↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖なる骨  作者: 骨素子 陽晶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/31

第7話 骨、街に行く

 夜空にあって遍く地上を照らしているお月様を俺はただ眺めていた。ずっと空を見続けている俺を見てエメラは


 「ああ、そういえば今日は満月でしたか。どちらも奇麗ですねぇ」 と俺がお月様に見惚れていると勘違いされた。

 いやね、間違っちゃいませんよ。確かに奇麗だなと、見惚れていましたよ。でも本題はそっちじゃないんだよ。二つありますね、大きいのと小さいのと。そりゃね、魔法があったり物理法則ガン無視の骨が動いたりしてるからね、地球じゃないんだろうなぁとは思ってましたよ。それでもやはり決定的な物を見せつけられたら動揺の一つもしますよ。まぁ今更ーって感じではあるんだが。


 「・・・月がふたつあるね」


 「そりゃありますよ。ってまさかクレストさん、それも忘れているんですか?」


 「ええと、まぁ、はい」


 「それは大変ですね。あれは姉妹月といってですね、月には女神がいると言い伝えられていて大きい方をライラ、小さい方をアリアと呼び我々地上の民を見守ってくれているといわれています」


 ほーん、それは素敵な話だな。かぐや姫みたいなもんか。しかしあれだね、地球とは違うってわかっても月を見る心は異世界人も地球人も同じってのは、なんかこう優しい気持ちになるもんだな。


 「では、クレストさん行きましょう。ここは、魔の森とは言ってもはずれの方なので高ランクの魔物は出てきませんが、絶対ではありません。注意してください」


 「アイアイ、了解。これから俺たちはえっと、なんだっけ?何とかって街に向かうんだよね」


 「ベルガイアです。メルヴィス王国のベルガイア辺境拍領の領都です。この辺りでは一番栄えていますよ」


 「そうそれ。辺境拍領ってことは国の外れってこと?」


 「そうですね。元々は魔の森防衛を担っていたベルガイア子爵家がその功績で辺境伯に陞爵されたのが辺境伯領の起こりですね。魔の森は、スタンピードが起こりやすくて過去にも何度か魔物の大軍勢が侵攻してきた歴史があります」


 「スタンピードって、ダンジョンだけじゃないの?」


 「広義の意味では、魔の森もダンジョンではないかと考察されています。魔の森は奥に行くほどマナの密度が高く高濃度のマナに晒された魔物はより活性化し狂暴になるといわれています。放置しすぎると魔物の数が増えいずれ溢れだします。それがスタンピードといわれる現象ですね。」


 「うへー、そんなもんの近くに街があってベルガイアは大丈夫なのかよ?」


 「そのために冒険者ギルドと辺境騎士団で定期的に魔の森の魔物を間引くのが義務付けられています。おかげで近年は平和でスタンピードは起きていませんよ」


 「おお、それは安心だ」

 やっぱあるのか。冒険者ギルド。俺も登録した方がいいよな。なにしろ今の俺は身分証も何もない不審人骨だからな。

 「それで、ベルガイアまではどのくらいかかるんだ?」


 「ここから歩いて二日ほどの距離ですね」


 「おおう、結構遠いんだな」


 「魔の森の危険域を迂回しなければいけませんから、直線距離ならもっと近いんですがまっすぐ行くのはとても面倒なんです」


 「面倒?」


 「・・・いえ、言い間違えました。とても危険なんです」


 なんだろう、なんか引っかかる言い方だな。この先に何かあるんだろうか•••


 「そうなの?魔の森ってもしかして思ったより危ない場所?」


 「そうですね、魔の森は広大でメルヴィス王国の半分ほどの広さがあるといわれています。浅層、中層、深層、深奥と四つに区分分けされています。奥に行くほどマナの濃度が上がり魔物の危険度は跳ね上がっていきます。冒険者が間引く魔物は浅層、中層が中心って感じです」


 「ふむふむ、でも深層と深奥の魔物をほったらかしといていいの?放置するとスタンピードが起こるんでしょ?」


 「高ランクの魔物ほどマナの薄い場所にはいきたがらないようです。学者によると居心地がわるいのだろうと」


 「おーう、なるほどねぇ」


 「それと単純に深層と深奥は魔物が強すぎて手に負えないというのが実情ですね。ゴールドやミスリル以上でないと普通に死にます」


 「お、おう、なるほど」


 おいおい、名前の響きから嫌な予感はしてたけどこの辺って人外魔境じゃないだろうな。初心者がスタートする場所じゃないんじゃ・・・


 「ちなみに骨の洞窟は魔の森でいうと?」


 「浅層と中層の間くらいですね。街までまっすぐ行くと中層に入ってしまうので迂回する必要があるんですよ」


 なるほどねぇ、それは確かに迂回必須だわ。


 「大丈夫ですよ、ちゃんと迂回ルートにしたがっていけば安全ですから・・・・・・多分」


 うん、不安




 と思っていた時期が俺にもありました。あれフラグじゃねって。でも何事もなく無事に街のそばまでたどり着けました。ビビりの俺は獣の遠吠えや怪しい気配を感じた気がしたら、エメラに訴えて余計迂回して二日の所が三日掛かった点を除けばですが。いやあんな話を聞けばそりゃ警戒もしますよ。だって魔の森にいるんだぜ。あの魔の森だぜ。浅層だって絶対安全じゃないみたいだし、夜ウオォォォォン!とか聞こえてくるんだぜ。超怖ぇよ、魔の森。


