悪夢の再開 9
そんなミトラとトーゼツの会話にアナーヒターは真面目な話で割って入る。
「それよりも、どうしてここにトーゼツが?それに、固有魔術?トーゼツは固有技能持ちだったのか?一体、何がどうなっているんだ?」
食い気味に突っかかってくるアナーヒターにトーゼツは少し後ろへ下がっていく。
「ちょちょ、そんなに一気に質問するなよ!俺の口は一個だけだ!質問は一個ずつ──」
そのような話し合いをしている最中にゴゴゴッ!と世界が揺らぎ始める。三人は予想していなかった揺れにぐらり、と態勢が崩れそうになる。
また何処かで何かが起こっている。
そう、今はまだ戦争中。落ち着ける時間ではない。何処かで誰かが殺し合いをしている最中。
「……やっぱり詳しい話はあとだ。今はこの戦争を終わらせよう。簡潔に重要な事だけ言う。サルワがこの戦争に乱入する可能性があるという事から、本部から討伐依頼を受けて来たんだ。だが、先ほどきたばっかだし、状況はよく理解していない」
アナーヒターもまた、トーゼツ同様にこの戦争状況を簡潔に述べ始める。
「なるほど。こっちの状況は……まぁ、来る時にみたと思うが、大規模進行を開始してメイガス・ユニオン本部を制圧中だ。シャルチフ会長を見つけて捉えれば戦争は実質終わるのだが、何処にいるか、分からない。ので、手分けして捜索中という感じだ」
「なるほど。んじゃあ、このまま集まって捜索するよりも手分けした方が良いか?」
効率だけを考えるのであればトーゼツの言う通りだ。しかし、このメイガス・ユニオン本部はまさに敵地のど真ん中。そこら辺の雑兵程度なら簡単に倒せる。が、ラツィエルのようにダイモンであれば、そう簡単に倒すことは出来ない。
「いいや、一緒に動いた方が私は良いと思う。常に状況は変化し続けているわけだし、私たちだって分からない事もある。それに状況はともかく、相手の士気が高まってきている。油断は出来ない」
そのミトラの意見に、アナーヒターも頷き、賛同する。
「そうだな、そっちの方が良いだろう。それに、一番気になるのは──」
この次のアナーヒターの言葉にトーゼツは自身の耳を疑った。
「アナト・サンキライの討伐に成功したって宣言だよな」
……嘘だろ?
今、ミトラは一体、何を言ったんだ。
アナト・サンキライの討伐……?
気づいた時には、トーゼツはミトラの肩を掴み、問いただしていた。ミトラもまた、突然のことで驚き、困惑する。それ以上に、食ってかかるような強い態度に恐怖すら感じていた。
「どう言う事だ!あの……アナトが、姉貴がッ!討伐されたって……!」
自分の口から出ているにも関わらず、それはまるで幻や嘘のように軽く、受け入れられない。信じがたい事であった。ありえない話だ。あってはならない話なのだ、それは──




