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二話「鯉は昇りますか? それとも食べますか?」

はい。やってまいりました。

二話ぶりの冒頭うんちくコーナーの復活でございます。


やはり真面目なストーリー回でございますと、

尺が増える関係でこのコーナーも入れずらいのですが、


今回は日常回(イベント回)ですので、

このコーナーも復活という次第でございます。


さて、皆様5月5日と聞いて何を思い浮かべますか?


楽しい楽しいゴールデンウィークでしょうか?

確かに、5月といえば真っ先に思い浮かぶのはゴールデンウィークですね。


大型連休というのは、社会人にとっても学生にとっても、やはり嬉しいものです。


そしてそのゴールデンウィーク、こどもの日というのがありますね。


そう5月5日です。


またの名を端午の節句です。


端午の節句とは、毎年5月5日に男の子の健康と成長を願う日本の伝統行事で、


鎧兜や鯉のぼりを飾り、子どもの健やかな成長と厄除けを祈るのが特徴です。


中国の厄払い行事に由来し、日本で独自に発展し、

武家文化と結びつきながら庶民にも広まりました。


これらは主に男の子のお祭りなので、ひな祭りとは対照的に、

女子の皆様には馴染みがないかもしれませんね。


ところで、何故5月5日なのか、気になりませんか?



――BGM――



むかーしむかし、丹後の村に節郎(せつろう)という若侍がおったそうじゃ……

この節郎、大層童子が好きな侍で、よくチャンバラをしたり、

鎧兜を見せては村中の童子を喜ばせておったそうじゃー。



「節郎のあんちゃんー! オラと遊んでけろー!」

「オラが先だー! さき声かけてたのはオラだ!」

「おめえさ昨日も遊んでたべー! ずりーど!」


「これこれ喧嘩すんでねえ。ワシは逃げも隠れもしねえ」


「今日は相撲がしてえだー!」

「勝ったら鎧見せてけろー!」

「ははは! ええどー」


しかし、そんな楽しい日も長くは続かなかったのじゃ……


「戦……!? どういうことだ!!」

「あんちゃん!! 説明してけろ!!」


「ワシは侍だー。侍は弱えやつさ守るの仕事だー」

「あんちゃん!! 嫌だー嫌だー!!」

「行かねえでくんろー!! あんちゃん!!」


「でえ丈夫だあ! ワシは必ずけえって来るだよ!」

「約束だんぞー!」

「ああ、約束するだー」


しかし、節郎は二度と、丹後の村に帰ってくることはなかったのじゃあ……

悲しんだ村の童子達は節郎が戦へ向かった日、

5月5日に紙で作った兜を飾って、節郎を弔うになったのじゃあ……


それが始まりとされ、

以後、丹後村の節郎で、

丹後の節郎、端午の節句となったのじゃあ。


めでたし、めでたし。



…………



んなわけない。

というわけでして今回はそんな端午の節句に関するお話です。


どうぞお楽しみください。


――――


雲の上の小さな楽園、天界。


「ウリエル、入りますよ」


宮殿内部のウリエル様の小さな部屋、

白い室内にテーブルと観葉植物しかない質素なそこに、

ウリエル様は瞑想をしております。


そこへ何者かの声がします。


「ガブリエルですか……どうぞ」


この時ウリエル様は「厄介なのが来た」と思いました。


というのも、ガブリエル様はトリエルの育ての親です。


天界樹から生まれたトリエルは、当初ピンク色の神に赤と茶色の目を見持って生まれました。


「きっとこの子は素晴らしい天使になる」

ガブリエル様はそう確信し、トリエルを育てたのですが……


ガチャリと扉が開き、銀色の髪をなびかせたガブリエル様が、カツカツと音を立てて、

ウリエル様の眼前に立ちます。


「どうかしましたか」

バン! とそこでガブリエル様は中央のテーブルを強く叩きます。


「どうかしたかではありません! トリエルのことです! 全く音沙汰がないではありませんか!?


