19話
「コギト先輩!今日からよろしくお願いしますッス!」
「よ……よろしく?」
「ははっコギト君ちょっと困惑しとるなー」
コギトは眼の前で元気よく挨拶する少年を見る。
彼はサジュと言うコギトより2歳下の15歳の少年だ。
今日から一緒に都市まで同行する人間の一人である。
「コギト君、サジュ、挨拶が終わったなら早く荷物詰め込んでよー」
「あっハラ、治療器具はここに詰んでおきます」
ハラとラスルが荷物をモナカの車に詰めながら言う。
コギト達もそう言われて二人の手伝いを始めた。
コギトは三日前のことを思い出す。
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「君たち反企業派の英雄ハンス・アレクサンドラが生きてたっちゅう話や」
「その話、詳しく教えていただけませんか?」
そう言われたモナカがコギトに答える。
「まぁウチもグニドさん達から聞いた話なんやけどな、彼、爆撃を生き延びとったみたいや。それで他の生きている人間を保護しながら3日も戦っとったらしいで」
「3日も……」
「最後は数で抑えたらしいんやけどな。それの処刑が今度ライペルージアっちゅう街で行われるって話らしいんや」
「あの」
コギトが少し焦ったような顔をしながらモナカに何かを伝えようとする。
しかしそれをモナカが制した。
「まぁまぁ落ち着いてやコギト君。少なくともあと1月以上は余裕があるで、まぁそれでちょっとした提案なんやけどなコギト君」
そういうモナカにコギトが何を言われるのか分かりきったような顔で見つめ合う。
「まぁ君も察している通りウチはハンス君と付き合いがあるんや。それで助けに行くために街の下見に行こうと思ってるんやけどさ。君も来るやろ?」
そう言われたコギトはすぐさま答える。
「お願いします」
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「さーて荷物はオーケーみたいやな」
モナカが車に乗せられた荷物を数えて言う。
その後コギト達の方に振り向いた。
「さて3人とも、準備はええか?」
「「「はい」」」
「ええようやな、ほなラスル。留守は頼むわ」
「分かりました」
「それじゃあみんな乗り込んでな」
そうして3人とモナカはラスルと子供たちの見送りを受けて街を出発した。
渓谷を走り抜けながらモナカがコギト達にこれからのことを伝える。
「それじゃあ今回の下見について教えるんやけどライペルージアまでは2日かかる距離や、それでそこまでに2つの都市を経由する。ハラ、ちゃんと子供たちの必要なものはメモって来たか?道中そういったのも揃えながら行くで」
「はい、モナカさん。ちゃんとみんなの欲しい物を調べて来ましたよ」
「上出来やね、それでライペルージアに着いたら処刑が執行される場所を調べておくことや。聞いた話やと公開処刑が行われるみたいでその時の立地やらなんやらを調べておけば少しは有利になれるからな。そしてもう一つの目標はハンス君を助けに来る他の反企業派の連中とパイプを作っておくことや、おそらく公開処刑する理由の一つとして企業はハンス君を助けにくる奴らを叩くのが目的やろうな」
「……企業も本気で反企業派を潰す気なんですね」
「なんか……難しくて俺にはよく分からないッスけど俺たちもそのハンスさんって人を助けに行くんですよね?大丈夫なんスか?」
「だからそういった連中とパイプ作るんや、絶対に企業は反企業派を潰す準備をするはず。それを上回る何かがウチらには必要やからな。人手が増えるのもそうやしウチらや相手さんの知らない技術を教えてもらえる可能性がある、圧倒的不利なウチらが勝つ方法は限られとるねん。だから色々と準備はせんとな」
そうして暫く車を走らせているとvoid2の索敵に何かがかかったようだ。
それをコギトに伝える。
『コギト君、敵襲ね。野犬の群れのようだわ。後ろの方よ』
『了解です』
コギトは今日までに何度もvoid2の索敵の恩恵を受けていた。
そういった意味でコギトはvoid2の索敵に絶大な信頼を寄せている。
モナカ達にコギトが索敵を行うことを伝える。
これまでにハラやサジュ達も定期的に索敵を行っていたので特に怪しまれることもなく索敵ができた。
暫く辺りを見渡していると後ろからこちらを追いかける影が見えた。
『今日も絶好調みたいですね』
『あら、ありがとう』
やはり野犬の群れがこちらを狙っているらしい。
土煙を上げながら車に向かって走ってきていた。
「皆さん、どうやら敵襲のようです。野犬の群れがこちらを狙っています」
「野犬か……逃げるのも手やけどあんまり燃料を消費したくないな」
「では殲滅しますか?」
「そうやなハラ、みんなちょっと車止めるで」
そうしてモナカが車を荒野に止めた。
「あぁちょうどええなコギト君、サジュ。君らはおそらくまた一緒に戦うことになるから相手の腕みとき」
「「はい!」」
「ハラはいつも通りにやってな」
「分かりました」
そうして野犬の群れに銃を構えた。




