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『学校一と呼ばれる三人の美少女は、今日も俺を諦めない。』  作者: 夜凪ロア


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第13話 昼休みの約束

昼休みを告げるチャイムが鳴る。


「よし、腹減った!」


悠真が勢いよく立ち上がる。


「今日は購買で新作の焼きそばパンらしいぞ!」


「昨日も同じこと言ってなかった?」


「昨日は売り切れてたんだ!」


「じゃあ今日も急がないと。」


友人たちは笑いながら立ち上がる。


奏汰も弁当を持ち、中庭へ向かおうとした。


その時だった。


「榛原くん。」


後ろから声がかかる。


振り返ると、乃愛だった。


「少しいい?」


「うん。」


教室の空気が少しだけ変わる。


近くにいた生徒たちが、何気ないふりをしながら耳を傾けている。


「この前運んでくれた資料なんだけど。」


乃愛は小さな紙袋を差し出した。


「先生から、お礼のお菓子を預かったの。」


「俺に?」


「うん。本当は先生が直接渡したかったみたいだけど、忙しかったから。」


奏汰は袋を受け取る。


「わざわざありがとう。」


「私は渡しただけ。」


乃愛は少し照れたように笑った。


「でも……ありがとうって伝えておきたくて。」


「そっか。」


本当に短い会話。


それだけで終わる。


「じゃあ、お昼行ってくるね。」


「うん。」


乃愛は女子たちの輪へ戻っていった。


奏汰も友人たちの元へ向かう。


「おーい!」


悠真が手を振る。


「何してた?」


「先生から預かり物。」


「なるほど。」


それ以上は聞かない。


悠真はそういう性格だった。


しかし、教室の後ろでは違った。


「あれ見た?」


「冬瀬さん、自分から話しかけてたよな。」


「また榛原か……。」


「最近多くない?」


まだ悪意はない。


ただ、気になる。


そんな空気が少しずつ広がっていた。


◇◇◇


中庭。


「いただきます!」


友人たちは円になって昼食を広げる。


「今度の土曜日、暇な人いる?」


一人の女子が聞く。


「駅前に新しいクレープ屋できたらしいよ。」


「行きたい!」


「男子も来る?」


「もちろん。」


「じゃあみんなで行こう!」


自然と話がまとまる。


奏汰も笑いながら頷いた。


「久しぶりにみんなで遊ぶか。」


「決まり!」


そのやり取りを、少し離れたベンチから陽葵が見ていた。


部活仲間と昼食を食べていたが、ふと視線が向いてしまう。


(やっぱり……。)


(みんな仲いいな。)


羨ましい。


そう思った瞬間だった。


「柏瀬。」


部活仲間が笑う。


「何見てるの?」


「えっ?」


「ぼーっとしてた。」


「何でもないよ。」


慌てて笑ってごまかす。


胸の奥が少しだけ熱くなっていた。


◇◇◇


放課後。


図書委員の当番の日だった。


「今日は返却された本を棚に戻すだけだから。」


司書の先生が優しく言う。


「分かりました。」


奏汰と陽葵は、それぞれ本を抱えて本棚へ向かう。


静かな図書室。


ページをめくる音だけが響いている。


「その本、こっちだよ。」


陽葵が指差す。


「あ、ありがとう。」


「榛原くん、本当に本好きなんだね。」


「好きだけど、読むのは家が多いかな。」


「おすすめある?」


「今度持ってくる?」


「本当に?」


陽葵の表情がぱっと明るくなる。


「うん。」


「じゃあ私もおすすめ貸す。」


「楽しみにしてる。」


二人は笑い合った。


その光景を、司書の先生は微笑ましそうに見守っていた。

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