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三話「約束された破壊の水族館」

雲の上の小さな楽園、天界。


至るところに推しのホストグッズが並ぶウリエル様の一室。

これまでは最低限の家具と、

肩凝りをほぐす為のポータブルマッサージ器のみだったその部屋は、今やホストランド。

先日、ついに抱き枕カバーがデビューし、今はベッドに横たわっております。

どんな格好をしているかは、皆様のご想像にお任せします。


現在彼女は、そんな抱き枕君にちゅっちゅしております。

嗚呼、ウリエル様は真面目な方だったんですが……

いや、今でも真面目な方ですが……


「んちゅー……そんな……可愛いだなんて」


そこを、コンコンとドアをノックする音が聞こえます。


「ウリエル様」

「なんだ。今休憩中だぞ」

「少し気になる点がございまして」

「わかった。入れ」


部下の一般天使が扉を開け、中に入ります……が、

そこで硬直します。

それはそう。そこは見渡す限りの――


ホスト! ホスト! ホスト!


等身大パネル、等身大ポスター、壁一面のチェキ、

机の上のツーショット、

極めつけはベッドの上の抱き枕!


これ見せる勇気相当ですよ。

ぶっ飛んでますよね。天使なだけに。


「どうした?」

「……いえ」


部下がドン引きなのに気付かないことは、ある意味幸福なのかもしれません。


「報告なら早くしろ、今取り込み中だ」

「……実は、どうもココ最近、天界から亡者達が数人消えているんです」

「数え間違いではないのか? 転生は含めたか?」

「転生やトレードも何度も確認しました。けど、何度数えても数人合わないんです」

「まるで裏金だな……行方不明亡者か」


ウリエル様は抱き枕を片手に、頬に人差し指を当てて考え込みます。


「他のあの世ではどうだ。似たようなケースはあるのか?」

「はい。それがなんと、高天原でも同様のケースがあったみたいで」

「高天原は死者産業が活発で、管理も厳格だ。

 ……臭うな」

「いかが致しましょう」

「調べる。資料を作成しろ」

「はい」


そう言ってウリエル様は、ホストパネルに行ってきますとウィンクをし、

総合管理センターへ向かいました。



――――



「全く……なんで俺だけが荷物持ちなんじゃい」


そんな事をボヤきながら、あゆむは近所のスーパーを出ます。

その両手には「これでもか!!」と主張するレジ袋の群れ。


何せ今や6人+ピピ+おばけ6匹の大家族です。

1回の買い物でなるべく多く済ませておきたいので、

その量は膨大となるのです。


「ピピ、サタン、ミカエルさんはまあわかる。

 だがバアル!! お前は持たんかい!!」

「すみませんね。今そこで買った紅茶を飲むのに忙しいもので」


そう言って、彼は紙コップ自販機で買った紅茶を優雅にすすります。

ちなみにあゆむのお金です。

人のお金で買ったものって、なんでも美味しいですよね。

……え?


「ふざけんな!! 持つ気がないだけだろ!!」

「失敬な。永久に紅茶で忙しいだけです。持たないわけではありません」

「それをする気がないっていうんじゃい!!」


あゆむ達がそんな漫才をやっていると、サタンちゃんが何かを発見したようで、

トコトコと歩いていきますね。尻尾もフリフリです。


「おーい、転ぶぞー」


どうやらサタンちゃんは目の前の紅白テントが気になるようです。尻尾ブンブンです。

中にはガラガラが置かれ、50代ぐらいの活きのいいおじさんが立っております。

サタンちゃんの愛らしさに、おじさんの顔も緩んでおります。


「お嬢ちゃん、福引に興味があるのかい?」

「なんじゃそれー!」

「運が良けりゃ良いものが貰えるってやつさ」

「やりたいじょー!」


サタンちゃんはぴょんぴょん跳ねて催促をしています。

キラキラとした期待を込めています。

その視線の先、みんなのお母さん(?)ピピが福引き券を二枚持ってやってきます。

どうやら先ほどの買い物で貰ったようです。


「本当はためてから一気にと思ったんですが、1回だけですよ?」

彼女はそう微笑んで、一枚を手渡します。


「おまえー持てー!」


ペチン! とサタンちゃんは尻尾で催促です。


「なんで俺なんだよ!! バアルに頼めよ!!」

「お前が持て!!」


ペチン!


