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34話

『コギト、すまないがゾンビ達のところまで行ってくれるか、気になったことがある』


「……分かりました」


 コギトは少し倦怠感を感じる体を押して立ち上がる。

 そのまま岩で潰れたゾンビ達の方へ向かって歩いていった。


『とりあえずゾンビの装備を剥いでみてくれ』


『装備……ですか?』


『ああ、そうだ』


『と言っても特段言うことのない市販の銃やボディアーマーだと思いますが……』


 コギトはゾンビ達の装備を見ながらそう言う。

 個体によってはぐちゃぐちゃに潰された者もあり、見ていて気持ちの良いものではなかったためコギトはぱっと見で全体の装備をみてそう思った。

 しかしvoidたちはそれが気になっているようだ。


『それが気になるんだよコギト、おそらくコイツらが来たのは旧文明の都市からだとは思うんだ、おそらく古代都市ってのは汚染も酷いからあの変異種達もそこから流れてきたと思うんだが……簡単に言えば装備の質がああいった変異種などを相手取るには低すぎる』


『……たまたまウイルスなどに感染した一般人と言う説はありませんかね?』


『いや、その可能性は低いな。感染するにはそれなりに古代都市に滞在するか奥地に行くかしないと罹らない。そういった意味で装備の質が低いのは不思議なんだよ』


『誰かが装備を剥いでわざわざ装備を替えたってことですか?それこそ無理では?力が強いからそれも一筋縄では行かないでしょうし』


『麻酔やらは効くとは思うがわざわざそんなことをして装備を替えるメリットなんてないしな』


『……やっぱり偶然では?』


 そうしてコギトとvoid達が不思議がっていると向こう側からハラが走って来たようで声をかけられた。


「コギト君!大丈夫かい?」


「多少怪我はしましたがなんとか」


「それは良かった……鼻血出てるけど布か何かいる?ほっぺはあとで縫ってもらわないとね」


「お願いします。あとやっぱり頬も切れてましたか」


 コギトはハラから受け取った布を鼻にあてる。

 止まりかけてはいたがやはりまだ流れているようで布が赤く染まり始める。


 その様子と周りに散らばるゾンビ達の死体を見てハラがため息をついた。


「全く……たまたま怪我ですんだからいいかもしれないけど人間相手に一人で戦いを挑むなんてね」


「ま、まぁ相手も何だか正気でなかったので……」


「ま、過ぎたことは良いけど次から無茶はしないでね、あとモナカさんが呼んでたよ、ついでに心配してた」


「すいません……今すぐ行きましょう」


「血が止まってからで良いんじゃない?」


 そう言って笑うハラ。

 暫く待って完全に血が止まったことを確認してから二人は移動することにした。

 他の岩場に歩いていくとモナカ達が座り込んでいるのが見えた。


「モナカさん!連れてきました」


「おー……すまんねハラ」


 力なく答えるモナカ。

 少しぐったりしたままコギト達に手を振る。


「いやー寝転がったままですまんね二人とも」


「あ、いえ、お気になさらず……足、大丈夫ですか?」


「アハハ、いやー駄目だねー動かんわ」


 モナカの足には包帯が巻かれており血が滲んでいた。

 モナカの他には怪我をした人間はいないようだったがその全てがモナカの方を心配そうに見ていた。


「それでサジュに聞いたで、襲いかかってきた人たちに一人で立ち向かったってな。コギト君こそ怪我はないんか?」


「ちょっとした切り傷やらはありますが大きな怪我はないですね」


「本当ッスか?鼻にも血の跡が付いてるッスけど」


「それもすぐ止まりましたよ」


「なら良いッスけど……無茶だけはしないでくださいよ」


 サジュがコギトに厳しい目をしてくるがコギトはそれを誤魔化すように笑う。

 実際はゾンビにつけられた傷よりもvoid達の能力の副作用の方が大きいのでどう反応すれば良いのかコギトにはよく分からなかった。


「ま、大きな怪我がないならええわ……それでコギト君、聞きたいことはいくつかあるんやけど……」


「……何でしょう?」


「あんた、何か地面の下から振動を感じんかったか?」


「振動ですか……?」


 コギトはゾンビ達をどうやって倒したかなどを聞かれるかと思っていたため少し面食らう。

 その表情を見てモナカはコギトが何も感じていないと言うことを察したらしく不思議そうに表情を変えた。


「うーん……やっぱり気の所為なんかなぁ……」


「すみません……どういうことなんですかね?」


「あー、まぁ気の所為かもしれんけどなぁ、銃で足撃たれて寝っ転がっとる時に何か下の方を通っとるように感じてな。もしやって思って他のみんなも感じてないかを聞いてたんやけど……コギト君も感じてないならウチの気の所為やろな」


 そう言ってコギトに何でもないというような身振りをするモナカ。

 しかしその顔は依然として納得していない風だった。


『地面の探査は得意じゃないからな……時間はかかるが一応調べておくか?』


『そうですね、お願いします』


 そうしてコギトはモナカに視線を向けた。


「そんなに気になるなら俺はまだ動けるので調べて来ましょうか?振動は何処に向かっていったんですか?」


「うーん……それなんやけどな」


 そうしてモナカが指を指した方をみるコギト。

 それを見て少し顔を青くする。


「あっち(街の方)や」


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