第20話 傀儡士、プレゼントを贈ってみる
店を出た二人は、買い出しを行うために露店が並ぶ市場へ向かった。
「成り行きとは言え、メイのことを勝手に妹だって言っちゃったけど嫌じゃなかった?」
「そんなことはありませんよ。メイはすごく嬉しかったです。パパとママもいなくなっちゃって、メイは、とても不安だったんです。でも、お姉ちゃんがメイを妹だって言ってくれて、胸の当たりが温かくなったんです。もちろん、話を上手く進めるためだったってわかってます。それでもメイはお姉ちゃんの妹がいいなと思いました。パパとママが死んじゃってまだ心の整理がついていませんけど、お姉ちゃんとなら乗り越えられる気がするんです。だからお姉ちゃんさえよければ、メイを妹にしてください」
「わたし、ずっと妹が欲しいと思ってたの。だから、これからもよろしく」
「はい!」
メイが嬉しそうに微笑むと、あまり表情が変わらないヴァレリアも嬉しそうに笑っているようにメイには見えた。
ヴァレリアに何があったのかはわからないけど、メイは必ずヴァレリアの笑顔を取り戻したいと心に決めた。
そうして買い出しを終えて、二人は宿に戻って行ったのだった。
宿に戻ると荷物の整理をしながらヴァレリアがメイに声をかけた。
「最初のプレゼントにしては物騒かもしれないけど、受け取ってほしい」
そう言ってメイに渡したのは一本の短剣だった。
「短剣?」
「護身用に一本は持っておくべきだと思って。特に商売をするなら、変な奴や盗賊みたいな人間に目をつけられるかもしれないから」
「ありがとうございます」
「それとこれも」
そう言って一冊の白紙の本と羽ペンを差し出した。
「これは帳簿ですか?」
「商売をするなら必要かと思って。あとこれも」
ヴァレリアが素材を売却して得たお金が入っている袋をメイに差し出し、その中身を見た彼女は目を丸くした。
「こ、こんな大金受け取れません!!」
「いいから受け取って。商売するのに元手は必要でしょ。もし思うところがあるなら、わたしからの投資だとでも思ってくれればいいよ。今のわたしには持て余すものだから」
「……ありがとうございます。大切に使わせてもらいますね」
「ん。そうそう、借りてた分もそこに入ってるから」
それを聞くと早速メイはお金の集計を始めて、貰ったばかりの帳簿に金額を記載するのだった。
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