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十話「縁日だよ!? 全員集合!!」

皆様、秋の始まりといえば何を連想しますか?


紅葉……はちょっと早い気がしますね。

秋刀魚や松茸の販売開始は、

まさに秋の始まりといったところでしょうか。


ところで、松茸と言えば

「香り松茸味しめじ」という言葉があります。


この言葉「松茸は香りだけ、味ならしめじ」

という意味で覚えている方が多いそうですが、

意味が違うというのはご存知でしたか?


はい。実は違うのです。


本来はこうです。


「しめじは味だけ。

松茸は香りも良いキノコの王様」

こういう意味なのです。


ご存知でしたか? 

もちろん嘘です。本当です。


ええと……嘘というのが本当です。


ちなみに嘘なのは本当ですが、

このように覚えておられる方が

一定数いるのは実は本当です。


ええと、本当に本当です。


さて、秋の始まりといえば

忘れてならないのが一つありますね。

そう、縁日です。


ちなみにこの縁日という言葉、

昔秋の始まりのお祭りの日に、

若い男女の縁を皆が集まる祭りを介して結んだ……

そんな風習があったことからことから始まっているのです。


なんとも素敵な由縁ですね。


今適当に作った話なので違うと思いますが。


というわけで、今回はそんな縁日に関するお話です。


どうぞお楽しみください。


え? 今回でこのコーナー最終回ってマジ!?


――――


雲の上の小さな楽園「天界」


…………


現在天界は騒然としております。

天使達が右往左往し、あるお方を探されているようです。


「……はどこだーー!?」

「探せーー!!天界が終わるぞー!!」


天界が終わるとはまた穏やかではありませんね。


しかし、それほどの事件であれば

ウリエル様が黙ってなさそうに思えますが……


「……これを!!」


どうやら天使の一柱が何かを見つけたようですよ。


――有給申請書「ウリエル」――


どうやらウリエル様が激務で逃げて、

天界が終わりそうになっているようです。

なんかみた光景ですね……


神様は何やってるんでしょうかねえ……


「いけー! ゼウスマッケンオー!! いけー!!

……よし!! よーし!!

