご感想などお聞かせくださいませんか? 何か御望みの魔法具などありましたら、他のダンジョンから取り寄せさせていただきます。何故かここ最近の記憶がないのですが、気付いたら目の前に貴方様方がいらっしゃって驚きましたよ、はっはっはっ。あっ、申し遅れました。わたくし、この世界の全ダンジョンを統括しております、ダンジョンフィクサーの『メイズ』と申します。以後、よしなに」


 めちゃくちゃ喋る。起き抜けのテンションじゃない。


 見た目は魔王かってくらい怖いのに、気さく過ぎる。気になるところがてんこ盛りの変な奴が出てきた。


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