「ククク、モテモテですね」

「ダジャレのつもりかい!」


仕方がないので荷物を下に置き、サタンちゃんを抱っこ。

ガラガラの前へトコトコ。


「全く……なんで、痛て!」

「文句言うでないわぁ!!」

「抱っこがお似合いですよ、お姉様」

「う、嬉しくなんかないわあ!!」


ペチン!


「痛て! なんで尻尾でいちいち叩くんだよ!」

「皮肉も分からないんですね……ふん」


どうやらミカエルさんは、サタンちゃんがチヤホヤされるのが面白くなさそうです。

長い金髪をいじり、そっぽを向いています。

ヒトに興味があって、仲良くなりたいけど、プライドが邪魔をする。


そんなところでしょうか。


「やるならさっさとしろー、重いー」

「重くないわあ!」

「だから叩くなって!!」


サタンちゃんが「フン!」とガラガラの取っ手を持った途端、

ビリリ! と空間に黒い電撃が走ります。


「うお!? またなんか壊したのか!?」

「うりゃー!!」


サタンちゃんが、ブォンブォンとガラガラを勢いよく回し、出た結果は赤い玉。

残念賞ではなさそうですが……?


「赤は何等だ……?」

「おめでとー。3等の商品券1万円分だよー」


なぜか残念そうなおじさんをよそに、サタンちゃんとピピは大喜びです。


「おー! やったじょーピピ!」

「はい! しばらくの食費になりますね!」

「もっと褒めてもよい! くるちゅうないじょ!」


「フン! たまたまで大げさですよ」

「なんじゃあ……? さてはおぬしくやちいな! はっはっはー!!」

「別に悔しくなんてありません」


ミカエルさんに対しサタンちゃんは超ドヤ顔です。

もう清々しいぐらいのドヤ顔で「ふんす!」と息が荒いです。

ドヤ顔された格上の妹のミカエルさんはスカートを握りしめ、

わかりやすいぐらいそっぽ向いて機嫌が悪いです。


姉のクセに、サタンちゃんばかりがチヤホヤの妹ポジ。

これがどうしてもしゃくに障るようです。


「ならばやってみい!! それとも負けるのが怖いかあ……? うあー?」


カチーン。


そんな音が聞こえて来そうなほど、ミカエルさんがサタンちゃんを睨みつけ、

ドスン! ドスン! とピピからもう一枚の福引き券を奪い、おじさんに叩きつけます。


「お、おう……今度はお姉さんね」

「邪魔です」


あゆむは手でズイっと退けられ、サタンちゃんを降ろします。


「やれやれ……」

「フン! 妾に対抗したことを後悔するがよいわ」


「……神よ」


ミカエルさんは目を閉じ、意識を集中させます。

するとどうでしょう。


もうミカエルさんには自身を天使たらしめるその象徴、

つまるところのハローがない……のですが、

なぜか上空より光の柱が降り注ぎ、「ハァァァァァ……」という神聖な歌声が響きます。

その後、彼女の頭上にうっすらと、ハローの残滓が集まっていきます。


それは青い光を放つと、一瞬、彼女の背中に失われた四枚の翼が出現。

刹那、光の羽となって再び散ると、周囲が幻想的に煌めきます。


ガラガラ! ……ポン。


出た色は銀色です。

カランカラン! と、ここでおじさんが大当たりを示すベルを鳴らします。


「大当たりー! 2等の水族館、ご家族招待券だよー」

「……フッ!!!!」

ここでミカエルさんは虫けらを見るような目で、サタンちゃんにドヤ顔返しです。

もう気持ちいいレベルでの上から目線です。


「おま……!! 卑怯じゃぞ!! 天使の力使ったじゃろ!!」

「言いがかりを……祈っただけですよ」

「うしょちゅけー!!」

「あらあら……姉のクセに負け惜しみですか? ……フッ!!!!」


彼女の言うとおり、ミカエルさんはただ祈っただけです。

なにせハローがありません。

しかし、曲がりなりにも元序列一位の最強の大天使。

弱体化しても、祈っただけ、それだけで奇跡が起こせるのです。

ちなみに1位は温泉旅行でした。


「あのー……後ろつかえてるんで、用が済んだらお帰りくださいー」

立て続けに目玉を当てられて、おじさんはつまらなそうです。



――――



…………



その帰り道。


「しっかし、ミカエルさんはともかく、なんでサタンが3位を当てたんだ?

