↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/38

14話

 コギトはハラと別室に移動していた。

 そこの壁には穴の空いた的があり硝煙の香りが強く残っている。

 どうやら射的場のような場所らしい。


「さてコギト君。君はこれから銃の扱いに慣れてもらう」


「はい」


「と言われても明日から何をするかわからないのは心配だよね。今から君の仕事を教えるよ」


 そうハラは言って近くにあった地図をテーブルに広げた。


「この部屋は射的場以外にも色々と会議するときにも使われてるんだよね。明日からもここで打ち合わせするから覚えておいてね」


「分かりました」


「じゃあ君のこれからの仕事だけど……」


 ハラは地図のおそらく渓谷だろう部分を指差しその後辺りを指でなぞり始める。


「君も理解している通り、この渓谷には外壁はない。つまり偶に迷い込んでくるような野獣とかいるんだよ、それを事前に阻止するのが僕らの仕事さ」


「モナカさんは食料調達とも言っていましたが……」


「あーそうだね、ここじゃあお肉は貴重だし狩ったのは食べちゃうかな。都市だとやっぱりそういうのない?」


「都市では培養肉が一般的でしたね。前線の兵士などは食べることもあるとは聞きました」


「じゃあ初めての経験だね。あとはここに近づいてくる人間の監視発見とかも僕らの仕事だ。スラムや都市で好き勝手して強盗に変わったような奴らが偶に来たりするんだよ」


「やっぱり物資目当てでですか?」


「流石に物資目当てでここまで来るのはなかなかないみたいだけど……まぁ隠れ家を欲してって感じだね」


 ハラは昔を思い出しているのだろう。

 少しうんざりしたような顔で話す。

 コギトは都市……つまり企業に強盗を働く人間がいることに驚いていた。


「企業相手に強盗なんて出来るんですね」


「都市って言っても企業連相手に強盗するやつはなかなかいないさ。お金で都市の居住権を買った市民のお店から略奪をすることが殆どみたいだよ」


「なるほど」


 コギトは企業の都市の人間は全員企業の人間かと思っていたがどうやら居住権とやらを買っただけの人間もいるようだ。


「ま、僕らの仕事はそれぐらいさ、あとはモナカさんを尋ねてくるお客さんを連れてくるぐらいだけど滅多にないことだし気にしなくて良いよ」


 そういったあとにハラは自分の銃を取り出す。

 どうやらコギトとは少し違う銃のようだ。


「さて、仕事の説明も終わったし銃の扱いについて覚えることにしよう。僕の銃は君と同じネメシス、そして突撃銃の一種であるAC7だよ。まずは銃の整備から始めるからね」


「分かりました」




________________


「さて、銃の整備はこんなものだよ。昼食を食べたら基本の構えとかを軽く練習して貰うからよろしくね」


「は、はい」


「それじゃあ僕は一旦戻るね」


 そう言ってハラは射的場を出ていった。

 コギトは1人手に握られたままの銃を眺める。

 そこに無言でコギト達の銃の整備を見ていたvoid達が話しかけた。


『どうしたコギト、銃の整備について分からないことがあるのか?』


『あ、いえ。そういった訳では無いです。ハラの講義も分かりやすかったですし、作りが素人目にもいい意味でシンプルだったので』


『ならそんなに銃を眺めてどうしたのかしら?』


『俺が銃を持ってるってことに単純に慣れなくて……今まで後方支援の担当で銃なんか持ったことも殆どない自分がここ最近2度も持つことになるなんて都市じゃ思ってもいなかったんです。さらに言えばそれを明日から仕事にすることも』


『怖いのか?』


『怖いというよりもなんというか……ふわふわとして実感がない感じですね』


『まぁ……俺も言いたいことはなんとなく分かるぞ。だがお前がやろうとしていることにそれは絶対に必須だ。お前が慣れるまで使い続けるしかないさ』


『分かっています』


『あ、あとコギト君。君の仕事のついでに私達は君の訓練をやろうと思っているわ。その方が私達の取れる選択肢も増えるし、単純になにかのはずみで私達との接続が切れても戦えるしね』


『はい』


 コギトは都市でのvoidたちのアシストを思い出す。

 確かにあれば便利であることは間違いないがあれに頼らなくても戦えるようになればもっと効率は上がるだろうし、それなりに危険な橋を渡らないといけない確率も減るだろう。


『じゃあ明日からビシバシやっていくからよろしくな。コギト』


 void1がそう言って笑った。



______________


 コギトは荒野に出ていた。

 辺りには砂が舞い視界がいい状況とは言えなかったが今日の仕事は実行された。

 どうやらハラによればこれ以上に視界の悪いときもあるようでコギトは少し恐ろしい気持ちになりながらも防砂ゴーグルに付いた砂粒を拭う。

 コギトの隣にいるvoid2は砂で邪魔されて索敵が面倒くさいとコギトと違って緊張感なくぼやいていた。


「コギト君、大丈夫そうかい?」


「大丈夫です」


 見張りは二人一組で行われるらしくコギトはハラと組むことになった。

 マスクでくぐもったハラの声にコギトは返答する。

 コギトはモナカに渡された情報端末(PDA)に記録された地図を確認しながら進む。


「さて、銃の準備は出来てるかな?」


「はい」


「ならよし、ここから野獣と出くわす可能性がグンと上がるからいつでも撃てるようにしておいてね」


 そう言ってハラとコギトはいつでも撃てるように構えながら先に進む。


『なるほど、ここらはまだ水が枯れていないのか。コギト、足元が悪い場所がある。気をつけておけ』


 void1は辺りを見渡しながらそう言った。

 コギトが悪い視界で地面を見渡すとどうやら湧き水が水溜りのようにしていくつか吹き出しているらしい。

 野獣はこういった水溜りの水を求めてここに来るのだろうなとコギトは思った。

 それと同時にこの水溜りで足を取られたら危険だと意識をさらに引き締める。

 しばらく歩いているとvoid2が口を開いた。


『野獣ね。目標発見よコギト君』


 コギトが辺りを見渡してもそういった野獣は見当たらなかった。

 だがハラもワンテンポ遅れて野獣を発見したらしい。


「コギト君。敵を見つけたよ」


 ハラが指差す先を注視するとそこにいるのはどうやら普通の野犬のようだ。

 岩の陰に隠れて砂嵐が止むのを待っているようでこちらに気づいている様子はない。


「コギト君、僕はモナカさんから君を出来るだけ鍛えるように言われてるんだ。昨日のように構えてみて」


 どうやらハラはコギトに撃たせるつもりらしい。

 コギトは昨日教えてもらった通りに野犬に向けて銃を構えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。