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2話

 俺が生まれる100年以上前。

 世界大戦により世界の国々は消滅した。


 そしてそれの代わりとして世界に台頭したのが沢山の企業を束ねた企業連と呼ばれる組織だった。


 企業連は少なくなった人々に資源を提供し、街を作って戦争で疲弊した人々を救った。

 しかし50年前にトップが変わったとき企業連はその対価として人々を支配しようとした。

 それに反発した勢力が企業連に対して戦争を起こしたのが40年前のことだ。


 だが反企業連側の兵器の数は限られており、苦しい戦いは続いた。


 だが今から20年前。

 英雄と呼ばれる男が立ち上がった。


 幾らかの企業を反企業連側に寝返らせ、反企業連の都市を幾つも作った男が現れてからは反企業側の勝利が続いた。


 その姿に憧れて反企業戦線に参加した人間は少なくないだろう。

 かくいう俺もその一人だ。


 だがそれも今日までの話だろう。

 全ての都市はどこかの企業が所持しているものだ。


 それを反企業側が奪い自分達の拠点や最前線の砦として使っているが元は企業のもの。

 企業連も出来るだけ大規模破壊はしないようにしていた。


 だから街中で生活していても爆撃されることは決してなかった。

 だが負けが続いている企業連も痺れを切らしたのだろう。

 遂に大規模破壊を始めたらしい。


 企業連のトップが力で企業を黙らせたのか。

 それとも企業との間で何か契約をしたのか。


 俺には知りようもないが何かあったのだろう。


 そして反企業連の都市を爆撃。

 俺がいた都市は最前線ではないため最前線の都市とそこにいた英雄は……やめよう。


 企業連は爆撃でほとんどの人を動けなくしてから制圧することにしたのだろう。

 軍隊が乗り込んで来たのがその証拠だ。

 そして反企業連側に付いた人間の行末は決まって殺戮だ。

 ああして気絶した以上俺の生存は絶望的……


「あれ……?」


 生きてる……?


『起きたか』


「ッ!」


 後ろから聞こえてくる声に振り返るとそこには3人の男女がいた。

 企業連の人間には見えないが……


『まぁ、そう警戒するなよ。せっかく助けてやったんだ』


「た……助けて……?」


『あぁ、気絶したお前の体をここまで運んでやったんだ』


 3人のリーダーらしき男はそう言ってあたりを見渡す。

 俺もそれにつられてあたりを見るとここはどこかの地下だろうか?。

 見つからないとは言えないが地上よりはずっとマシだろう。

 助けてもらったと言っても過言ではない。

だが……


「命の恩人に対して……言うべきことではないかもしれませんがあなた達は何者ですか?」


 だが彼らに対して警戒が解けない理由はまだあった。

 反企業連には右腕に黄色のバンダナを巻いている。


 だが目の前の彼らにはそれがなかった。


 命を救ってもらったとはいえ彼らを仲間と断定するにはまだ早い。


『何者……か。void2、俺らは何者だと思う?』


『さぁ?AIって言うのが近いんじゃない?void3はどう?』


『わ……私は……亡霊じゃないかな?』


 そう話す3人組だったが結論はついたのだろう。

 リーダーらしき男が話し始める。


『俺等は人の意志の残骸。AIとして動いているだけの亡霊だよ』


「ぼ……亡霊?」


『あぁ……そうだ』


 そう言うと俺にむかって歩いてくる。

 後退りする俺を見てもその表情は一切変わらない。


 やがて部屋の端に背中があたる。

 男はその俺に手を伸ばした。


『ほらな?』


 その手は俺をすり抜ける。

 男はそれを悲しそうに見つめると元の場所に戻っていった。


 それと同時に体から力を抜く。


「ふぅ……」


 あのすり抜ける手でどうやってここまで運んだのか、自らを亡霊と名乗るのはなぜなのかと疑問は尽きないがおそらく今俺に危害を加えることはないのだろう。


 それならばもう既に殺しているはずだ。


『まぁこれでお前に危害を与えるつもりがないことは分かったろ?』


「まぁ……はい」


『なら、俺らの話を少し聞いてくれるかな?』


 まぁそうだろう。

 対価もなしに助けるわけがない。

 それは50年前の企業連のやったことからもわかる。


 俺は抜いた力をまた少し込める。

 それを見た男は少しだけ苦笑する。


『おいおい、別に君にも得のある話だぜ?』


「信用しきれません」


『信用しきれないって言うんなら仕方ないが……』


 そう言って眼の前の男は笑う。


『俺等に協力すれば企業連を潰してやるよ』


 その言葉は蜜のように甘かった。

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