神社では全部大凶だったじゃんか」


「知らんわ」

「おそらく、主の権能の影響でしょう」

「どういうことだよ、バアル」


「主の権能は反逆です。神社などの場合は神力に逆らいますが、

 先の場合、 “当ててくれるな” という大将の意思に逆らって、

 それが力となったのでしょう」

「つまりサタンは呪い返しをしたのか……あの大将め……」

「まあ今頃大将は、ちょっとしたしっぺ返しでも受けている頃でしょうね。

 ククク……」

「まあ3等なんかよりも、2等の方が良いのでどうでもいいです」


まだ言ってます。よほどムカついてたんですね。



…………



「うわっ!? 犬のフン踏んだ!!」

トイレへ向かった大将に、早速それが来たようです。



――――



「なんですか? それは」


帰宅早々、ガブリエルママが珍しく近寄ります。

銀色のお下げ髪を揺らし興味ありげです。

黒メガネをきらりと光らせて、あゆむが持つチケットを見ていますね。

他のおばけ達もひょろひょろと集まってきます。


「ミカエルさんが福引きで当てたんだ。水族館の家族招待チケットさ」

「なるほど。つまりわたくしとトリエルの二人でいけと言うことですね」


「なんでじゃい!! 5人分じゃい!!」

「え……5人だけなんですか? 全員ではないのですか!?」


どうやらミカエルさんは知らなかったようで、驚いた表情です。

青いプリーツスカートの裾をぎゅっと掴んでいます。

行きたいのでしょうね、あゆむの顔をじーっと見つめます。


「ふむ……今いる人型は7名。二人お留守番ですか」

「バアル、おぬちは留守番じゃ! 妾行きたいじょ!」

「トリエルもー!」

「トリエルが行くなら、ママも絶対に行きますよ!」

「わたくしも出来れば……」


既に4人が手を挙げ、残る一枚をあゆむとミカエルさんで争う展開に。

ですが……


「ふ、ふん!! 落ちぶれても元大天使。ゆ、譲りますよ……」


行きたそうです。

面白そうなので、あゆむはしばらく見ることにします。


「……わたしは落ちぶれても元大天使……落ちぶれても元大天使……

 大天使は恵むものです……チラ」


超行きたそうです。呪文のように大天使と繰り返し、言い聞かせてますが、

チラチラとあゆむを見ています。


「はあ……ほらよ」


さすがに可哀想になって、ミカエルさんに最後のチケットを渡すと、

彼女の表情が一気に太陽のように明るくなります。


「い、いいんですか!? 返しませんよ!?」

「スゲー行きたそうにしてるだろ。俺は自腹でいいよ」

「そうですよ、あゆむはそうしなさい」

「うるさいぞ! 親バカ天使! ここに最高の天使がいるんだぞ!」

「元ですけどね」


ガブリエルママは現役大天使をかさにきて偉そうです。

恨みでもあったんでしょうか。


「……ガブリエル……覚えていなさい」

「ではお留守番は私バアルゼブルで、紅茶でも用意してお帰りをお待ちしておりますよ」


「チケットの期限が3日後に切れるから、明日行くか」


そんなわけで、急遽水族館に行くことが決まりました。

さてさて、どうなるんでしょうね。


……


「行ってらっしゃいませ」

バアルゼブルはあゆむ達を見守るとは何故かクククと笑い、

あゆむは若干、不審に思いながらも部屋を後にしてバス停に向かいます。



――――



水族館はバスと複数の電車を経由し、1時間30分程移動した先にある大規模なところです。

水色のドーム型の建物はいかにもな見た目。

周りも池で囲まれ、そこに小さな海洋生物が放たれています。


「おーー!! ここがすいじょくかんとやらかー!!」


バスから降りたサタンちゃんは尻尾をフリフリしながらアーチ状の石橋をダダダダッシュ!