わたくしの可愛い可愛いトリエルが、恐ろしい人間界で孤独に泣いているのですよ!?


貴女という天使はそれでも天使ですか!?」


ああ……はじまったと、ウリエル様ははあ…とため息を吐きます。

ガブリエル様という天使を一言で言い表すならば……


「きっと今頃、ガブリエルママ助けて……とそう泣いているはずです!!


なのに貴女は瞑想などしている場合ですか!!

トリエルは見つかったのですか!!」


親バカです。しかも相当な。


補足しておきますと、ガブリエル様は繁栄を司る優秀な風の大天使様です。


その風は神様の言葉を地上へ伝え、その権能は繁栄をもたらします。


彼女の権能である繁栄は、その優しさ、あるいは母性を象徴しているのでしょう。


しかし、彼女の場合、それが極端なのです。

トリエルを溺愛するあまり、こうして周りが見えなくなることもしばしばあります。


「……どう報告したものか……」

ウリエル様は心の中で頭を抱えました。


下手なことをいえば彼女は間違いなく、無理やりにでもトリエルを連れ戻し、

大天使の力を使ってでも守ろうとするでしょう。


「……そんなことになれば、天界戦争が起きますね……」


しかし、権能のことを話せば、やはり悪意による覚醒を促す手段に反発するでしょう。


反対を押し切ってトリエルの元へ駆けつけ、滅茶苦茶になることは目に見えてました。


「……ここに来て……身内に敵がいるとは……」

「何か言いましたか?」

「……いいえ」


…………


しばらく沈黙が続き、

ウリエル様は

「こうなれば……最後の手段を使うしかないようですね……」

そう心の中で呟きます。


…………


ズビシィ!!


「あーーーーー!!!! 

あんなところにトリエルがーーーーー!!!!」(ヤケクソアニメ声)


「え!? どこどこ!? どこですかー!?」

「ほらほら、あそこですよ!! あそこ!!」


「え!? ま、待ってください!! トリエルー!! ママですよー!!」


そう言ってガブリエル様はどこかに飛んで行きました……


「……これでいつまで時間が稼げるか……」

ウリエル様ははあ……と特大のため息を吐くのでした。


「……胃薬……胃薬はどこですか」


――――


ぶうーーーーーー!!!!


特大のぷーであなたは目を覚まします。

目を覚ますとタンタがお尻をスリスリしています。


「……おのれぇ!!」

あなたは飛び起きますが、そこにピピののアッチが!


「イヤンスケベー!!」


スコーン!! と特大ビンタ! あなたはバターン!!

ポンポが最後にあなたの顔をぺちぺちと叩きます。


「……いまに……見てろ……圧倒的大勝利で皆成仏(完膚なきまでに滅ぼ)してくれる……」


あなたは何度目か分からない誓いを立てるのでした。



「またやってるー」とここでトリエルが鼻をつまんでトコトコと歩いてきます。


すり寄ってくるポンポをトリエルはぽーいと投げると、ポンポは跳弾となって再度頭にスコーン!!


