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聖なる骨  作者: 骨素子 陽晶


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第4話 骨、出会う

 水辺での死闘からもう何日くらいたったのか。俺は洞窟を当てもなくさまよっていた。その間いろんな魔物に遭遇し、そして撃退することに成功してきた。ネズミ型にウサギ型やシカ型、クマ型が出てきたときは死を覚悟した。それらをからくも倒し奴らの魔力を吸収してここまでやってきたんだぜ!

 うん、でもね結構いっぱい魔物が出てきたんだけどなんでみんなスケルトンなんだよ!骨しかでてこないんですけど。水はわりと湖やら湧き水やらでなんとかなるんだけど。でてくる奴らは骨、ホネ、HONE!ばっかり。

 これ生身の人間だったら身が持たないぞ。なんも食うもんねぇし。いや俺だって飢餓感は半端ないのよ。でも魔力を吸収して水飲んでりゃ何とかごまかせるんだよなぁ。まぁそれもいつまでもつか。

 しかし魔力を吸収する度にちょっとずつ力は強くなってる気がする。相変わらずその時のコンディションってか気合ってか、力にムラっけはあるんだけど安定感は結構あがってるんだよな。でなきゃいくら相手は骨でこっちは剣をもってるとはいえクマには勝てないでしょ。いや初エンカウント時はマジでふるえあがったよ。骨だからスカスカだろって?とんでもない超でかいし牙とかギラッギラで眼球ないのにこっちを明らかににらんできたのがわかったし。あと突進で壁に穴開けてめり込んでたし。俺は壁に傷もつけられなかったのに。

 でも、壁にめり込んで出るのにてこずってくれたおかげでギリ倒せたんだけど。いやーあの時は本当に運がよかった。初戦闘の時もだけど俺って割とリアルラック高いのかもしれない。......うん本当に運がいい奴はこんなところで骨に囲まれてサバイバルなんてしてない。

 

 うーん、本当に広い洞窟だな。一応勾配があるときはのぼってるほうを選んで進んできたんだけど。いやまぁね、地下とかだったら地上を目指すみたいなイメージで。まぁもう一つ理由があって、一度下りの道の先も様子を見ておこうかと思って進んでみたらとんでもない広さの広場にありえない大きさの恐竜型の骨がいたんだよ。ティラノサウルスみたいな。偶然うなり声のようなものに気づいて慎重に壁越しにちらっと見たらいらっしゃったんだよ。かなり遠い距離なのにとんでもない威圧感だったよ。もう見た瞬間にわかったね。生物(骨だけど)の本能が教えてくれたね。あれはあかんって。それからは何となく下りの道は敬遠するようになってしまった。

 

 しかしマジで骨しかでないな。今も向かってきたウサギ型の骨を軽く砕いてしっかし魔力を吸収。このくらいの奴には苦戦しなくなってきたな。でもクマは無理だな。壁ドンの幸運に助けられたけどあれに出会ったら逃げ一択だわ、少なくとも今は。まぁ焦ることはないだろう。目覚めたばかりの俺はいわばレベル1だ。つまりアリ〇ハン周辺で雑魚狩りをしてレベルアップを目指すべきなのだ。俺はRPGでも十分に準備してから挑むタイプだからな。今の状態ではバ〇モスはもちろんカン〇タ親分にも勝てまい。せめて次の大陸に渡る前にもう少しレベルを上げるべきだろう。もうちょっとレベルアップしたらクマにも勝てるだろうか。やはり強敵のほうが魔力の吸収率が高い。クマが一番多かったからな。しかし不思議なのが最初に戦った人型、あれの吸収力がネズミ型と同じかそれ以下だった気がするんだよね。初めての吸収に舞い上がったのか、他の奴らと比べたら明らかに少なかったけど、人型がネズミ型と同格ってのは絶対ありえないと思うんだけど。だってネズミ型って超雑魚だし。なんでだろ?

 それ以外ではやはり大きくなるほどに基本的には強くて魔力も豊富だったな。ネズミ、ウサギ、シカ、クマって感じで。例外は一度出てきた頭に角の生えたウサギ型スケルトン。あれはシカより強かった。いきなりとんでもないスピードで体当たりしてきてマジビビった。よけそこねて左腕ちぎれかけたからな。何とか倒して吸収したプランプランの腕が治ってめちゃくちゃホッとした。

 そんなこんなで、エンカウントする骨を倒しつつ彷徨うことさらに二日、激闘の末頭に角付きのシカを倒し、奴から魔力を吸収したときにそれは起こった。いつもなら軽い満足感と僅かな熱を帯びる程度だが今までにないほどの熱を感じまともに立ってられないほどのめまいを感じた。体中が熱く自分の体が内部から破壊されているかのような痛みを味わい膝をついてしまった。このまま死んでしまうんだろうかと危機感を抱いて意識を手放した。気が付くと痛みと熱が収まってきてその後に今までに感じたことがないほどの充足感を感じた。今までの自分じゃないような体全体が0から作り替えられたような感覚だ。

