3話
「企業連を……潰す?」
『そうだ。企業連を潰す』
「そ……それをしてあなた達になんの利点が……?」
『利点……まぁその過程でお前が強くなることだな』
「はっ……?」
何を言っているのかさっぱりだ。
俺が強くなることが彼らの利点?
「ちょ……まっ意味が」
『お前が強くなることで俺等に利益がもたらされる。そのことだけ分かればいい』
そう言って眼の前の男は笑う。
『お前に不利益を与えることは絶対にしない。絶対にだ』
「お……俺じゃないといけない理由は……?」
『ない、強いて言えば俺たちを見ることができる人間は限られている。お前はたまたま俺たちを見ることができたから助けた』
絶対に君じゃないと駄目だと言われるよりかは信じられるが……胡散臭すぎる。
俺の勘はついていってはいけないと言っていた。
だがそれと同時に惹かれていると言うのも事実。
断るか……?そもそも断れるのか?
進めば地獄が待っているのかもしれない。
だが進まなかったら企業連に支配されるだけ。
さらに反企業連側だったことがバレたなら運が良ければ一撃で殺してくれるかもしれないが運が悪ければ見せしめに拷問された末に殺されるかもしれない。
どちらの地獄がより良いか。
それを選ぶだけ。
なら簡単じゃないか。
無償の善意より利害の一致のほうがよっぽど信じられる。
「わ……わかりました」
『ん?』
「あなた達の言い分はわかりました。それで俺は何をすればいいんですか?」
それを聞いた3人は嬉しそうに笑った。
『なら、まずは俺たちと契約を交わさなければならない』
『私たちが貴方のサポートを完璧に行うために』
『貴方が私たちを裏切らないために……』
「はい。契約しましょう」
『内容は聞かなくて良いのか?』
「えぇ、だって俺の不利益にはならないんでしょう?」
『あぁ、それは約束しよう』
「なら良いです、契約のコツっていうのは欲張らないことだと思ってますから」
それを聞いた3人は少し苦笑したあとに俺の肩に手を置く素振りをした。
『『『対象Aからの許可を会得。これよりサポートに入ります』』』
そう言われ俺のサポートに入ったらしい3人。
だが俺自身は特に何かが変化したとは感じなかった。
『……そういえばまだ自己紹介をしていなかったな。君の名前はなんていうんだ?』
「コギトです」
『そうかコギト、俺の名前は……void1だ。よろしく』
void1と名乗る男はそう言って手を差し出す。
相変わらずそこには何もないが俺も手を差し出した。
「それで他の二人は?」
『void2よ』
『void3です……』
気が強そうな女性がvoid2。
逆に気が弱そうな女性がvoid3というらしい。
void1と同様に手を差し出し見た目だけの握手をする。
『さてコギト、俺らと契約してくれたことだしまずは俺らの力を見て欲しい』
「はい」
『だから今から君をこの街から脱出させよう』
「はい」
『よろしい、ではこれより索敵特化のvoid2をメインに置く。俺及びvoid3の姿は見えなくなるが一時的に休眠しているだけだから安心してくれ。それでは』
そう言うとvoid1の姿がかき消える。
void3という気の弱そうな女性も同様に消えた。
残されたのは気の強そうな女性だ。
『改めて……void2よ。よろしくね』
「よろしくお願いします」
『それではまずはこの街から脱出するわ。現状の説明だけども貴方が気絶してからすでに5時間が経ち、企業連による地上の制圧は終わっているわ。void1の予想では現状から敵の数が減る可能性は低く、逆に今から敵の数が増える可能性が高いわね』
「壊した都市の整備のため、制圧時に都市にいなかった反企業側を捕まえるために派遣してくるんですね?」
『そうよ。だから敵の数が増えきる前に都市を抜け、違う都市……まぁどこでも良いけどオススメはそのバンダナを外してどこかの企業連側の都市に行くことね。企業連側の都市の警備は意外と甘いわ』
「他の反企業側の都市に行かないのは……」
『まぁだいたい予想通りよ。どこもここと同じようにやられているわ』
「クソっ!」
予想してはいたが聞くとキツイな。
俺は悔しさで地面を殴りつける。
『悔しいのは分かるけどあまりモタモタしていられないわよ、今は大丈夫だけどあと数時間もすれば都市の外に逃げ出した人間を探し出す部隊が出るわ。それまでに距離を稼いでおかないと』
「ッ……分かりました」
『では道を表示するわ、もしかしたら目の前で変わったりするかもしれないけどちゃんと従ってくれれば大丈夫だから』
void2がそう言うと目の前にラインが引かれる。
おそらくこれが通るべき道なのだろう。
俺はそれに沿って歩き出した。




