第十三話 襲撃される"夜明けの光明"
「リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_」の方ばっか投稿してました。
気分転換に投稿した作品が日間VRゲーム〔SF〕ランキング1位ってこれいかに(´・ω・`)
村の戦闘訓練からしばらく経ったある日
エルは現在"魔棲の森"外縁部に来ている
「っと、ここら辺は大した奴はいないな・・・」
そう言いながら切り裂いたのは、以前"黄昏の人狼"のパーティと共にここに来た際襲ってきたフォレストウルフだ。その強さはこの森で過ごした時間によって変わってしまうため種類が同じでも強さが別物、ということは多々あるのだが。
エルの周囲には20頭ほどのフォレストウルフが息絶えている。
もう少し奥に行くか、と再び歩き出した、その時
「・・・ん?なんだこの音」
聞こえてきた音は、金属と金属がぶつかる音だった。
(誰か戦ってるようだな。・・・様子見だけでもしてみるか)
エルは音がする方向に進む。
すぐ近くで音が聞こえるようになると、草むらに隠れて様子を見る。
(あれは・・・確かワーエイプだったか。初めて見たな)
そこにいたのはワーエイプと呼ばれる猿の魔物の群れだ。群れのすべてが剣を持っていた。
(ん・・・?冒険者、か?)
そして、ワーエイプと戦っているのは三人の女性だった。格好からして冒険者だろう。
(まぁこんなとこにくるのは冒険者くらいだよな。にしても、あいつらも"黄昏の人狼"と同じ調査依頼か?)
「くっ!このっ!!うっ!?」
「リリア!?」
「無理せず下がって!」
「でも、このままじゃ・・・がっ!?」
女性は三人なのに対し、ワーエイプは数十頭の群れ。以前の"黄昏の人狼"とエルのように、完全に包囲されてしまっている。
さらに、女性の内の一人がワーエイプの持つ剣に腕を斬られる。切り落とされるほどではないものの、剣は握れない状態だ。
(このままじゃ死ぬな・・・見殺しにするのも気分が悪いな)
エルは草むらからとびだし、ワーエイプ達に向かって駆け出す。
「"氷柱の刃"」
「グギャッ!?」
氷の剣を作り、包囲していたワーエイプを切り伏せる。
(チッ、あいつは走れなさそうだな・・・包囲の中に入るしかないか)
包囲の穴をかいくぐり、驚愕の表情を浮かべる女性達のもとへたどり着いた。
「おい、あんたらは回復魔法は使えるか?」
「あなたは・・・!?いえ、申し訳ないですが、私たちの中に使える者はいません」
「そうか・・・分かった」
そう言って腕を抑えて膝をついている冒険者のもとに行く。ワーエイプは突然仲間達を背後から斬られ警戒しているのか動く様子はない。
「あ、あなた誰っ!?」
「今は置いとけ。治療が先だ。《治癒》」
腕に深い傷がついていた女性はエルに警戒の目を向けていたのだが、エルが回復魔法を使ったことでその表情は驚愕に変わる。
「もう大丈夫だろ。あいつらを始末してくる」
「えっ!?ちょ、ちょっと!?」
応急処置だけは済ませた。
ワーエイプに向かって走り出し、次の瞬間には辿り着く。
切り上げ、振り下ろし、横薙ぎ、と次々に斬撃を繰り出し、ワーエイプ達を切り伏せる。
ワーエイプ達は三人の女性が動いた時の為か、数頭の仲間を残して群れのほぼ全員でエルを倒しに向かっている。
(へぇ、一番の脅威を真っ先に取り除く、か。賢いな。だが・・)
このエルの考えは、決して自惚れではない。事実、この場にいる者の中で一番の強者はエルだ。
実際、ワーエイプが何頭でかかってもエルの動きを止めることは出来ていない。それどころか、群れの一頭が振り回した剣をエルが剣で軌道を変え、仲間に当たってしまっている。
(連携も出来てないな。オークより弱い・・・数の暴力か)
それから数分、そこで生き残っているのは女性の冒険者三人とエルだけになった。
「あ、あの、あなたは一体・・・?」
聞いてきたのは、長い緑髪に、尖った耳の女性。つまり、エルフの女性だった。
「俺はエルだ。あんたらこそ誰なんだ?」
「え、えっと、私たちは"夜明けの光明"という冒険者パーティです」
「そうか。とりあえず傷を治そう」
「え?」
エルは三人に近づいていき、それぞれに回復魔法をかける。
「やっぱり見間違えじゃなかったんですね・・・」
「ん?さっきも見てただろ?」
「あ、いえ、詠唱をしていなかったので・・・」
「あー、そういうことか。ま、それはおいておこう。それで?あんたらはなんでこの森に?」
「むしろこっちが聞きたいんだけどねー」
そう言ってきたのは先ほどのエルフの女性とは違う、ピンク色の短い髪の女性だった。
「俺はこの森で修行してるだけだ」
「え?嘘でしょ・・・?」
驚愕の表情で問うのは、ワーエイプに腕を深く切られた橙色の髪の女性。
「そこまで驚くこともないだろ。この森は様々な魔物がいるんだからな。良い鍛錬になるだろう?」
「そんな話聞いたことないわよ・・・」
「そうなのか?まぁ、他の奴がどこで鍛えてるのかは知らないがな」
「何よそれ・・・」
そもそも他人と同じ方法でやろう、とも思ってないしな。
「それで?あんたらは調査依頼か何かを受けたのか?」
「・・・っ!そうです。私たちは調査依頼を受けてここに来ました。ここまでは魔物に遭遇することもなかったのですが・・・突然出てきたワーエイプに囲まれてしまって・・・」
「さっきの状況になった、と。まぁそれはおいておくとして。あんたらは先に進むのか?それとも戻るのか?」
「あ、調査の方はもう大丈夫だと思いますので、森を出ようと思います」
「そうか」
「あ、あの・・・!図々しいとは思いますが、森を出るまで一緒に行動していただけないでしょうか・・・?今はお金も何も持っていませんが・・・ですが・・・森を出ることが出来れば私の体でもなんでも・・・っ!!」
(いや何言ってんだコイツ)
「ちょ、ちょっとアローナっ!?」
「そこまでしなくても・・・!!」
「いえ、先ほどのような事がまた起きれば、私たちは今度こそ助かりません・・・だから今は何を犠牲にしてでも・・・!!」
「なぁ、あんた」
「はい?」
「子供に向かって何言ってんだ?」
エルは少し顔を赤くして尋ねる。まさかいきなりあんなことを言われるとは思わなかったのだ。
「え?子供?」
「へ・・・?あの、失礼ですが種族をお聞きしても・・・?」
「ん?普通に人間だが?」
「「「はい?」」」
(こいつら何に驚いてんだ・・・?)