……あーーー………」


競馬してるみたいです。


たしかに終わりそうですね。


――――


「起きてください……」


聞き覚えのある、いえ、

聞き慣れた風鈴のような心地よい声が聞こえます。

「ピピ……」


目を覚ますとそこにいるのはピピ、

そして顔にある冷たい感触。

頬にはピピの冷たい手が当てられ

眼前に広がるのは優しい笑顔。


「天国かな……ここは」

「いいえ、人間界ですよ」


視線を横にやると

最近やっと慣れてきた男、バアルゼブル。

両腕を背中の後ろで組み、

いつもの立ち姿勢でクククと笑っています。


「お前、実はまだ魔族のままだろ」

「かもしれませんね。では……魔族は魔族らしく」


バアルゼブルはそう言うと、

右足であなたの顔面にビュオ! と空を切る華麗な回し蹴りを――


「うわっ!?」

「しませんよ……ククク」


それはあなたが

反射的に動くのも見越した、

見事な寸止めでした。


少しでもコントロールがズレていれば、

間違いなく命中……

あなたの顔面は変形していたことでしょう。


まさに達人技というべき足芸(?)を見せ、

バアルゼブルは不敵な笑みを浮かべます。


あなたは

「こいつ絶対性格の悪いドS元悪魔だ」

と思い、拳を握るのでした。


「その拳の作り方では対したダメージは出ませんよ?」

「やかましいわ!!!」


「……クソ……部屋がどんどん狭くなるな」

あなたがそんな事をボヤきながら、

ベッドから降りると、

バアルゼブルは手をやりテーブルへと案内します。


そこには既にピピが用意した朝食と

バアルゼブルの淹れた紅茶があります。


「ならばいっそ、

ここから離れて静かに暮らされますか?」


バアルゼブルのその言葉は、

嫌味とも気遣いとも取れました。


「んなことできないだろ……」


あなたがテーブルに突っ伏すと

バアルゼブルはクククと笑い、拍手をします。


「さすがですね。確かにその通り、

あなたはもう “こちら側” です。

トリエル様に守護された時点で、

あなたは人ならざる者を引き寄せる運命にある」


「なんだよそれ! トリエルのせいだってのか!」


あなたが珍しくツッコミ以外で声を張り上げると、

ピピはあなたの肩を押さえ気を静めます。


「そうではありませんよ。


人ならざる者に心を寄せ、

寄せられるというのは、

そういうことだと、そう申し上げたのです」


あなたは以前、

これに近い警告をトリエルからも受けました。

霊から過去を聞いてはいけないと。


ですがそれと同時に

トリエルもまたあなたとの生活を楽しみ、

共にありたいと願ってしまった。


それはピピも同じで

あなたとピピは想いを寄せあった。


そうした因子が絡み合い、

あなたはそういった者から、

もはや離れられない存在であると、

バアルゼブルは中立的な立場で言いたかったのでしょう。


「だからあんな話をしたのか?」

「そういうことです」


バアルゼブルはそういって笑を浮かべながら、

窓辺に立ち空を見あげます。


彼の話を聞いてか、

ピピは不安げにあなたの肩を抱きますが、

あなたはピピの手を触ると、

彼女を安心させるように優しく語りかけます。


「俺はトリエルやピピと出会ったことも、

ピピと……ヒミと恋人になった事も後悔してないよ」


あなたの手がピピの左手の薬指に嵌められた指輪に触れると、

彼女は頬を紅葉のように染め上げて

「どこまでも、いつまでもご一緒します……」

と微かな涙声でそう囁きました。


あなたは冷めてしまった紅茶を口に含むと、

それをゆっくりと飲み込んでから、朝食を口に運びました。


「よ! アツいね!」

「もう夫婦だろ!」

「子供は二人欲しいわん」

「愛してるぜ……ピピ」


「ああ……こいつらもいるんだったな……」

あなたはここでグッと堪えるフリをして拳を握り……


「あ!!! 手が滑った!!」

あなたはわざとらしくフォークを投げますが……

そんな芝居で隙をつけるはずもなく、

カキーン!! とごく当たり前のようにそれは尻尾で打ち返され……


グサッとあなたのおでこに見事命中!

前方からはアンポンタンの笑い声が聞こえてきます。


「アッカンベー!」

「お尻ペンペーン!」

「お前の父ちゃんケツ臭え!」


…………


「いつか絶対に除霊(しまつ)してくれるわ……」


そう改めて心に誓うのでした。


…………


昼下がり、

あなたが昼食のうどんを食べているときです。

どちらのうどんか? もちろん狐ではなく天ぷらです。


ピンポーン……


あなたの部屋にインターホンが鳴り響きます。


「私が出ましょう」

とバアルゼブルが対応してくれ、

あなたがうどんを啜っていると……


「あなた様の浮気相手が来られましたよ」

とバアルゼブルがニッコリと笑顔で部屋に戻ってきます。

「げっふぉ!!」とあなたはうどんをぶー!!


