悪夢の再開 7
ラツィエルはさらに集めたエネルギーを圧縮、より鋭く、細く、強い力で放ち、威力を上げていく。
「諦めなさい!アナタたちはもう負けも同然なのですよ……!」
しかし、ミトラとアナーヒターの意思は揺らがない。
確かに、圧倒的不利なのは二人の方。
負けるのかもしれない。
そうかもしれない。
だけど、もしもこの場に立っているのがトーゼツだったら?
彼が戦っているのであれば?
そう、諦めるわけがない。
そして、神々から見放されて職を持たないというのにも関わらず、彼は戦況を逆転させてきた。誰かにバカにされようとも、笑われようとも、自分を信じてきた。
その姿を隣で、すぐそばで、戦友として、尊敬する冒険者として……二人は見てきた。
だから、諦めない!
「「諦めてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
二人は自身を鼓舞するように叫ぶ。
その時だった──
「そうだよなぁ、諦められないよなぁ!!」
その聞き馴染みのある声と共に、パリンッ!と空間を割って入ってきたのはまさに……。
「なんだか久しぶりだな、二人とも」
ミトラとアナーヒターが思い浮かべていた少年、トーゼツ・サンキライであった。
「と、とと、トーゼツ!?どうしてここに?」
アナーヒターはひどく困惑しながらも、その顔はとても嬉しそうな表情であった。
「説明はあとだ、魔術展開を維持し続けろ。俺も力を貸すから」
そうしてトーゼツは術を展開しているアナーヒターの肩に手を置き、魔力を流し込み始める。
「あの男はなんだ?一体、どうやって私の世界に外部から侵入してきた?」
新たに出てきたトーゼツにラツィエルは驚いていた。
ラツィエルが作り出したこの世界は心象風景を元に生み出す物理世界とは隔離された異世界のようなものだ。ここへ侵入するためには時間、空間を超えてくる必要がある。
一体どうやって……?
……そうか。
(今、私の放っている力は、私が生み出したこの世界を再び私の魔力に戻して放つ技。それ故に空間に多少の綻びが生まれた。そこを偶然に見つけて割って入ってきたのがあの少年ということか……)
だが、それがどうした?
一人、紛れ込んできた程度でこの状況が覆せるわけがない。
「ははははははっ、どんな外部要因があれど、状況は変わらないぞ!!」
ラツィエルの自身もまた、彼女たちのように揺らぐ事はなかった。
しかし──
「固有魔術〈不屈の域〉」
トーゼツは地面に魔法陣を展開。詠唱後にミトラとアナーヒターの肉体があっという間に治癒していき、また失いかけていた魔力すら戻っていく。そのおかげで破損していた絶大魔術〈リベリオン〉もまた修復していく。いいや、展開開始時点よりもさらに強固に、強い力でラツィエルの一撃を押し戻していく。




