古代遺跡みたいなのがある
「さて、ちゃっちゃと目的に行こうか」
魔境調査中、麒麟でワリーファーリーのロスカが、俺の眷属となって新たに仲間として加わり、彼女もこの先の魔境調査に同行する事となった。
まぁ、結構強かったから上位魔物と遭遇しても自分でなんとかするでしょ。何かあったとしてもゴレム達もいるし、特に心配するような事はない。
「それにしても、アイノ様のマップに表示されない場所って一体どんなだべか? 楽しみだでぇ」
「そうですね。美味なる魔物か食材が発見できるといいのですが」
「私は食材がいいです!」
「あっしは面白い資材が見つかって欲しいもんでさぁ」
ファム蔵、マルメロ、フィグ、サブがそれぞれワクワクした様子で会話をしている。俺的にも、何か面白い発見があったら嬉しいなと思っている。本当に楽しみである。
わいわいしながら目的地を目指していると、立体マップに表示されていた場所付近に到着した。
「ん?なんだあれ?」
原生林を開拓しながら進んでいくと、その原生林に溶け込むように佇む建造物らしき物が見えてきた。なんでこんな明らかに誰も来ないような場所に人工的っぽい建物があるのだろうか……
「ふむ、あれは恐らくダンジョンであるな」
「ッ!? あれが!!」
テトの言葉に俺は過剰に反応した。そりゃそうでしょ。異世界に来たからには絶対に見てみたいものトップスリーに絶対入るダンジョンだよ! それが今、目の前にあるんだから興奮を抑えろっていうのが無理ですわ。
俺だけではなく、ゴレム達も「うおぉー」っという感じで高まっている。珍しくマルメロまで目を輝かせていた。やはり俺の子達だ。似ている部分が多い。
異常に盛り上がる俺達を敬遠しつつ、テトがダンジョンについて説明してくれた。
テトが言うには、ジェムボーデンにおけるダンジョンは六種類ほどあるらしい。
【地下洞窟型】
これは、俺が想像していた最もスタンダードなダンジョンで、自然にできた洞窟がダンジョン化し、魔物の巣窟になるタイプにようだ。ダンジョン内のあちこちにトラップがあり、基本的には魔物素材を求めて冒険者が挑むらしい。後述する生態系型に近い造りである事が多いとのこと。テト曰く、ジェムボーデンではこのタイプのダンジョンが一般的。
【遺跡型】
古代文明の遺跡や古城などがダンジョン化したと考えられているタイプで、古代人の知識や秘宝が隠されているとされる。現代では失われたロストテクノロジーなどを駆使して、侵入者を阻むタイプであり、これもまたスタンダードなダンジョンである。特にロストテクノロジーを研究する事で生活に役立てたりするらしい。
【生態系型】
地下にあったり森の一部であったりと、幅広い場所に誕生するタイプのダンジョン。魔法の森とかサイケデリック風の森みたいな感じがイメージに近いだろうか。このタイプのダンジョンに挑む冒険者は少なく、迷い込んでしまう事が多いらしい。
【迷宮型】
これも俺がイメージしていたダンジョンで、いわゆる室内迷路といった感じのよくあるやつ。スケルトンとかアンデッドが出てくる超コテコテのダンジョンがこのタイプとのこと。トラップが設置されていたり、フロアボスなどもいる事があるらしく、それらの魔物やミミックなどがドロップする宝石や魔道具、迷宮財宝などを目的に挑戦する冒険者が多いタイプでもあるらしい。
【人工構造物型】
なんらかの理由で立場を追われた司祭や、高位の魔法使い、賢者、王族などが秘法を用いて人工的にダンジョン化させたタイプらしい。時の権力者が隠したがる「真実」を知ってしまった者が、それを後世に伝えんとするパターンが多いとのこと。隠れキリシタンみたいな感じか。
【複合型】
色々なタイプが混ざっていて、超高難易度ダンジョンであるらしい。このタイプのダンジョンは少ないらしく、攻略者もいないので詳細が不明であるとのこと。
「見た感じでは、今回のダンジョンは遺跡型っぽいではあるが、もしかしたら複合型かも知れぬな」
テトが期待させる事を言っている。もしこれで複合型じゃなかったら、マルメロに遠投してもらうから覚悟しておけよ、テト。
ちなみに、ダンジョンというのは天空神や地上神が創ったものではなく、勝手に誕生するものらしいが、正直そこまで詳しく知らないと言うのがテトである。マジで微妙に役に立たない。
とりあえず入口を探す為、見つけたダンジョンに向かった。
入口に向かうまでの道も、古代遺跡っぽくてすこぶる良い雰囲気を醸し出している。東南アジアとか南米にありそうな遺跡なので益々テンションが上がってしまう。それにしても、結構な範囲を樹々に侵食されているけど、前はもっと綺麗だったのだろうか?
