悪夢の再開 6
「最初からこうすれば良かったんだ!私が生み出したこの空間をエネルギーに変換し、放てば簡単に終わった話だったんだ!あぁ、これが私の究極の一撃!」
人というのは困難な壁を前にした時が成長するタイミングだと聞いていたが、まさにその通りだったようだ。今、ラツィエルの脳に、体全体へと広がるこの感覚は、高揚感は自身が大きく成長しているから感じるものなのだ。
今までの自分を越えようとしているからだ!
普通の思考をしているのであれば、これほどの力を見て心が挫けていてもおかしくはない。だが、ミトラとアナーヒターはラツィエルの神の如き力を目の当たりにしても諦めることはなかった。
それぞれの武器を持って、挑もうとする。
その滑稽な姿に思わずラツィエルは「はははははッ!」と笑う。
「分かるでしょう!アナタたちでは私に敵わない!もう勝てないんですよ。私はまた一歩、成長しました。いずれはあのアナトすら超えていくでしょう!あなた方には感謝します、ありがとう。そして、さようなら」
その言葉と共に、ラツィエルは自分が取り込んだ力全てを右手の人差し指から放出する。
「アナーヒター、分かっているとは思うけど、あれはラツィエルの力全てを放つ一撃。凄まじいけど、逆に言えばこれで奴の力は尽きる。乗り越えさせすれば……!」
そう言って、彼女は右手を差し出す。その意図を汲み取ったアナーヒターはその手を掴み、魔法陣を展開する。
「それじゃあ、ありがたく残った魔力、全部使わせてもらうよ!絶大魔術〈リベリオン〉!〉」
詠唱と共にアナーヒターを中心にドーム型のバリアが展開。その直後、ラツィエルの一撃が二人に襲いかかる。
「「ッッ!!」」
絶大魔術〈リベリオン〉は受けた力を跳ね返す能力を持った防御魔術だ。しかし、跳ね返した力をさらに超えた力で飲み込み、こちらに強い熱量、衝撃を与えていく。
ミトラの魔力を借りてもなお、足りないと感じるほどに魔力を持っていかれる。この状況があと一分以上続けば、二人の魔力は空になり、〈リベリオン〉は強制解除。それで勝負は終わってしまうだろう。
「耐えますねぇ、じゃあもっと火力ぶち上げていきますよ!!」
その言葉と共に、ラツィエルの放つ攻撃の威力が増していく。
絶大魔術〈リベリオン〉ですら耐えきれない威力で、バリアの一部が破損する。そこから漏れ出るエネルギーは二人の皮膚を焼け焦がし、肉を真っ黒にしていく。だが、膝が折れることはない。その瞳に諦めの意思が宿ることはない。
二人は心の底から自分たちを信じていた。
この勝負、諦めなければ負ける事はない、と!
(予想以上に耐えますね。あれほどしか残っていない魔力量でどうやって……?どれだけ魔力効率を引き上げたとしても絶大級の術ですよ?現代の魔術理論では説明不可能、不可解すぎる!!)
自分が勝っている。そう、有利な立場にいるのは自分だ。
なのに……なんだろうか。
この感じる嫌な感覚は──




