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あゝ異世界転生、亜神なり ~能力全開の快適スローライフ~  作者: 渡名喜橋もうれ


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14/20

麒麟が眷属になってた

 魔境を進み、これまでとは明らかに空気が違う場所に出た。ここから先は今までより高位の魔物がわんさかいる気がするけど、可食魔物が少ないな~。


 目的地となったところまでは、立体マップで見た感じ約二キロくらいだし、まぁ行けば分かるさ。ちゃっちゃと進んでしまおう。



「じゃぁ、そういうわけだから、ロスカ、元気でな!」


 俺とゴレムクルス達は振り返ってロスカに別れを告げた。


「「ツォオーーーイッッ!!!」」


 テトとロスカが「ズザァ」っとしがみついてきた。テトの弟子にでもなったのかロスカよ。


「アイノ、これは連れて行く流れであるぞ! 流石の私でも分かるのである!」


 相変わらずテトは顔をビタ付けしてくる。


「いや、ほら、ここから先は結構強い感じの魔物が沢山いるからさ。ロスカは自由になって強くなったんだから魔境でも生きていけるよ。じゃぁ、元気でな!」


「獣頭の厄介そうな奴きたから早く帰ってもらおう……じゃないんですよッ」


 ロスカは意外にツッコミの才能がありそうだ。


 もう自由なんだし、これからは魔境で伸び伸びと暮らしてくれればいいんだけど、なぜか執拗に同行を懇願してくる。


 ロスカは「ふぅ」と落ち着きを取り戻し、俺に理由を述べ始めた。


「アイノ様、私は既にアイノ様の眷属なっておりますゆえ、これからも同行させていただきたく存じます」


 そう言ってロスカは頭を垂れた。


「え? 眷属? ちょっと解析鑑定してみようか……あっ、ほんとだ」


 うん。ちゃんと眷属になってる。


 テト曰く、「血肉を分ければ、そりゃ眷属になるだろう」とのこと。何その異世界ルール。あれ、でも確かにゴレムクルス達を創った時は血を使ったからな……そりゃそうなるか。異世界だもんね。しかも名付けして存在進化とかしちゃってるもんなぁ。


「じゃぁ仕方ないか。まぁ、励めよ」


「はっ! この私めの矮小なる命、アイノ様に捧げさせていただく事をお許しくださいませ。今後は、微力ながらも影となり日向となり、アイノ様に誠心誠意お仕えいたします!」


 武士かお前は。片膝を付いて口上を述べているロスカから戦国感が漂う。


「麒麟ロスカの忠誠をアイノ様に!」


 ロスカは続けてそう言うと、親指を自分の牙で切り、流れた血で契約の魔法陣みたいなものを地面に描いた。すると、魔法陣は光を放ち、俺とロスカを結んだ。どうやらこれで眷属契約されたらしい。ゴレム達の時はそんなの無かったけどな。


 


 奇しくも、また一人眷属が増えた。マイナスになるような事ではないから、労働力が増えた事を素直に喜ぼうと思う。


「そういえば、俺達の自己紹介ちゃんとしてなかったな」


 昼食の時にテトが説明したと思ってたんだけど、ただ普通に会話をしていただけだった。そんなんだからメイドゴレム達に侮られるんだぞ。


「さっき昼飯の時に話し掛けてたこのオバケみたいなのがテトだ。本名はテトルス……だったっけ?」


「テティオスだッ! テ・ティ・オ・ス! まぁよい。私はジェムボーデン、この世界の元・天空神であるテティオスだ。これからよろしく頼む」


 テトがいちいち顔をビタ付けしながら訂正した後、ロスカに向き直って自己紹介をした。


「えッ?! か、神? なぜ天空神様が地上に降臨なされているのでしょうか……?」


 跳ね上がる勢いでロスカは驚いた。確かに無理もないよね。容姿が容姿なだけに元神様なんて俺でも想像できないよ。


「お主と同じく邪神であるヴァイスに、一杯食わされてしまったのである。誠に不甲斐ないのだが……」


テトが「くっ」っといった表情で悔しがっているのだが、お前のせいでロスカがあんな感じになってたんだからね。


「ロスカ、そもそも、お前をあのような姿にした邪神は、そこの下級霊が原因で生まれたのですよ」


 予想してたけどマルメロがちゃんと言ったよね。


 それを聞いたロスカは、やや軽蔑したような目でテトを見つめた。しゅんとしたテトはロスカの前にふよふよと飛んでいき謝罪していた。元神に謝罪されたら困るだろ。


「ははは。っで、こっちの男衆二人は鳶三郎とファム蔵ね」


「よろしく頼まぁ、ロスカ!」


「同じ眷属同士、仲良くやるべぇ」


 サブとファム蔵は軽快に挨拶をした。


「んで、メイドの二人はマルメロとフィグ。ゴレムクルスっていう種族で俺の眷属。言い忘れてたけど鳶三郎とファム太もゴレムクルスで俺の眷属ね」


「アイノ様の下でメイド長を務めておりますマルメロです。以後、よしなに」


「同じく、アイノ様の下でメイドを務めておりますフィグと申します。以後、よしなに」 


 二人は軽く頭を下げて挨拶をした。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします……それにしても初めて聞く種族なのですが……」


