騎士の二人(1)
柔らかな陽光がリオナラの顔をなで、彼女はゆっくりと瞬きをして目を覚ました。
体をつつむ柔らかなマットレスと温かな毛布は、まるで夢の中にいるかのような心地よさで、彼女は名残惜しそうに上身を起こした。
「んん……」
彼女は目をこすり、隣を見た。ベッドの片側はもう空になっていた。
「あ……」
(もうギルドに行っちゃったのかな……)
昨夜のプリシラの言葉を思い出すと、心に穏やかな静寂が広がった。
『私に証明して見せる必要はないわ。ただ、覚悟を決めてほしいの。外では何が起きてもおかしくない。私にも、お前にも』
彼女は深く息を吸い、両拳をぎゅっと握りしめた。
新しい一日が始まる。それはまた、成長するための新たな機会でもあった。
彼女は迷うことなくベッドから飛び起き、革のブーツを履いた。
靴紐を結びながらブーツの先を見つめると、かすかな微笑みが浮かんだ。
「これが騎士であるということなのかな……弱きを助ける者のこと?」
まともな靴を履くのがいつ以来か思い出せないほどで、靴紐の結び目は不器用な形をしていた。
「もしかしたら……私にも、騎士になれるチャンスがあるのかもしれない……」
彼女は白いポンチョを掴み、頭から被った。
ドアノブを回そうとしたが、引いても手応えがない。鍵がかかっていた。
「あれ……?」
彼女は不思議そうに首を傾げ、入り口を調べた。ふと視線を落とすと、足元に鍵が落ちているのに気づいた。
「あ」
彼女はそれを拾い上げ、解錠して外へ出た。本能的に廊下に誰もいないことを確かめてから、ドアを施錠して鍵をポケットにしまった。
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一階へ降りると、広間にはほとんど誰もいなかった。テーブルを拭いているカーラとゲロルト以外、人影はない。
「おや」
宿の女将は二階から降りてきた彼女に気づき、微かに微笑んだ。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
「プリシラを探しているんなら、裏で誰か女の人と話してるよ」
「女の人と、お話?」
「ああ、わざわざ訪ねてきたんだよ。あんたの朝食も用意してあるから、ついでに彼女の分も持ってってくれると助かるんだけどね」
リオナラはどうすればいいか分からず、顔を赤くした。
「わ、私がやります!」
「いい子だね。トレイは厨房のテーブルの上だよ」
厨房に入ると、リオナラはその物で溢れかえった様子に圧倒された。
中央の木製テーブルの上には、燻製肉の盛り合わせ、パン、そして三つのジョッキが載ったトレイが置かれていた。
リオナラがトレイを持ち上げると、水汲みバケツを持ったゲロルトが入り口に現れた。
「後ろの扉だ。あんたの……お母さんはそこにいるぞ」
「あ、あ、ありがとうございます」
リオナラの胸の中に、奇妙な感覚が広がった。「お母さん」。
自分の母親の顔は思い出せなかったが、彼らがプリシラを自分の母親だと思っているという事実は、少女の心にこの上ない温もりを与えてくれた。
彼女は扉に近づき、ノブを掴んだ。
扉を開けた瞬間、彼女の頭上すれすれに、自分の腕ほどもある長さの刃が突き出された。
反応する暇も、驚く暇もなかった。
マントを羽織った影のような人物が、二振りの細い円刃の剣を手に、彼女の前に立ちはだかっていたのだ。
「あ!」
リオナラは後ろにのめったが、素早く手が伸びて彼女の背中を支え、転倒を防いだ。プリシラが、すぐ隣にいた。
「ごめんなさい、リオ」
彼女は微かな苦笑いを浮かべて言った。「少し不意を突かれてしまったわね」
マントの人物は背筋を伸ばし、両方の武器を鞘に収めた。その声は冷静だったが、微かな敵意が混じっていた。
「魔導騎士、それが例の子供か?」
プリシラは困ったように笑った。
「ええ、フィービー卿」
「そうか……」
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プリシラは後ろのドアを閉め、料理の載ったトレイを部屋の小さなテーブルに置いた。
壁際の椅子を引き、リオナラに勧めた。少女はテーブルの向こう側に座るマントの人物を見ないようにして、静かに腰を下ろした。
「あの……えっと……わ、私もここにいていいのかな?」
その瞬間、プリシラが彼女の左肩に温かな手を置き、軽く握った。
「心配いらないわ。彼女は私の同僚の王宮騎士、フィービー・ホークアイ卿よ」
少女がマントの下を直視すると、驚きに目を見開いた。
布地の隙間から、鋭い眼差しを湛えた印象的な深い青色の瞳が彼女を見つめ返していた。
プリシラとは違い、彼女は服の下に鎖帷子すら着ていなかった。
リオナラの目には、彼女は騎士というよりは暗殺者のように映った。
フィービーは首を動かすことなく、視線だけをプリシラに向けた。
「それで? 貴様は女王陛下の命を独りで遂行しながら、同時にこの子供の世話もしているという。そう信じろと言うのか?」
プリシラの眉が、ほんのわずかに動いた。
「ええ。私の能力に疑念があると?」
「我らの中で最年少であることを考えれば、当然だろう。大いにな」
彼女はプリシラから目を逸らすことなく、燻製肉を一口かじった。
「陛下がなぜ貴様にこの任務を任せたのか、理解に苦しむな」
「彼は、私の父です」
魔法剣士は、暗殺者の視線を真っ向から受け止めたままパンを口にした。
「もし父に何かが起きたのなら、あるいは父が寝返ったのだとしたら……。それに決着をつけるのは、私の責任です」
リオナラは唾を飲み込んだ。緊張感は頂点に達していた。
二人の伝説的な騎士が、今まさに彼女の目の前で対峙している。
静まり返った部屋の中で、二人が放つ重圧によって武器を引き抜く幻覚さえ見えるかのようだった。
※次回更新は3月18日 21:30予定です。