……ぷす。


どうやらガス切れのようです。


「……チッ」

「チッじゃねーわ!!!!」


「はいはい。そこまでにして、今日はちまきを作りましたよ」

そう言うと、奥のチッキンからピピが大皿を持って歩いてきます。


その手には大きなちまきがゴロゴロありますね。


「ちまき……?」


ピピが普段作らない料理に、あなたは疑問を覚えます。

ピピは家庭料理全般を作りますが、基本一般的な家庭料理がメインです。


昨日は肉じゃがで、一昨日はコロッケでした。

ちなみに全てあなたの好物で、基本彼女のレパートリーはあなたの好物です。


「今日は何の日かご存知ですか?」とピピはあなたに優しく問いかけます。

ふとカレンダーを見ると5月5日…


「ああ……こどもの日か」

「正解です」


ピピはそう言うとちまきを一つ取ってそに紐を解くと……


「はい、あーーん……」と甘い声でちまきをあなたの口へ運びます。


「あ、あーーん……」

もぐもぐ……


「美味しい?」

「う、うん……」


そう言うとピピはにこりと微笑み、うっとりした表情であなたを見つめます。


一方トリエルはというと……


むしゃごく! むしゃごく! むしゃごく! と相変わらずの爆速食い。

もっと味わいましょうね……


「|ふぇーふぇー、ふぉどもにょひってにゃあにい《ねーねー こどもの日ってなあに》?」

「食うか喋るかどっちかにせい!!」


「鯉のぼりをあげたり、鎧兜を飾ったりして、男子の成長を願う行事ですよ」

ピピはそっと教えるのですが……


「へー!! 面白そー!!」

あ、この流れはアレですよ……不味いですよー。


「ふ……毎度毎度トリエルに振り回さえる俺ではないわ。

見よ!! この部屋を!!


鯉のぼりもなければ鎧兜もない! 完璧じゃあ!!


ふっ! さあ……祝えるもんなら祝ってみい!! トリエルゥー!!!」


あなたがそう言って勝利を確信(フラグ立て)をした時です。


「うん! いいよー! 待っててね!」

トリエルはニッコニコでシルクハットをぽーーい!


天使の輪(ハロー)が出現して

「Hello」とダジャレを。

そして彼女の瞳は茶色ではなく、赤く光ってます。



ゴゴゴゴゴゴゴ……



「あ……終わった」


あなたはそう思い、ゴクリと唾をのみます。


…………


しかし辺りはしん……と静まり返り、何も起きません。

今回は不発か…?

といった表情でピピもあなたを不安そうな目で眺めております。


部屋の中ではおばけ達がぷかぷかと浮かび、それぞれ呑気に遊んでおります。

いつもの日常です。


「……ふ………ふはははははは!!

勝った!! 勝ったぞ!! 今回は不発じゃあ!!

ははははは!! 勝ったぞー!!」


……と、その時です。


ドドドドドドド……という重い音が外から鳴り響いてきます。

例えるならばそれは大勢の人間が一斉に移動する時のような、そんな音です。


ブオウーーー!!

ブオウーーー!!


ここでほら貝も鳴りました。


「あ………」


あなたが外を眺めた時です。


「殿ーーーーーー!!! 殿は何処じゃあああ!!!?」

「殿ーーーーーー!!!!」

「探せーーーーい!!! 殿を探せーーーい!!!」


と大勢の鎧武者が「誰か」を探しています。


「鎧兜ってそっちかーーーーーーーい!!!!!」


あなたがツッコミをつい癖入れると

後ろからアンポンタンがスコーーーーーーン!!! 

とあなたをハンマーで強打!!


あなたは窓ガラスをガシャーンと割ってピューーーーーーー!


「殿じゃあ!!!! 殿がおったぞーーー!!!!」

「殿ーーーーー!!!!」

と鎧武者たちがあなたを囲みます。


「ええい!! 寄るな寄るな!!」

「皆の者! 殿はお疲れの為に少々ご乱心じゃ! 安心してさしあげい!」


ははー……と部下(?)があなたをヒョイと担ぐと空中へぽーーーーい!!


「殿ーーー!!! 高い高いですぞーーーー!! 楽しゅうございますなあ!!」

あなたは屋根よりたかーーーーーーーく飛ばされまーす!

「高すぎるわーーーーー!!!! アホンダラー!!!!」


ピューーー!! ボスン……!!!


「高い高ーい!!」


ピューーー!! ボスン……!!


「お……おえ……」

「殿!? ご気分が優れませぬか!? 薬じゃあ!! 薬を持ってまいれい!!」


「鯉を呼べーーーーい!!!!」


ブオウーーーブオウーーー!!!


すると上空から大きなのぼりが!

