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『学校一と呼ばれる三人の美少女は、今日も俺を諦めない。』  作者: 夜凪ロア


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第16話 放課後の図書室

昼休みが終わり、午後の授業も終わる。


「終わったー!」


悠真が大きく伸びをした。


「今日は図書委員だっけ?」


「うん。」


奏汰が鞄を持つ。


「じゃあ先帰るわ。」


「また明日な!」


友人たちはそれぞれ部活や帰宅の準備を始めた。


奏汰は図書室へ向かう。


静かな廊下を歩いていると、


「あ。」


前から陽葵が歩いてきた。


「お疲れ。」


「お疲れ様。」


自然と並んで歩く。


もう最初の頃のようなぎこちなさはない。


「今日は返却多いかな。」


「月曜日だから結構ありそう。」


「だよね。」


そんな他愛もない話をしながら図書室へ入る。


「こんにちは。」


司書の先生が笑顔で迎える。


「今日は新しく入った本にカバーを付けてもらえる?」


「分かりました。」


「お願いします。」


二人は作業机へ向かった。


透明なブックカバーを慎重に貼っていく。


「これ、意外と難しい。」


奏汰が苦笑する。


「空気入っちゃった?」


陽葵が覗き込む。


「少しだけ。」


「こうすると綺麗に貼れるよ。」


陽葵は自分の本を見せながら説明した。


「なるほど。」


奏汰も同じようにやってみる。


「できた。」


「うん、その方が綺麗。」


自然と笑い合う。


司書の先生は離れた場所で本を整理しながら、その様子を見守っていた。


「二人とも、本当に仲がいいね。」


「そんなことないですよ。」


陽葵は慌てる。


「図書委員だから話すだけです。」


「そう?」


先生は意味ありげに笑った。


奏汰は苦笑するしかなかった。


◇◇◇


作業が終わる頃には、外は夕焼けに染まっていた。


「今日は早く終わったね。」


「うん。」


図書室を出る。


昇降口まで歩きながら、


「そういえば。」


奏汰が思い出したように言う。


「おすすめの本。」


「あ。」


陽葵も思い出した。


「今持ってる。」


鞄から文庫本を取り出す。


「これ。」


「ありがとう。」


奏汰も自分の鞄から一冊取り出した。


「俺はこれ。」


「交換だね。」


「読み終わったら感想教えて。」


「もちろん。」


二人は笑顔で本を交換した。


それは恋人同士のような特別な雰囲気ではない。


本が好きな二人だからこそ生まれた、ごく自然な約束だった。


その光景を、偶然通りかかった男子生徒が目にする。


「……。」


「どうした?」


友人が尋ねる。


「榛原と柏瀬さん。」


「また一緒?」


「図書委員だからだろ。」


「……そうだよな。」


そう言いながらも、胸の中には何か引っかかるものが残る。


◇◇◇


教室では帰る準備を終えた乃愛が窓の外を眺めていた。


夕日に照らされた校庭。


その向こうで、図書室から出てくる二人の姿が小さく見えた。


「……。」


胸の奥が少しだけ締めつけられる。


(陽葵ちゃん。)


(少しずつ近づいてる。)


それでも、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。


ライバル。


そう呼ぶには、まだ早い。


でも、負けたくない。


そんな小さな想いが、乃愛の胸に芽生え始めていた。

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