「いや、当たり前だろ?他に何に見える」
「え・・・?あの年齢も聞いていいですか?」
「7歳だが」
「「「ハ??」」」
またきれいに揃うもんだなオイ。俺の年齢なんて見た目通りだろうに
「え?でもでもっ、さっきあれだけ魔法使ってたじゃない!」
「それがどうかしたのか?」
「ふぇ?いや、だって7歳であれって・・・」
「事実使えるんだからしょうがないだろうが」
「えぇ?でも・・・」
「あの・・・もしかして、エルさんは転生者なんですか?」
(!!これは・・・思った以上に知られてるみたいだな。まぁ転生者の中に目立ちたがりの奴がいてもおかしくはないが。いや、それとも神がいること自体この世界じゃ普通なのか・・・?)
「あー・・・そうなるな」
「やはり・・・さっきの魔法が"レント"なのですか?」
「ん?"レント"?」
「あ、神様から渡されるという転生者達の武器や能力の総称です」
(そんな呼び名なのか・・・)
「あー、違う。訳あって俺はその"レント"?ってやつは貰っていない」
「え?」
「まぁ、そこらへんはおいとけ。で、俺はまだ少なくとも身体は子供なわけなんだが・・・アローナだったか?さっき言ってたことを思い出してみろ」
「へ・・・?・・・ッ!?!?」
アローナが完全に真っ赤になって俯く。
「うん、分かったみたいだな。報酬は特に必要ないぞ。大した苦労でもないし、魔物が出てきても俺の目的と矛盾してないからな」
「あ、ありがとうございます・・・っ、で、でも、さっき言ったことは忘れてくださいぃ」
「無理だな。じゃ、早速行くぞ」
「あ、え、ちょっとおおおお!」
(後ろでアローナが赤くなって涙目で何か言っているが、うん、とりあえず忘れるのは無理だろう。さすがにインパクトが強すぎる。あの見た目であんなこと言われれば前世じゃもっと動揺してただろうな・・・)
ちなみに、アローナは美人でスタイルもいい。
「ねぇ、エル君?エルさん?君は前の世界ではどんな年齢だったの?」
「18だ。あと呼び方は好きにしていい」
「じゃあエル君!別にアローナに興味がないってわけじゃないんだよね?見た目もスタイルもいいし。だったら子供でも関係ないんじゃないの?」
「シャルルッ!?」
アローナがシャルルと呼んだのは、ピンク色の髪の女だった。
「まぁそりゃあ美人だしな・・・けど今が子供の体なせいなのか若干精神がそっちに寄ってる気がするんだよなぁ。まぁそもそも前世での俺だろうとさっきの話に乗ることはないと思うが」
「び、美人って・・・じゃなくてっ!シャルル!!何てこと聞いてるの!!」
「えー、だってー」
二人が言い争いをしている中、リリアが近づいてくる。
「エル、さっきは助かったわ。あのままじゃ間違いなく命はなかったもの」
「リリア、でいいか?特にそのことは気にするな。見殺しにするのは気分が悪かっただけだ」
「そう。分かったわ。でも、お礼は受け取って欲しい。ダメ?」
(カルデラの時を思い出すな・・・種族はむしろアローナのほうが近いけどな)
「分かった。礼だけ受け取っておこう」
「ふふっ、ねぇ、エル」
「何だ?」
「さっきあなたは"レント"を貰ってないって言ってたわよね」
「ああ」
「じゃあどうしてあなたはそんなに強いの?」
「どうしてって言われてもなぁ・・・修行したから、としか言えないな」
「その年であれだけの力があるのは異常よ?」
「ははっ、前に会った冒険者にも言われたよ」
「そうなの?」
「ああ。そういえば初めてこの森に来たときはそいつらと一緒だったんだがな。その時はお前たちと同じように魔物に囲まれたよ」
「へぇ、そうなの?何て言うパーティ?」
「"黄昏の人狼"ってパーティだな」
「へ?そのパーティってランドって言うパーティリーダーの?」
「知ってるのか?」
「それは・・・リベラルではかなり有名なパーティだもの・・・もしかして知らなかったのかしら?」
「ああ。会った時に初めて聞いた」
「そう・・・まぁその年齢じゃしょうがないかもしれないわね」
「だろ?」
そんな会話をしながら、森を歩く。
しかし、この時のエル達はまだ気づいていない。
――並の冒険者であれば歯牙にもかけないような相手が、近づいていることに。
アローナさんかわいいです(*´Д`)




