第15話 月曜日の朝
休日が終わり、月曜日。
校門へ向かう生徒たちの表情は、どこか眠たそうだった。
「……眠い。」
悠真が大きなあくびをする。
「昨日、何時まで起きてた?」
奏汰が苦笑する。
「一時くらい。」
「それは眠い。」
「奏汰は?」
「十一時には寝た。」
「健康すぎる。」
「普通だよ。」
二人が笑いながら教室へ入る。
「おはよう!」
「おはよー!」
友人たちも次々と集まり、いつもの朝が始まる。
「土曜日のクレープ、美味しかったね。」
「今度は映画行こう!」
「テスト終わってからな。」
そんな会話をしながら席へ向かう。
奏汰は窓際の席に荷物を置き、椅子へ座った。
その時だった。
「おはよう。」
乃愛が通りがかる。
「おはよう。」
奏汰も自然に返す。
「土曜日、駅前にいたよね。」
乃愛は少し驚いたように笑った。
「気づいてた?」
「帰りに見かけた。」
実際には、改札へ向かう乃愛の姿を一瞬だけ見かけていた。
「あの日、撮影だったの。」
「大変だな。」
「もう慣れたけどね。」
「そうなんだ。」
ほんの一分ほどの会話。
「じゃあ、またあとで。」
「うん。」
乃愛は自分の席へ戻っていく。
その様子を見ていた女子が、小さく呟く。
「最近、普通に話してるよね。」
「前より自然になった気がする。」
一方で男子たちは、
「また話してるな。」
「いや、本当に偶然なのか?」
そんな会話を交わしていた。
まだ悪意はない。
ただ、気になる。
そんな段階だった。
◇◇◇
一時間目は体育。
「今日はグラウンドだ。」
先生の声に、生徒たちが体操服へ着替える。
男子はグラウンドへ集まり、準備運動を始めた。
「今日はサッカーな。」
「やった!」
「久しぶり!」
歓声が上がる。
奏汰も友人たちと同じチームになる。
「悠真、パス頼む。」
「任せろ!」
試合が始まる。
派手なプレーはしない。
それでも奏汰は周りをよく見て動き、味方へ丁寧にパスをつないでいく。
「ナイス!」
「今のいいぞ!」
自然とチームメイトから声が飛ぶ。
その頃、隣のグラウンドでは女子が体育をしていた。
陽葵がボールを拾おうとして顔を上げる。
すると視線の先に、楽しそうにサッカーをする奏汰の姿があった。
(あんな顔で笑うんだ。)
学校では落ち着いた印象が強い。
でも友人たちといる時の笑顔は、少しだけ子どもっぽくて、どこか無邪気だった。
思わず見入ってしまう。
「陽葵!」
友達に呼ばれ、慌てて我に返る。
「ご、ごめん!」
急いでボールを追いかける。
その様子を見ていた部活仲間が、不思議そうに首をかしげた。
「柏瀬、珍しい。」
「何が?」
「ぼーっとしてた。」
「ちょっと考え事。」
笑ってごまかした。
でも胸の鼓動は、まだ少しだけ速かった。
◇◇◇
体育を終えた奏汰たちは、更衣室へ戻る。
「疲れたー!」
「腹減った!」
「まだ二時間目終わっただけだぞ。」
笑いながら教室へ戻る。
何気ない一日。
何気ない学校生活。
その積み重ねが、少しずつ四人の距離を近づけていた。




