第6話 死の森にて2
周囲に生き物の気配はない。
その代わりに水が流れる音がする。
「この音はもしかしてトイレかな。……そんなことあるか。川に決まってんだろ。もーさすがのメリュもそれくらいわかるよ~」
冗談を言っても誰も反応してくれない。
仕方なく自分で自分にツッコミを入れる。
「……なんだろう。なんか虚しくなってきた……はぁ」
メリュジーヌが虚しさを感じて、小さくため息を漏らす。
「この短剣、きっとアレクがいざって時の為にぬいぐるみに隠してくれたんだよね。でも、大丈夫かな。メリュのためと言っても、家宝の短剣を盗んだことがバレれればよくてクビ、悪くて処刑。パパとママ、そしてお兄ちゃんたちもメリュを嫌ってるから、最悪な状況にならなければいいけど……。それに一瞬見えたあれは手紙? ……ううん、きっとぬいぐるみの綿だよね、白かったし」
恩人であるアレクの安否が気がかりだった。
本当なら確かめたい。
でも、今はそんな余裕はなかった。
生き残れるかすら怪しいこの状況で、自分以外の心配をすることなどできるわけもない。
そんなメリュジーヌは、これからの事を考えながら水の音が鳴る方へ歩いていく。
「やっぱり川だ! こんなに透き通ってて流石に毒なんてことはないよね。……ないよね!?」
この場所の名前的に毒に侵されててもおかしくないと無駄に警戒してしまう。
名前の由来が、ドラゴンのような強力な魔物が住んでいるからなのだと知っていてもだ。
意を決して手で水を掬って口に運んだ。
冷たい水が口にいっぱいに広がって、潤いを与えてくれた。
「ふー、一息つきたい気分。けど、あまりここに長居はできないかな。他の魔物と出会う前に離れないと」
水が必要なのは、なにも人間だけではない。
故に命の供給ラインにして、最も危険な場所と言ってもいいだろう。
メリュジーヌは馬車での移動中に使っていた水筒に水を入れると、そうそうにその場を後にした。
日が暮れ始めてきた頃、手ごろな木の穴を見つけた。
生産魔法を使って、簡易的な木と葉っぱの取り外しができる壁を作り上げた。
そして穴に入ると壁で穴を塞ぎ、生産魔法で作った植物の液を濃縮した液体を寝床の近くに巻いて匂いの隠ぺいを行うと、そうそうに眠りに就くのだった。
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