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【観測者の時空】創作エッセイ―その違和感は、未来のバグです― 「あなたの思考は、すでに先回りされている」  作者: Taku
A面:違和感の観測

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12/23

第6話前半 「屋上編:理由のない時間」

夕方の屋上は、静かだった。


街の音が、少しだけ遠くに聞こえる。

ビルの谷間を抜ける風が、ゆっくりと流れている。

誰もいない。ただ、そこにいるだけの時間。


光莉は、フェンスにもたれて空を見ていた。

雲が、ゆっくりと形を変えている。

特に意味はない。ただ、そうしている。


何もしていない。

考えていないわけではない。でも、何かを「考えている」という感じもしない。

ただ、そこにいる。


「探したよ」


瞳が、階段から上がってくる。

息は少し上がっている。何度か呼んだのかもしれない。


「こんなとこにいたのね」


光莉は振り向かないまま、小さく言った。


「うん」


しばらく、沈黙。


沈黙は、気まずくなかった。

むしろ、それが自然だった。

無理に話す必要もない。誰かに「何か言わなきゃ」と急かされることもない。


「何してるの?」


瞳が聞く。


「何もしてない」


その答えに、瞳は少し困ったように笑う。


「いや、そういうのじゃなくて」


「だから、何もしてない」


光莉は、ゆっくり言葉を重ねた。


「空を見てる。風を感じてる。それだけ。

 別に、それに意味はない」


「……それ、できる?」


ふと、そんな問いが落ちる。


「え?」


「何も考えずに、何もせずに、

 ただ“ここにいる”って」


瞳の声は、少しだけ不安そうだった。

自分に問いかけているのか、光莉に問いかけているのか、わからない。


瞳は、言葉に詰まった。

考えようとする。

でも、その時点で

「考えている」という行為が、すでに「何もしていない」ではない。


「無理だよね」


光莉が、静かに言った。


そのとき。


✧ ✧ ✧

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