突如背後に強烈な悪寒を覚えると、

そこに目を赤く見開いて、

漆黒の霊気を放っているのはピピです。


「誤解を招く言い方はよせ……」


入って来たのは私服の……いえ、浴衣姿のウリエル様です。


赤い花柄の浴衣がなんともチャーミングですが、

その服装が更にダメでした。


「やっぱりあなたは生身に逃げるんですね……

しかも天使……若いままの生身ですか……そうですか……」

「違う違う違う違う!!!」


あなたはピピに抱きついて必死に

「大事なのはピピだからー」となだめると、

ピピはすぐに正気に戻り。


「……心配させないでください」とポツリ。


あなたはホッとしますが

「でも浴衣なんて……勘ぐってしまいますよね……」

と再び漆黒霊気。


やっぱりまだ怒ってるみたいです。


「あまり人心で遊ぶなバアルゼブル」

「私は人心では遊んでおりませんよ。霊心です」


「ヘリクツじゃろがい!!!」


口が減らず、しゃあしゃあとするバアルゼブルに

「やっぱりコイツドS悪魔だろ」

とあなたは改めて怒りを覚えますが、

しかしどこか彼に憎みきれない魅力があるのも事実です。


それはきっと、

今彼がとても生き生きとしているからなのでしょう。


「ピピ嬢もあまりコイツを相手にするな。身が持たんぞ」

ウリエル様はバアルゼブルの弄りを

さらりとかわすとピピに進言をして本題に移ります。


「縁日というものに付き合って欲しい」

「はいー??」


あなたはどこぞのオールバックの

紅茶紳士のような声を出すと、ウリエル様を見つめます。


「実はな……その……なんだ」

ウリエル様は何故か急にモジモジとしだします。


頬は赤く、普段の彼女の凛々しさを知っている者なら、

腰を抜かしそうなほどにその表情はまるで別人です。


「縁日というのは…縁と縁を結ぶ祭りだと聞いた……

日本には祭り好きの神も多いと聞く。

その……私もそろそろな……」


ああ、なるほどとあなたは納得しましたが、ここで……


「ああ…それ本気にする人いたのですね」


バアルゼブルがまたしてもクククと笑い

「あれは私がネットに適当に作って流した話ですよ」

とニコリ。


それを聞いたウリエル様は

見る見るうちに顔を炎のように赤くして……


「貴様かぁぁぁぁ!!!!

そこへ直れ!!! 成敗してくれる!!!」

と叫び大剣を出現させ、怒り心頭です。


「やめやめい!! ここで争うな!!」


「ククク……ハハハハハハハ」


バアルゼブルはおかしくて仕方がないのか、

高笑いをすると腹を抱えて思わず

「ああ……地上とはこんなにも、

美しく、そして楽しいところだったのか……」

と本音をポツリ。


「これはあの方にも是非味わっていただかねば」

「これ以上部屋が狭くなってたまるか!!!」


「誰もあなたの部屋にとは言っていないのですが、

やる気十分ですね」

「やかましい!!!!」


完全にバアルゼブルの手のひらの上で遊ばれるあなた達。

そんなあなた達、特にウリエル様を横目に……


「……フッ!!」

そう冷笑するガブリエルママの姿があり、

ガブリエルママに膝抱っこされているトリエルは

ぽけーっと眺めておりました。


「ええい! もういい! 

有給は叩きつけておいたのだ! 付き合え!」


浴衣姿のウリエル様の可愛い地団駄にあなたも心が緩み、

「じゃあ行くかー」と財布を取り出すと……


「トリエルも行くー!!」

とトリエルがバンザイした状態で

ヒヨコのようにトコトコと擦り寄って来ます。


この時のトリエルは本当に

「守りたい、この笑顔」です。


「トリエルが行くのなら当然わたくしも」

とガブリエルママが言えば……


「ピピもお供します」

とピピがワンピースを広げて挨拶。


「それでは私もお供しましょう」

とバアルゼブルも背中で腕を組み、フフフと笑い、

おばけ達もヒラヒラ飛んでいます。


「……全員集合だな」

となんだかんだで

あなたは満更でもなさそうな、

そんな表情でフッと笑うのでした。


…………


「まだ早いか」

これには全員ズルっとコケます。

まだお昼ですからね。


――――


時刻は夕方18時、

近所の神社では既に人でごった返し、

綿あめや射的、近所すくいなどの

定番の屋台も多くの人で賑わっています。


ここでトリエルが射的コーナーの

40cm程のヒヨコの巨大ぬいぐるみに興味を示します。


「トリエルあれ欲しー!」

これにはガブリエルママは

ガッツポーズでメガネを光らせます。


「はーい、ママが取ってあげますよー」

「一回4セットで500円でーす」


ガブリエルママは一瞬「高い」と軽く舌打ちしますが、

トリエルの手前ニコニコ笑顔でお金を払うと、

おもちゃのライフルを構えます。


そして……パン!!


コルクの弾はぬいぐるみに頭部に当たりますが、


ぽよーん!


とそれは跳ね返ります。

ぬいぐるみは微動だにしません。


「これって……」

と後ろで言うピピにあなたは

「よくある釣り景品だな」とチクリ。


「なるほど……

取れない景品で釣ろうと……

そういう事ですか……フフフ」


それを聞いていたガブリエルママは

おもむろに黒メガネを外します。


メガネがハローに変化して

パアアアっと光るとガブリエルママは再度コルク弾を発射!!


「フッ!!」と風を司るガブリエルママの天使の吐息に、

それはギュオォォッ!! と勢いをつけ、

ぬいぐるみにヘッドショット!!


