↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

32話

 コギトはサジュの方を向いて言った。


「俺に考えがある」


 それを聞いたサジュは少し怪訝そうな顔をしてコギトに尋ねた。


「考えって……あの気狂いと野獣達を同時に退ける手があるんスか?」


「できるかどうかはやってみないと分かりませんが……」


 そう言ってコギトはvoid達に視線を向ける。

 コギトに対して少しバツの悪そうな顔をしたvoid1がコギトの意図に気づいたようで質問してくる。


『……何が聞きたい?』


『アイツらのことです。ゾンビ、彼らって力が強くなっているだけですか?』


『まぁそうだな。銃も使うが狙いは悪い。五感も鋭いとは言えないな』


『ありがとうございます』


 そうしてコギトはvoid1から聞きたいことが聞けたのでサジュの方にまた視線を戻した。

 そういうサジュはというと虚空に目線を向けたコギトを不思議がっている様子であったがコギトの目線が戻ってきたことを察して真面目な顔になる。


「そうですね……サジュたちはあの野獣達の相手をお願いします。その間にアレを俺が」


「は……?あの数を一人でやるんスか?」


「はい」


 それを聞いたサジュは信じられないという顔をしたが終始真面目な表情を崩さないコギトに対して何かを言うのを諦めたような顔になる。


「本当に一人で行けるんスか?もしピンチになっても……俺らが助けられるかは」


「大丈夫です、さっきみたいに奇襲を受けなければ案外楽な敵だと」


 コギトは納得していなそうなサジュにそう説明する。

 強がりでもなんでもなく事実そう思っていた。

 先程首を銃で絞め落とされそうになりサジュに助けられたときにコギトは少し気がついたことがあったのだ。


『彼ら……錯乱しているだけでただの人間ですよね。野獣みたく殺したり食ったりを目的にしてる風じゃない』


『実際そうよ』


 つまりはそういうことだ。


『殺す手段はなんでもよくてだからこそ銃を使ってくる。でも適当な鉄砲、弾を撃てば当たるといけでもないって訳です』


 コギトにとって思い出されるのは銃を持った最初の日のことだ。

 あのときはよく狙って撃った一発だったというのに当たらなかった。

 今回のゾンビたちは距離こそはないもののそれで外している。

 狙って撃っていると言うわけでもなく適当に敵がいる方向にばら撒いているという感じであった。


『力が強いから近づかれれば厄介ですが、銃撃戦なら負けない。銃弾が沢山飛んでくる恐怖にさえ勝てればすぐに終わらせられる』


 そうしてサジュはコギトの言ったことに納得していないといった感じであったがコギトの意志は変わらないことを察したようだった。


「はぁ……分かったッス」


 少し後ろ髪が引かれるような表情であったが仕方ないというように立ち上がったサジュ。


「モナカさんに伝えて来るッス……背中は任せますから、本当に頼みますよ」


「うん」


 そう言ってサジュは岩から飛び出す。

 すぐさま銃弾が幾らかサジュに向けて飛んでいったがそれらは当たることなくそのまま地面を削った。


『さて、コギト君。本当に一人でやるのかしら』


 それを見届けてからvoid2がコギトにそう問いかける。


『すみません、少し援助を』


『索敵が上手く行ってなかったからそれぐらいはやるけど……大丈夫かしら?』


『さっきサジュが走っていくときも当たりませんでしたよね。多分彼はモナカさんが撃たれたからこそ奴らを過剰に恐れてる。でも冷静に考えてみれば当たらない弾なんてないのと同じですよ。それに僕の銃は硬い野獣よりもあっちに使うのが向いてそうですし』


『まぁ……それはそうだけど……そういう何処に当たるか分からない銃弾の方が予測しにくいわよ』


『当たらない物をリスクに数えるのも無駄でしょう』


 そう言ってコギトは立ち上がって砂を払った。


(そう、当たる確率なんてかなり低い……死ぬ確率はもっと低い……冷静になれば勝てる敵だぞ俺)


 震える腕を抑えるコギト。

 その時サジュが下がっていった方から銃撃が再開された音が聞こえる。

 その銃弾はことごとく野獣達の方に向かいゾンビ達の方には一つの弾丸も向かっていない。


(そうだ、サジュ達も俺を信用してくれてる……俺がやるしかない。この戦いに勝つために)


 それでコギトの震えが少し収まる。

 ふぅと大きく息を吐いてからコギトはvoid達の方向を向いた。


「さぁ、行きましょう!」



______________


『奴らは元々古代都市の密猟者(stalker)たちだ』


『stalker(ストーカー)?』


『あぁ、古代文明で遺物さらいをしている人間をそう呼ぶんだ。昔からな』


『それは初めて知りました……でもなんでその彼らが発狂してここに?』


『ここに来た理由は知らないが……発狂した理由は殆どの古代都市にまん延するウイルスや寄生生物、ナノロボットのどれかだろうな。そういうのに感染して頭がおかしくなった人間がゾンビって呼ばれているんだ』


 それを聞いたコギトは顔を嫌そうにしかめる。


『俺、ゾンビの体液をモロに浴びたんですけど……』


『それについては多少なら俺らでなんとか出来るから気にするな。ちなみに何が感染してようと弱点は頭だ』


『それはいい情報ですね』


 コギトは銃を構える。

 岩の向こうに見えるゾンビ達の数は映っていないものもあるのだろうが10以上はいるようだ。


『それではバグドローン達がサポート可能位置につくまであと10秒よ』


 void達が飛ばしているバクドローンがこちらに集まってきているのがはっきりと見えたコギト。

 そして準備はすぐに整った。


『コ、コギトさん、何時でも行けます』


『分かりました』


 そうしてコギトは岩から身を晒しだした。

 そこにはvoid達の予測通りの位置にゾンビがいた。


 すぐさまそれを狙い撃つコギト。

 それの応酬として幾らか銃弾が帰ってきた。

 しかしコギトは一体倒した時点ですぐに岩に隠れていた。


『写っていない数も把握しました』


『それでは俺たちも支援を始めるからな』


『はい』


 そうしてコギトの視界の中でマーキングされたバクドローン達が動き始めた。

 突撃銃を持ったコギトもそれに合わせて準備する。


「では、勝ちましょう」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。