チケットを握りしめ、そのまま中に入っていきます。

「転ぶなよー! あと迷子になるから走るなー」

多分聞こえていませんが、あゆむはまあいいやとピピの方を眺めます。


「……水族館程度で情けない」


ミカエルさんが長い金髪をかきあげながら優雅にバスからおりますが、

どの口が言っているのでしょうか。

昨日、超が付くほど行きたがっていた人物のセリフとは思えません。


「さあ、わたくしの可愛い可愛いトリエルちゃーん。

 ママとゆーっくり見て回りましょうねー?」

「ガブリエルママー、みんな笑ってるよー」


はい。バカ親は放っておきましょう。


「見てください! こんなところにもお魚が泳いでます。可愛い……」


ここでテンションの上がったピピが、あゆむと腕を組みながら池を指さします。

耳に深く残る風鈴のような高音の声、ふわりと風に舞う白いワンピース、

そして長く青い髪があゆむの心も視線も釘付けにし、

まだ2月だというのに、その胸は夏のように熱くなります。


「……もうこの瞬間だけで出かけた価値があったな」


「チケットを買ってくるよ」

「先に行って待ってますね」


ピピはそう名残惜しそうにあゆむから離れ、すぐ合流するのにも関わらず、はにかみながら手を振ります。

そんな仕草がいじらしくて堪らなく、

あゆむもすぐ合流したくてチケットを購入。


そうして、早速合流するのですが……


「なんでお前らがおんじゃーい!!」


「うふーん!」

「あゆむーん!」

「会いたかったわーん!」

「置いてくなんて酷いでゲスー!」

「そうザマスー!」

「てやんでーい!」


水族館に入った先、目の前の水槽にいたのは

(顔だけ)ピピになって人面魚となったアンポンタンとゲザイトリオでした。

ここであゆむは出発時、バアルゼブルが笑っていたことを思い出し、無性に腹が立ちます。


「おのれー」


どうやら淡水魚の水槽のようで彼らも活動できるようです。


「クソ……全部海水じゃないのか」

「ガブリエルママ見てー、人魚だー!」

「わー! 本当ねー! 手を振ってるわー!」

「ママー! 人魚ー!」

「スゲー!」

「変顔してる!」

「動画上げよ! 絶対バズる!」

「もう知らん! スルーじゃ!」


あゆむはピピの手を引いてスルーしようとしますが……


「あゆむーん!」


アンポンタンの三匹が水槽からジャーンプ!

そのままあゆむに水鉄砲をブシャー!


「うわっ!? 魚臭!」


これにはアンポンタンもケラケラケラ。


「おのれ……ここで海水遊泳(三途の川にご招待)させたろか!」


などと考え拳を握りますが、彼らが消えてしまったために断念。


「もうええわ。行くぞピピ」

「あ、あの……」


あゆむはピピの手のつもりで引いていたそれは、ミカエルさんでした。

彼女は何故か顔を赤らめ、空いた左手を口元へ運んで恥じらっています。


「え……ちょっと……急に」


サラリと揺れる金髪はピピに負けじと劣らぬ美少女ですが、相手は生身(他の女)……

ともなると……


「そうですか……やはり生身に逃げるのですね……」


ピピがありえない角度のイナバウアーで、目を赤く見開いてダダダと背面ダッシュ!

完全にホラー映画のそれです。


「怖いんじゃい!!」

「逃がしませんよ!!!!」


そのまま嫉妬のグーパンチ!


「ぐぇあ!?」


あゆむバターン!!

そして、馬乗りになったピピの手があゆむの首に……


「生身に渡すぐらいなら……あはは……!!!!」


ポカ!


「落ち着いてください」

「……は!? す、すみません……」

ここでミカエルさんの(元)天使チョップで正気に戻ったようです。


「し、死ぬかと思った……」

「ミカエルさんも紛らわしいことしないでください……

 でも渡しませんから」

「一度徹底浄化した方がいいんじゃないですか? 彼女。なんならしましょうか」

「やめて差し上げて」


日本の霊に天使のそれがどこまで効くのかは知りませんが、

ミカエルさんのそれはきっとシャレにならないので、あゆむは丁重にお断り。


――まもなく、イルカ達によるショーが開催されます。奮ってご見学くださいませ――

そんな時、こんなマイクのアナウンスが聞こえます。


「イルカショーか。いい時間に来たな」

「ガブリエルママー、イルカ見たーい!」

「はーい! ママ最前列を脅してでも取りまーす!!」


「やめーい!!」


幸い会場は最前列が取れて、サタンちゃんも合流してみんなで席にどっこいしょ。

サタンちゃんはあゆむの膝の上に座り、

その両サイドをミカエルさんとピピが囲むという構図に。


「なんだこの構図は……」

「ミカエルさん、近すぎですよ。離れてください」

「別に普通です。この椅子が近いんです。貴女こそ近すぎるんじゃないですか?」


ペチン!!