不思議だなぁと思いつつ歩き回っていると入口を見つけた。ここも樹々が複雑に絡みついていて雰囲気が出過ぎである。これこれ! こーゆーのを待ってたんだよ俺は! 拠点でダラダラ楽をしようとした自分が恥ずかしい!
かなりいい感じの場所なので、樹々の侵食は活かしつつ周辺を少し整備しておいた。これで完璧に東南アジアとか南米にありそうな遺跡テイストになったんだけど、こんな原生林の中に突然現れるようにあるなんて完璧すぎるだろ。
周囲を整備していてわかったのだが、だいたい五百メートル四方ほどの大きさに遺跡のようなものが広がっている造りだ。鳶ゴレム達に整備してもらえば人が住めそうな感じすらある。もし整備されたら、この古代遺跡っぽい場所を何かに利用しても面白いかもな……ヤバい、想像すると色々とワクワクが止まらない。楽しすぎるだろ異世界。
それと、このダンジョンに興味をそそられたのは、古代遺跡っぽいからだけではない。そもそも来る前から俺の立体マップに詳細が表示されなかったのだが、現地に到着し周辺整備をしたにも関わらず、一向に詳細が表示されない。詳細をみても「???」とか、「◎△$♪×¥●&%#?!」みたいに、その詳細を全くもって見ることができないのだ。しかも解析鑑定で調べても、地下に「何かがある」くらいしか分からなかった。
神力を妨害できるほどの「何か」がこの下にはあるんだよ。そりゃワクワクもするさ。サブとファム蔵も、いつも以上に前のめりだ。マルメロなんて両手を合わせて組んでクルクルしている。ヴァンダレイかお前は。
「あっしとファム蔵が先頭を行きまさぁ」
「んだ」
「私とフィグはアイノ様の後方をお守りいたします。いいですね、フィグ」
「はい。問題ありません。楽しみです!」
「よし、それじゃぁ行こうか」
さて、周辺整備も完了し、入口を発見した我々アイノ探検隊。いざ行かん! ダンジョンから始まる異世界冒険! っと鼻息荒くゴレム達とわいわいやっていたのだが、例のヒステリック下級霊がにわかに騒ぎ出した。うん、予想通りだよ。
「アイノ、まさかなんの考えも無しにダンジョンに入る気じゃないだろうな? ここは未知のダンジョンであるぞ? しかも魔境の最奥と言ってよい場所にあるのだぞ!」
「「「「「……」」」」」
何やら熱弁しているテトであるが、俺達の心はここにあらずである。ロスカはやや不安そうな顔をしている。いや、お前の能力値があればギリギリいけると思うんだけど。
「よいか? 私もダンジョンについては良くわからないのだぞ。それくに加えて魔境という明らかに異様な地にあるダンジョンであるのだぞ? 周辺の構造物が樹々に侵食されている状況を見るに、誕生してからそれなりの年月が経っているはずである。これは間違いなく凶悪化しているはずであるからして……」
「「「「「……」」」」」
永遠に続くテトの熱弁。いい加減疲れてきたので、テトの熱弁を無視して俺とゴレム達はダンジョンの中に入っていった。ロスカもマルメロに引きずられながら入っていく。無抵抗で引きずられていく麒麟って中々シュール。ロスカ、こーゆー時は無我になるのが一番だ。
「~っであるからして……ん? って、ツォーーーイッ!!!」
二度見をして突っ込むテト。もうそれやりたいだけだろお前。
あわあわしているテトは放っておいて、我々アイノ探検隊は勇敢にも未知のダンジョンに入っていくのだ! 引きずられているロスカに俺は言う、「ロスカよ、覚悟を決めろ!」っと。
魔境に一人残されたテトが取る行動は一つ……
「……」
「待つのである! 私もダンジョンアタックに連れて行くのである!」
結局付いてくるんかい。
ここからダンジョンの話が続きます。
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