ポーンと見事に落下してぬいぐるみゲットです。


ガブリエルママはサッとハローを

メガネに変えて付け直すと

「文句ありませんね……?」とニヤリ。

目には目を、ズルにはズルで

やり返したガブリエルママの勝利でお店側はぐったり……


「どうぞー……」

「やったー!」とこれにはトリエルも大喜びで、

ガブリエルママもニコニコです。


…………


「いい匂いがしますね」

ピピはものは食べられませんが、その香りは食べられます。


「何か欲しいものはある?」

あなたがそういうと、

ピピは「りんご飴を……」と控えめに指さします。


りんご飴を持つピピは想像しただけで可愛いな……

あなたはそんな事を考えながら彼女にりんご飴を渡すと、

ピピは食べるフリだけしてその香りを堪能しているようです。



「ふむ……ここが縁日か……

このたこ焼きというのはなんだ?」


どうやらウリエル様はたこ焼きに興味がおありなご様子。

「それは一つ一つと素早く食べ切ることができれば、

良縁に結ばれると言われているとされる食べ物ですよ?」


バアルゼブルのその言葉を真に受けたのか、

「フン……そんなデタラメを……店主、一つくれ」


ウリエル様は興味無さそうに買い

「あー……ちょっと小腹が空いたな」

とそれをパクク……


「あっつーー!!」

「ぷ……ククク」


「バ、バアルゼブルー!! 貴様ー!!」


見事に手のひらの上で踊らされるウリエル様でした。


…………


「まもなく、メインイベントの盆踊りを行います。

ふるってご参加くださいませ」


そうアナウンスが聞こえると、

盆踊りのステージにはいつの間にかトリエルが……


「あ……」


あなたはやばいなと思いつつも、もう止められず、

トリエルはシルクハットをぽーい!


天使の輪がピカー!

お目目が茶色ー!


するとどうでしょう?


ステージの周りには

無数のおばけ達が飛び交っております。


彼らは皆音楽に合わせて踊り、

中には再会を楽しむ者までいます。


「ヨシコー会いたかっただー!」

「大作さーん!」


「わー! 盆踊りだからおばけがいっぱーい!」

「今年の仕掛けは派手だなー」


どうやら皆さん仕掛けだと思い込んで、

珍しく発動した笑顔のプチ権能で盆踊りは大成功でした。


――――


最後はみんなで花火をしよう。

誰が言い出したのか、気付けばそんな雰囲気になり、

あなた達は家に戻ると外で花火をする事に。


「そう仰ると思いまして」と、

いつの間に買ったのか

バアルゼブルが花火セットを見せニコリと笑います。


「準備がいいな……」

「光栄ですよ」


…………


「わー!!綺麗ー!!」

先陣を切ったのはやはりトリエル、

彼女は赤色の花火を見るとそれをヒラヒラと回します。


「人に向けるなよー」

あなたはトリエルに軽く注意しますが、

その声に力はありません。


次はピピが線香花火を取り出します。


「綺麗ですね……」

ピピが持つ線香花火が優しく光り、

周囲の心も照らしてくれます。


白いワンピースを着て線香花火を持つ、

白肌の少女は、その儚さがとても絵になる……


あなたはそんな風に彼女を見つめると、

そっとピピの肩を抱きます。

ピピも頬を赤らめて花火を持ったままあなたに寄り添います。


しかし、そんな甘い時間は……

長続きせず「次これー!!」

とトリエルが取り出した打ち上げ花火に、

あなたの危険予知はレベルMAXで警報を鳴らします。


そして……シルクハットをぽーい! ハロがぴかー!!


「Hello」


さあ……打ち上げ開始(天使の権能発動)だ。


「おっとう……おっかさん……オラ、

立派な打ち上げ魂見せるだぁ…!!」


意識を持った打ち上げ花火は

ドドドーーーーンと大噴火ーーー!!


周囲にバババババーーーーーン!!!


「あっちあっち!!!!」


「こっちも行くよー!!」


「3……2……1……go!!!」


ピュピュピュピュピューーー!!!


とロケット花火もカウントダウンをはじめ、

ドドドドーン!!!


ちゅどどどどーーーん!!

と周囲に大げきとーーーつ!!!


「僕も混ぜてほちいでちゅー!」

とネズミ花火も喋りだして


ババババババン!!!


みんなあっちーーーー!!


トリエルこっこにこーーーー!!


「あはは!! 花火って楽しいね!!」

「楽しいのはおのれだけじゃああ!!!!」


大規模な破壊は免れましたが、

あなたは全治一週間の火傷を負ったとか……


「殴りてー!!! この笑顔!!!」


次回!


「ハロウィンの笑顔」


次回からクライマックス突入です。

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