 挨拶もそこそこに、ロスカはゴレムクルスが気になるようだ。一見普通の人だからな。まぁ、ちょっと目元と髪型の圧が強めだけども……


「彼女たちは俺が創った新種族だ。俺たちの拠点にもまだいるぞ」


「え? 創った……? 生命を……お創りになられた……のですか?」


 失神するんじゃないかってくらい驚いている。よし! いいリアクションだ!


「そうです。私達ゴレムクルスは、アイノ様にお創りいただき誕生した種族です」


 マルメロが淡々と説明していく。


「……それでは、まさかアイノ様は……」


「アイノ様は、このジェムボーデンで最も崇高な御方であり、この地上における神なのです」


 ――「ッッ!!!???」


 ロスカは遂に飛び上がって驚いた。まぁ無理もないと思う。しかも気を失っている。よし! 今日一のリアクションだ!


 数秒間の失神の後、ロスカは信じられないといった様子で何かブツブツと独り言を言っていたが、自分を救済してくれたことや、マルメロ達の異常な強さを目の当たりにして、無理やり自分を納得させているようだった。


「私はとんでもない方々のお仲間に加えていただいたのですね……」


 ロスカが遠くを見ながら呟いた。徐々に慣れていって欲しい。




 ここから先に進む前に、ロスカの能力値を確認しておこう。



 <名前>

 ロスカ


 <種族>

 麒麟/ワリーファーリー


 <能力・称号>

 アイノの眷属、自由自在、不老不死、炎癒、神獣、多段変化



 なにやら面白そうな能力を持っている。「自由自在」は俺の万物創生やゴレム達の変幻自在の魔法版みたいな感じだから、それなりに制限がある能力っぽい。「炎癒(えんゆ)」は回復系のスキルだった。


「なぁテト。この『ワリーファーリー』って何?」


 ロスカを解析鑑定で見て、一番気になったのがこの謎の種族であるワリーファーリーだ。


「ふむ……確か『ファーリー』という神獣の末裔である希少種族がいたはずであるぞ。見た目はロスカの様であったと思う」


「じゃぁワリーって何?」


「お主の眷属となり神獣となったことで、ロスカはファーリー達にとって特別な存在となったのだ。『ワリー』は彼等の言葉で神聖を意味する。なので、ワリーファーリーとは、彼等にとっての神を表すものであるな。獣人族からすればファーリーが神であるからして、ロスカは獣人の神でありファーリーの神でもあるってことであるな」


 神が増えました。


 ってか、獣人じゃなくてファーリーって種族だったのか。なんか急に獣人を見たくなってきた。違いが気になる。


 ちなみに、人化してもらったのだが、人化するとファーリー形態より若干身長が低くなるみたいだけど、それでも約百八十センチはあるし、マルメロ達と同様で色々とデカイ。しかも、やっぱりリーゼントなんだね。サイドが赤くてリーゼント部分が橙色のリーゼントをしてる。色々と慣れてきたよ俺は。


 麒麟形態だと移動手段として助かりそうだし、もし、人里に行ったときなんかに彼女の存在は役に立ちそうだなぁと思うけれど、俺としては新たな仲間が加わった事を嬉しく思う。


 ロスカはメイドゴレム達から何やらレクチャーされており、ワイワイやっている。そんな彼等をよそに、コソコソとテトが俺に寄ってきて小声で話し掛けてきた。


「アイノ。わかっているとは思うが、これもある意味で新種族の創造であるぞ。そうなればお主の能力は天空神と並ぶ事になるのだ。近々、ウラノス様にご報告された方が良いと、私は思う」


「う~ん……面倒だけど暇な時にでもあの爺さんに聞いてみるよ」


 実は、ウラノスに連絡する手段を持っているのだ。転生してからしばらく経った頃、ウラノスから連絡がきていたのだが、忙しい振りをしてスルーしていた。なぜかグラスプに通知がくるのだが、チャットやメールみたいな感じで面白い。


 そんなこんなだからさ、今度連絡しておくよ、きっと……

 ただ、今は魔境調査だ!




 ロスカは能力値的にこの先に連れて行っても大丈夫そうだ。


 さて、魔境調査の仕上げ、やっちゃいますか。



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