7話
『作戦はこうよ。 まずはこの瓦礫の後ろからでてさっき奪ったアサルトライフルを敵に向けて乱射するわ』
「はっ?」
何をいっているのか正直なところ分からなかった。
自分は近距離でも銃を外すズブの素人。
対して相手は古代遺物をつかうスナイプの達人。
この状況で出ていくなんて多少の犠牲どころではない。
それこそ死にに行くようなものだ。
『まだ私達の力を信用しきれないのは分かるけど、でも私はこれが貴方を生存させる最善の策だと思っているわ。もちろんこれだけじゃ厳しいから私が色々とやるけどね』
「……」
『最後に使うのはこの子よ』
そうして指さした先に居たのはバグドローンだった。
「このバグドローンをつかって何をするんですか?」
『先程言ったでしょう。この子は色々な機能を持つって。この子は一回だけだけど強力な麻痺毒が使えるの』
「つまり……?」
『銃の音と光でこちらに注意を向けている間にこの子を近づかせるわ。そして昏睡させる。撃ち返される危険はあるけど今貴方が生き残る可能性が最も高い作戦よ』
確かに内容を聞けばそれなりに勝算がある計画ではないかと思う。
撃ち返される可能性こそあるが……やらなければどうせ死ぬのだ。
やるしかない。
「分かりました……やってやりましょう!」
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頭に狙いを定めた時不意に嫌な予感がした。
こういった勘は昔から鋭かった。
辺りに気を配ると銃弾の音に混じってブブブとなにか虫が飛ぶような音が微かに聞こえる。
なんだ虫かとスコープの向こうに意識を向け直そうとしたとき悪寒が最大になった。
避けようとしたがどうも遅かったらしい。
「っ!?」
チクリとした痛みとともに体が動かなくなる。
何が起こったと目を動かして後ろを見るとそこには蜂がいた。
いや……
「機械……敵の兵器か……」
どうやら敵に嵌められたらしい。
あの隙だらけの乱射も誘いだったようだ。
こちらに背中を向けどこかに走り出そうとする少年の姿が見える。
当たるとは思わない……が。
「くっ……」
痺れる体を無理やり動かして近くに落ちていた銃を抱え直す。
そうして狙いも程々に銃弾をうった。
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『はっ?』
作戦が上手く行きさて逃げようと数歩踏み出したところでvoid2が声を上げた。
なんだろうと聞き返すまでもなく肩に衝撃が走りそのまま倒れ落ちる。
「熱い……?」
肩に手を当てると手に血が付いた。
そうか、撃ち抜かれたのか。
『ごっ……ごめんなさい』
void2の悲痛な声が聞こえる。
『まさか動けるとは思ってなくて……その上当たるなんて……』
その声は怒られるのを恐れる子供のようだ。
俺は体を無理やり起こす。
「大丈夫です……まだ動けます」
『そう……なの?』
「はい、ルートの提示を……」
そうすると眼の前にルートが表示された。
『一応敵に見つかりにくい道を選んでいるけど……』
今の状況で逃げ切れるかは分からないということだろう。
だが前に行くしかない。
幸い大きな血管は避けているようだ。
腕は上がらないが問題はないだろう。
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どれぐらい進み続けただろう。
途中何度か眼の前でルートが変わったが今まで敵兵から見つかったことは一度もない。
「はぁ……はぁ……」
少し血を失い過ぎたようで頭がクラクラする。
もうどこまで走ったのかも見当がつかない。
『頑張って……まだ見つかる可能性がある危険な地域よ……』
void2は泣きそうな声で俺に声をかけてくる。
「はい……」
しかし一歩進むごとに体が重くなっていく。
既に動く速さは歩くスピードにも満たない状況でそろそろ限界であることだけは分かった。
そして。
「ぐっ……」
急に体に力が入らなくなり前に倒れた。
『コギト君!立って!まだ進むのよ!』
立ち上がらなければならないと強く思えば思うほどvoid2の声がどんどんどんどん遠くなって。
ついに意識が消失した。




