第24話 報酬と分配
解体場に入ると何体もの魔物が捌かれて、綺麗に剥ぎ取りが行われている。
大がかりのものは、どうやら高ランク冒険者が持ち込んだものらしい。
トカゲの生首を持って、どうしたものかと迷っていると奥からギルドマスターのヴァンがやってきた。
なぜここにいるのかと全員が思いながらも、口に出す者はいなかった。
「お、ヴァレリアじゃないか。ほう、パーティーで大物を狩ってきた様子だな」
「これ見れば誰でもわかると思う」
「ハハハ! たしかにそうだな。それでどうした? わざわざこんなところまで来るなんてよ」
「受付に持ち込みしたらこっちに案内されたの」
「あーなるほどな。それならそこの買取所に行くといい。即日は難しいが、後日買取金額を渡すことになるが、それでも構わないか?」
「わたしは問題ないけど、みんな次第かな」
ヴァレリアが視線を向けると、何を言いたいのかを察して全員が頷いた。
特に問題は無いようだ。
全員の一致を確認してヴァレリアは、ヴァンにお礼を言うとそのまま買取所に素材を持ち込んだ。
そして翌日、パーティーに売却金が渡され、一行は昼食を食べながら報酬の分配を始めた。
「じゃあ、取り決め通り。計算ミスがないか確認してくれ」
均等に配分された報酬を、ミスがないか各々確認をしてからお財布に入れていく。
そんな中、ヴァレリアは報酬の一部をフィリスに差し出した。
それは単純に贔屓や情けではない。
今回の報酬の増加に最も貢献した人物だと判断したからだ。
「フィリス、これ」
「?」
「わたしの取り分から一割、受け取って」
「ええ!? 受け取れないよ!」
「いいから。今回、報酬がいつもより増えたのは、フィリスが品質を落とさず素材を採取してくれたおかげだから。それに一割引いてもいつもより多いから気にしないで」
「それでも受け取れないよ。みんなで均等にって決めたんだもん。それにこれはみんなで集めた成果だよ」
「消耗品も錬金術で作ってるんでしょ?」
「よくわかったね。全部錬金術で作ってるって」
「フィリスが使う道具は、どれも初めて見るものばかりだから、なんとなくね」
ヴァレリアは、フィリスが使っていた道具を思い出しながら言った。
「このパーティーの中で最も消耗品の負担率が高いのは、フィリスだと思う。錬金術で作った消耗品は結構費用がかさむんじゃない?」
「まあ……否定はできないかな。いつもなら取った素材は売らずに使うことが多いからね」
フィリスが頬を掻いて、苦笑いを浮かべている。
「それに錬金術の研究にも必要になるでしょ」
「うっ……」
「だから受け取って」
「……うう、わかったよ。ありがとうヴァレリア。これからもがんばるね!」
「うん、期待してる」
ヴァレリアに説得され、渋々といった様子でフィリスがお金を受け取った。
フィリス本人にとっては、正直この申し出は嬉しかった。
まだ未熟なフィリスにとって、一つの道具を作るのに必要以上の素材を使う時があるからだ。
今回の道具の素材を市場で調達すると、かなりの金額になってしまう。
「ヴァレリアの言う通りだ。オレたちだと素材の品質を落としちまう」
「そうね。フィリスのおかげで素材も高く売れたんだもの。ってことでいいわよねリーダー」
オフィリアがノイジーに視線を送ると、彼も異論が無いようだった。
そして結局全員がフィリスにヴァレリアと同額を渡す。
「わたしの自己満足に付き合わせる形になって、ごめん」
「気にするな。俺としては、ヴァレリアの言葉で助かったしな。フィリスが俺たちの消耗品の負担をしてくれてたことまで、頭が回らなかったからさ」
実際にこれまでの戦闘を振り返ってみると、フィリスが錬金術で作った道具を使って支援をしてくれたおかげでパーティー全体の消耗品の使用率はかなり抑えられていた。
パーティーとしてこれまで錬金術士のような存在と関わったことがなくて、ノイジーの頭にはその意識が馴染んでいなかったようだ。
「ありがとう。これからも皆の役に立てるよう頑張るね!」
フィリスが満面の笑みで言うのだった。
そして一行はダンジョンへの準備を進め、ついに次の依頼でダンジョンに向かうことになった。
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