「人間! 動くな! いしゅはじっとしてりょ!」

「俺は椅子扱いかい!!」


…………


「はーい!! みなさーーーーんこんにちはーーーー!!」

かくしてショーが始まり、会場のお姉さんの声が響きます。


するとここで早速イルカ達がジャンプ!

激しい水しぶきが起きて、前列にいたトリエルに水がバシャー!


「わっ!? わたくしのトリエルちゃん大丈夫ですか!?」


ここまでなら平和なショーですが、トリエル(破壊神)いるところ破壊あり。

そんな無事で終わるわけもなく――


「あはは! 面白ーい! そうだ!」


ここでトリエルがシルクハットをぽーい!

ハローがピカー!


「Hello」


さあ……|尺の都合で早速ショータイム《天使の権能発動》だ……



ゴゴゴゴゴゴゴ……



するとここで何故かデーデン……デーデン……という音楽が鳴り出し、

会場からはクスクスと笑いが。


プールには背びれが見えます。


「サメか?」

「んなわけないじゃん。 演出だよー」


会場の笑いとは裏腹にお姉さんの顔は引きつってます。


そして……


「あゆむーん!!」

「みていってーん!!」

「お前の兄ちゃんボッチー!!」


「やかましい!!」


イルカに化けたアンポンタンがプールから大ジャーーーーンプ!!


「いくわよーん!!」

「はーーーーい!!」


アッチの声にボールに化けたポンポが答えてトス!

アッチがレシーブ!!


「受け取ってーん!!」


タンタがスパーーーーイク!!

あゆむバゴーーーーン!!


「こりゃ!! いしゅが倒れりゅな!!」


ぺチーン!!


会場ゲラゲラーーーー!!


「すごーい!! トリエルちゃん大てんさーーーーい!! みんな大喜びよー!!」

「バカ親は持ち上げんなーー!!」


するとここで、後ろの海から複数の目を持つ巨大なタコしゅつげーーん!!


「ブシゥゥゥゥゥゥゥ!!」


会場は大こんらーーーーん!!


「え!? これもショー!?」

「んなわけあるか!!」

「逃げろー!」


会場は一転して地獄絵図!!

巨大タコは触手に生えたグロテスクな目をグリグリしながら、

「プチュー!」と奇声を発し、会場を破壊!!


「おのれ悪魔め!」

|悪魔絶対許さんウーマン《元天界序列一位大天使》のミカエルさんが、ここで身を乗り出して祈り出します!


「神よぉぉぉぉぉ!」

するとミカエルさんにハローが限定復活!

四翼大天使ミカエル様は空を飛び、剣を掲げます!


「おいバカ!! やめろーーーー!!」


「すぅぅぅぅはぁぁぁぁ!」


空から「ハァァァァァ……」と降り注ぐ光の柱が剣に集まり、それが巨大化します!!


「|イクス・キャリバーーーー《約束された勝利の聖剣》!」


「アホタレーーーー!!!! 加減を考えんかーーーー!!!!」


チュドドドドドドーーーーーン!!!!


会場はドガシャーーーーン!! 大ほうかーーーーい!!


ぜーーーーんぶめっちゃくちゃーーーー!!



…………



|大天使奥義《約束された勝利の必殺技》により、

巨大なタコの魔物は滅びました……


しかし、その爪痕として、周囲には瓦礫が散乱し、

スタッフは大泣き、海洋生物たちは逃げ惑う地獄絵図。

それでもミカエルさんは満足気です。


「ふう……無事終わりました」

「無事なもんかーーーー!!!!」


ミカエルさんの暴走で水族館は木っ端微塵になり、あゆむ達は無事出禁。

後日、ウリエル様が尻拭いをしたそうです。


「もうトリエルだけではないな……」

ミカエルさんという新たな破壊神が加わり、あゆむを取り巻くカオスは加速するのでした。



――――



どこかの異空間、イ・クウカーン。

どこまでも広がり、先の見えない闇の中、「それ」はおりました。

暗闇の中で赤く光る無数の大きな目。

やがてそれは形を取ります。


……


それは一度タコのような形をとると、

顔がイカのようになり、下半身は腕が触手の人間のようです。


…………


「興味深いな……あの力……もっと調べなければ……」


虚無の暗闇の中で無数の目を持つ触手がうごめき、次なる闇の予感をさせるのでした。


「あの笑顔は……ふふっ、面白い」



――――



次回 落ちてきた天使と同居することになった件。


「山だ! 川だ! トリエルだ!」にご期待ください。

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