「さあ! 殿! 鯉は万病に効く薬ですぞ!! お食べくだされ!」

「食えるか!!!!」

「むむ……不覚……確かに、このままではいけませぬな……しからば」


……


「皆の者ー!! 殿を楽しませるのじゃああああ!! 合身じゃあー!!」

「おーーー!! 戦国合身!!!」


えいえいえおー!!! という勝どきがあがり、

すると鎧武者達は次々と集まっていき、大きな鎧武者ロボットに……

「戦国合神猛将軍」となったのです。

なお、宇宙適応はBです。


「なんでやねーん!!」ナイスツッコミです。


ズシーン……ズシーン……ズシーン……ズシーン。


巨大五月人形・猛将軍はあなたを内部へと入れ、

町を軽く踏みつけながら、ゆっくり歩いていきます。


「ふははははは!! どうですか!! 殿!! 楽しゅうございましょう!!」


あなたは踏まれる町を見なかったことにして……

「もういい」と諦めモード。


その時です。


前方より漆黒のオーラを纏うハエの大群が出現し、

巨大五月人形・猛将軍を黒い玉で攻撃しはじめます。


ドシュウウン!! という鈍い音を立て、猛将軍は一瞬怯みますが……


「敵襲じゃああ!!! 戦じゃああああ!!!」


とやる気十分!ここでトリエルも「面白そー!」と参戦。

その目は一瞬だけ、微かに茶色に光っていました。


「戦国ソード!!」トリエルがそう叫ぶと、猛将軍は腰に下げた刀を抜き、

それは光に剣へとその姿を変えます。


ブォウン!


勢いよくそれは振り下ろされますが、相手は巨大とはいえハエ、そんなものは当たらず、

反撃が強まります。


「おのれい……ならば、戦国バズーカじゃああああああ!!!」


猛将軍は空中へ飛び、

「スペースナンバーワーン!」叫び、手を掲げます。


すると、巨大鯉のぼりが次々と合体し、一つの巨大な大砲へとその姿を変えていきます。


「戦国エネルギーチャージ!!!」


キュピピピピピピピ………と巨大鯉のぼり大砲

「戦国バズーカ」から光の粒子が溜まっていきます。


「ちょ……待て待て待て待て!!! それはまずい!!」

あなたは内部で叫びますが、後の祭り……


「戦国エネルギー臨界!! 戦国バズーカじゃああああああ!!!!!」



ズドドドドドーーーーン!!!


…………


ハエの大群は超極大のレーザー砲で消滅しましたが、ついでに日本も吹っ飛びました……

宇宙では大気圏を突破した青い一筋の光が観測されたとか……


「巨大ロボットって楽しいね!!!」

「ふざけんなーーーー!!!」


…………


その日、日本は滅亡しました。

直後、ウリエル様がその権能で再生させましたが、

このことは日本中が滅ぶ夢を同時に見たと、連日連夜世界中でニュースになりました。


――――


「胃が……胃薬……胃薬……」

ウリエル様、お疲れ様です。


…………


「あれがトリエルか」

自らの眷属(けんぞく)、それを一瞬で消し飛ばすその様子を、

一匹の大きなハエ……

魔界の王、ベルゼブブが見ておりました。


「あの権能……ミカエルと同等……いや……あるいは、それ以上か。

ふむ……もう少し、観察が必要だな」


そう言うとベルゼブブは去っていきました。


――――


「トリエルーー! トリエルはどこですかーー?? ママはここですよー?」

ああ…ガブリエル様はまだトリエルを探していたのですね。


ガブリエル様は山の廃墟の方へ行くと、そこでトリエルを捜索。


ハローを出しっぱなしだったことで、繁栄の権能が次々と発動し、廃墟が修復されかつての姿に。


いつの間にか小さな天使が居着いて、なんか商売をはじめちゃったとか……


その後、その山はなんか知らんけど、滅茶苦茶凄いパワースポットとしてネットで大バズりして、

一躍観光スポットになったとか、なんとか……



――――



次回!


「ガブリエルママ現る!」


次回はついに(バカママ)ガブリエル様が…...


上手い替え歌が思いつきませんでした。

難易度が高かったです。

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