10話
「「「「こんにちはー!」」」」
『あら、元気いっぱいね』
「はっ、初めまして……」
「はは、初めまして。ちょっと驚かれちゃったね」
大きな声で急に挨拶されたため面食らったコギトにコギトと同年代くらいの少年が笑いながら言った。
「さて、お疲れ様でしたモナカさん」
「気にすることないでーハラ君。あとこの子コギト君って言うんやけど怪我しとるけんラスルちゃんのところに早く連れて行ってあげてや」
どうやらハラという名前らしい少年はコギトの方を一瞬見てから周りを眺めた。
「あぁ、なるほど……分かりました」
「ほな頼むでー、んじゃみんな荷物降ろすの手伝ってなー」
「「「「はーい!」」」」
そうしてコギトより小さな子供たちとともにモナカが荷物の積み下ろしを始めた。
ハラはそれと同時にコギトについてくるよう手振りした。
倉庫を抜けると他にも子供たちがいるようでそこらを走り回ったり何か作業をしている。
何故かみんな帽子やフードを被っていることに違和感を抱いたが荒野の中なので砂などの対策だろうと自己完結した。
「あー、コギト君でいいよね?」
そこにハラが話しかけてくる。
「はい」
「君はどうしてモナカさんに拾われたんだい?見た感じだとスラムの住人だったってわけでもなさそうだし」
「少し襲われてしまって……そこで荒野で行き倒れてるところを拾われたようです」
「あぁ、なるほど。それはモナカさんはほっとけないだろうな……」
そう会話しながらハラとコギトは通路を進んでいく。
しばらく歩くとどうやら目的地に着いたようでハラが歩くのをやめる。
「ここだよ、コギト君」
「ここは……?」
「ここは医務室なんだ。ラスルって子が治療を担当しててモナカさんはここで治療してもらえって言ってたよ」
そう言ってハラは医務室に入っていく。
ハラの「わっ」と驚く声がしたのを少し疑問に思いながらもコギトもついていった。
「うわっ!」
扉を開けるとそこには鬼の面をつけた女の子らしき人物がいた。
「あっ、すみません!」
鬼の面をつけた女性はコギトに謝る。
「あ、いえこちらこそ……」
「コギト君、この子がラスルだよ。ラスル、モナカさんがこの子を治療してほしいって」
どうやらこの鬼面をつけたのがラスルというらしい。
『面白いな』
『やめてくださいよ』
void1が面白いものを見る目でラスルとコギトを見ていた。
コギトはそれに若干不快になりながらも返答する。
「怪我してるんですね……分かりました。そこのベットに横になっていただけますか?」
そうしてラスルがコギトにベットに横になるよう促す。
コギトが横になるとラスルは慣れた手付きで包帯を外していく。
「簡単な縫合はされていますね。でもこのままだと色々問題が出るので手術してしまいましょう」
「ラスル。必要な物があったら僕が持ってくるよ」
「いえ、幸いにもここにあるもので可能です。でもお手伝いしてもらうと助かります」
「分かった」
「痛み止めは既にモナカさんが打っていそうですが効果も考えてもう一本打ちましょう……はい。ではハラ、ハサミを」
そうしてラスルはコギトの肩の縫合をハサミで解いていく。
「肩の骨はあまり傷ついていませんね……良かったこれならすぐに動かせるようになりそうです」
血で汚れたコギトの肩を正確に把握しているらしくラスルの手付きには迷いがない。
コギトには見たことがない器具でコギトの肩を弄るその姿に少し心配になったコギトはvoid達に質問した。
『本当にこれで治るんですかね?』
『ほ、本当に彼女は正確にやっているよ……今は君の神経を保護して繋いでいるとこ』
それにvoid3が答えた。
『まぁ昔医療関係だったvoid3が言うんなら間違いないさ』
『そうね、私の探知からしてもかなり正確と言えるわ』
他のvoidたちも同意見らしい。
そして1時間かからずに縫合が終わる。
「はい、終わりましたよ。1週間ほどでまた動かせるようになるとは思いますが無理は禁物です」
「ありがとうございます。ラスルさん」
「おそらくモナカさんもしばらくの間ここに居ていいって言うと思うので毎日見せてくださいね」
「分かりました」
新しい包帯を巻いたコギトはハラとともに部屋を後にした。