 「ようやく見えてきました。あれがベルガイアです」


 道の先にでっかい壁が並んでる。壁の外にもちらほら建物が立ち並び、田んぼや畑があり牧歌的な風景だ。街の外には麦畑だろうか、あたり一面広大な畑が広がっている。あっちのあれは何の作物かな、緑の葉っぱがニョキッと出ている。そういえば今何月くらいなんだろうな。街の防壁なんだろうが、街までまだかなりの距離があるのにでかくて街の全容がわかりにくい。ここからわかるのは、中心向かって坂になっていて中央にある城、多分あれが領主城なんだろうがそびえたってる感じだ。しかし大きな町だ。領都っていってたから辺境伯領の首都って感じなんだろうが、ここが王都っていわれても普通に信じると思う。なんか不安になってきたな。こんな怪しい骨が本当にこの街にはいれるんだろうか?入り口で切り捨てられても不思議じゃないぞこれ。っていうかそっちの方が普通じゃね?


 「なぁ、俺本当に街に入れるの?門番のひとに切捨て御免されたりしない?」


 「大丈夫ですよ。骨人族の権利は保証されていますから。そんな理不尽なことされたりしません」


 「でもさぁ、さっきから道行く人がチラチラこっちみてない?」


 そうなのだ、街に近づくにつれ往来する人々が増えてきているのだが、みんなすれ違う度に俺を見ているのだ。チラチラなんて控えめな発言をしたが、普通にガン見されている。中には家族だろう集団の子供がこっちを指さして叫んでいる。親御さんがやめなさいってとめてたけど、おいガキ!人を指さしちゃいけません。


 「骨人族は珍しいですからね。みんな見てしまうのでしょう」


 「そっか珍しいだけか。じゃあ大丈夫かな」


 「ええ、大丈夫です」


 心配のしすぎだったか。小説では普通スケルトンは街に入れないもんな。でもまぁ現実と小説はちがうわな。考えすぎだったわ。






 「怪しい骨め!動くな」 「なんて怪しい骨だ!」 「全員で囲め!絶対に逃がすなよ!」


 なんて思っていた俺がバカでした。





 安心しきって門に近づいたとたん


 「エメラちゃん!」


 「あ、トーマスさん。ただいま戻り・・・」


 「帰りが遅いから心配してたんだよ!本当に良か・・・君は・・・スケルトン!?魔物だ!!みんな魔物の襲撃だ!!」


 「え!?あの、トーマスさん違います彼は魔物じゃ・・・」


 「どうした?トーマス、またなんかやらかしたのか?スケルトンだと!?お前ら集まれ魔物が市民を人質にとって暴れている!!」


 「待ってください!彼は、キャッ!」


 「危ないから早くこっちに!」


 あっという間にエメラと引き離され状況もわからぬまま囲まれてしまった。おーい、これ結構なピンチじゃね?やべぇよどうしよう。そうだよ、エメラの時も会話で切り抜けたんじゃん。意思疎通のできる存在だと分かれば矛を収めてくれるに違いない。


 「待ってくれ、俺は魔物じゃなくて骨人・・・」


 「しゃべった!まずいぞ話のできる魔物は高位の魔族だ!最低でもリッチ級だぞ!!まずいなこれは、ここにいるメンバーじゃ太刀打ちできない。だれか隊長を呼んで来い!」


 「くそ!なんて禍々しい魔族だ!俺は今日ここで死ぬかもしれん」


 「そうだな。ちくしょう!俺もうすぐ子供が生まれるのに、もう名前も決めてあるのに。すまないハンナ。ああ、ライアン一目お前に会いたかったよ」


 「ここまでか。ちきしょう、俺も結婚したかったな」


 状況が悪化した。意思疎通できたら大丈夫なんじゃなかったの?魔族ってなんだよ!?そんなやべー奴がいんのなら教えといてくれよ!マジでどうしよう・・・


 「落ち着けお前ら、俺たちの仕事はなんだ!?」


 「!そうだ、俺たちの仕事は門番」


 「街を守るのが仕事だ!」


 「そうだ。俺たちが死ねば街は蹂躙され、市民が犠牲になる」


 「「「!!」」」


 「その市民のなかに俺たちの家族がいるんだぞ!」


 「母ちゃん!」 「ハンナ、ライアン!」 「飲み屋のエリザベスちゃん!」


 「そうだ!俺たちは負けてはならない、負けるわけにはいかないんだ!」


 やばい、なんか悲壮な決意を固め始めた。最後の奴は少し微妙だがそれでも大事な人なのだろう。このままでは止まれないところまできてしまう。周りの市民も固唾をのんで俺たちの動向を見守っている。どうすればいいんだ。兵隊や市民を傷つけるわけにもいかない。逃げるか?いやいそもそも俺悪くないよな?ただ街に入ろうとしただけなんだから。それをこいつらが勝手に勘違いして勝手に決意して勝手に盛り上がってるんだから。そう考えたらなんか腹立ってきたな。一発ずつくらいぶん殴っても許されるんじゃないだろうか。よし逃げる前に一人ずつ殴って逃げよう。俺がそんな決意を固めたときに



 「止めろお前ら!」


 門のむこうから一人の男がやってきた。あ、脇にエメラがいる。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。もし面白いと感じていただけたら、差し支えない範囲でブクマ、感想、評価をしていただけたら嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。