25話
「……っと、こんな感じやなコギト君」
「お忙しい中すみません」
「いやいや、これぐらいなんてこたないで、それよりも改造したからには使い勝手も変わるはずやし色々と試してみらんとな」
コギトは改造された銃を受け取る。
先日都市の遠征から帰ってきたモナカ達は子どもたちにお菓子やらのお土産を配りそれから色々と買ってきた材料で街を修理しているとあっという間に時間は過ぎて今日ようやくコギトの銃の改造が終わったのだ。
コギトはモナカから銃を受け取り構える。
元々の銃の重さからすれば数十グラムの増加など誤差だろうがこれでどう変わるのだろう。
そう思いながらコギトは色々な構え方をして銃を降ろした。
「とりあえず今日のうちに荒野にでて試してみます」
「そうやな、そのほうがええで」
「それでは失礼しました」
そう言ってコギトは部屋から出る。
外ではハラが野戦服に着替えてコギトを待っていた。
「コギト君、おかえり。銃はどうだい?」
「流石にまだどうなったかは分かりませんね。重量的には重くなってるっぽいですが」
「モナカさんは改造とか上手いから前より酷くなってるなんてことはないと思うけど、使い勝手は変わるかもしれないね」
「はい」
そう言って二人は街の外に出る。
どうやら今日は風が強いらしく渓谷を砂埃が舞っていた。
『ではよろしくお願いしますvoid1さん』
『俺は索敵苦手なんだけどな』
コギトの隣ではvoid1が索敵を行っていた。
コギトはそれを防砂ゴーグル越しに見ながら荒野を進んでいく。
コギトもvoid達が無言の間は危険ではないとこれまでの経験より分かっていたのでコギトは今まで気になっていたことをvoid1に聞くことにした。
『そういえばvoid2さんって索敵特化なんですよね』
『あぁ、そうだな』
『それではvoid1さんやvoid3さんも何か特化しているんですかね』
『確かに言ってなかったな、でも俺もvoid3もvoid2ほど使いやすくないんだよな。使う機会がないっつうか』
『そうなんですね、一体どんな感じなんですか』
『俺は基本的に演算特化だな。分かりやすく言うと未来が見える』
それを聞いたコギトは内心驚きを含めながら答える。
『それ……めちゃくちゃ凄いじゃないですか。使う機会は結構あると思いますけど』
『簡単な演算はな、でも銃弾の着弾位置を計算するぐらいなら俺以外でも出来るんだよ』
『つまりは未来が見えるレベルの演算はvoid1さんにしか出来ないってことなんですかね?』
『そうだ、でも未来視って言うのはお前への脳の負荷が大きいんだ』
『負荷が大きい?』
『ああ、基本的に未来視って言っても完璧じゃなくて場合によっては2〜3個、またはそれ以上視える可能性がある。それを毎秒お前に送り続けるんだから脳への影響は少なからずあるな』
『なるほど、void3さんの能力も似たような感じなんですか』
『ああ』
そうして暫く進んでいるとvoid1が何かを見つけたようで真剣な顔つきになる。
『その前に……コギト、敵だ』
void1が示す先には一匹の野犬がいた。
コギトはそれを今見つけたようにしてハラに伝える。
ハラもそれを双眼鏡で確認したようだった。
「野犬ですね」
「ああ、とりあえず相手もこっちに気づいていないみたいだし、とりあえず試し打ちしてみたら?僕もカバーするし」
「そうですね」
そう言ってコギトはAS67突撃銃を構える。
スコープを覗いて倍率を合わせたときにコギトは違和感を感じた。
(足を引きずってる?)
その野犬は怪我をしているのか足を引きずってるのが見えた。
そうしてコギトがそれに困惑していると野犬は力尽きたのかその場に倒れ込んだ。
「……倒れましたね」
それを双眼鏡で確認していたハラも少し困惑したような顔でコギトを見る。
「そうだね、何処かで強力な野獣に襲われたか……それとも商隊を襲って返り討ちにあったのか……とりあえず見に行こう」
「そうですね」
そうして二人が警戒しながらも野犬に近づいて行く。
目視ではっきりと見えるようになる前にvoid1が口を開く。
『どうやらもう立ち上がる気力もないみたいだ。もうすぐ死ぬな』
『そうなんですね』
そうしてはっきりと見えるようになったときコギトとハラはその野犬の状態に驚く。
「何でしょうかこの傷……」
「分からない、僕もはじめて見たよ」
犬の体を何かが貫通した跡が体中にあった。
その一つ一つが明らかに弾丸よりも太くコギトはまるで太いドリルで穴を空けられたようだと思った。
『何かわかりますかね?この傷』
『さぁな、俺もはじめて見た』
どうやらvoid1にも分からないようで首を傾げていた。
その時にvoid1が何かに気付いてコギトに警告する。
『コギト!避けろ!』
『ッ!』
その声が聞こえたときにはコギトは後ろに飛んでいた。
そこでコギトが見たのは一本の触手であった。
それがコギトが先程まで立っていた場所に存在しておりコギトを探すように辺りをふわふわと漂っていた。
『これだから砂が舞ってるときの索敵は嫌なんだよ……』
void1が心底面倒くさそうにして言う。
コギトが避けてからそれに気がついたハラがコギトに対して口を開く。
「大丈夫かい?コギト君!」
「一応無傷です!それよりも!」
「ああ!」
そうしてコギトとハラは誰もいないことを悟り後ろに引きずり込まれていく触手を警戒しながら触手の持ち主の方を見る。
「なんですかアレ……」
そこにいたのはそこで倒れている野犬と似て非なるものだった。
六本足で黒い毛並みというのは共通しているもののその顔があるべき場所には顔がなく代わりに何本もの触手が密集して生えておりコギトはそれをイソギンチャクのようだと思った。
そして後ろ半分は何か薬品でも掛かったかのように爛れている。
コギトとハラはその奇妙さに驚きながらも不快感を示すように顔をしかめた。
『変異種だな』
「変異種だよコギト君」
二人がコギトに対してそう言う。
「あまり戦闘はしたくないけどここは街からも近いし……もしもがあるから戦闘するしかないかな、コギト君、構えて」
「はい」
そうしてコギトとハラは変異種に対して銃を構えた。