 あらためて自分を見返してみたが見た目は変わりがない。しかし、直感的にわかってしまった。今までのレベルアップとは根本的に違う何かが今俺の身に起きた。試しに魔力を解いて壁を蹴ってみた。

 おお!全く痛くない!?実は目覚めて二日目くらいに突き出した岩に足の小指を軽くかすったんだよ。したらなんと指が折れたんだよな!いくらなんでも脆すぎませんかねって思いましたよ!それからは常時魔力を解かないように気を付けていたよ。だとしても生身の時代でもあんな衝撃くらいでいくらなんでも折れなかったよ。あまり考えたくなかったけど、俺って基本性能だいぶ低いんじゃないかって思ってしまった。魔力でカバーしてるけどそれがなけりゃ雑魚なんじゃないかって。

 しかしもう大丈夫!魔力を纏わなくても小指をケガしないぜ。これでようやく前世の俺の骨強度に追いついたんじゃないかしら。あんだけ戦ってようやく並ってどんだけ弱かったんだ俺。


 小指の悩みを解決してさらに二日俺はいまだ洞窟の中を彷徨っていた。あの一件の後の俺は今までとは段違いに強くなっていた、なんとクマに勝てたのである。まぁかなり辛勝ではあったが、勝ちは勝ちだ。今までの経験からおそらく角付きのクマにはまだまだかなわないと思われる。一度遠目に見たが威圧感が段違いだったので挑戦するのを避けたのだ。ビビりかと思われるかもしれないが、この直感は今後も大事にしていきたいと思う。クマは手ごわいが今の俺なら角付きのシカくらいなら余裕だろう。油断はできないが、臆せずすすもう。そういえばあれから人型にも何度か遭遇したがあいつらは個体によって強さがかなり違った。もしかしたら生前の強さが関わっているのだろうか。だとしたら俺って生前超弱かったてことになるんだけど。それって超へこむんだけど。い、いや、まだまだこれからだ。俺には伸びしろがある。いやむしろ伸びしろしかない。俺はできる子なのだ。


 さらに彷徨うこと二日、いやいやマジでもう出口どこよ。もう腹減って死にそうなんだけど!いや死んでるんだけど!!くそぅ、最近は水辺があまり見つからないので少しずつ飲みつないでいた水が尽きてしまった。果たして今の俺は飲まず食わずでどれくらい生きられるのだろうか。死んでるのに生きたがるこの矛盾。この矛盾がアンデッドを人を襲う衝動に駆り立てるのだろうか。...なんて哲学的ことを口走ってみた。......やばいな本格的にやばい段階に来てるかもしれん。このままじゃ死んでるのに逝きたがるにクラスチェンジするのも時間の問題だ。

 なんてのたまってたら、一体の人型に遭遇。ボーっとしてたのであやうく先手を取られるところだった。こいつ服装がちょっと豪華じゃね。いいところのボンボンか?


 サクッと撃破したがこいつは刺繍入りのなんか高そうな革袋を持っていやがった。開いてみるとなんと色とりどりの宝石ちゃんが入ってるじゃありませんか。うひょーこいつはツイてるぜ。アシがつかないように袋は捨てて中身だけいただこう。こいつ、いやこのスケルトン様には足を向けて寝られないな。両手で拝んでからグッバイ。

 

 ガチャン!キン!キン!


 合掌してるまさにその時、少し遠くで何か音がした。当然俺はその場所へ向かった。慎重にな。


 近づいていくたびに音が鮮明になっていく。「・・・ЖЦЮШ!」


 !何か言ってる!?明らかに誰かの話し声だ!!俺はその声が聞こえた瞬間走り出した。

 

 慎重に近づくなんてのは頭から吹き飛んでいた。これが人の話し声かもしれない。その可能性だけで俺は衝動的に走っていた。やはり長時間の洞窟行動で人に飢えていたのかもしれない。もう声がはっきり聞こえる距離まできている。なにかがぶつかるような音も。あの角のむこうだ!曲がり角を曲がって声の主を確認した。


 少女だ。年は10歳かもう少し上だろうか。かなり幼く見える。僧侶のような服を着て杖を持ち三体のスケルトンに襲われている!しかもみんな剣をもっていてそのうちの一体は頭に角がついている!?


 冷静に行動していればもっと余裕のある行動がとれたのだろう。だが俺は人の声に浮かれて彼らの前に飛び出してしまった。少女を助けたいが俺も見た目はスケルトン。敵だと思われないだろうか。だがもう少女と目が合ってしまった。ええい、ままよこのまま勢いでやってやる!そのまま走って向かっていくと少女の顔が絶望に染まる。おそらく敵が増えたと思ったんだろう。あいにくだがその絶望には答えてやれないぜ!


 曲がり角を走って曲がった勢いそのままに突進して突きを放ちスケルトンの一体の背骨を砕いて行動不能にした。魔力を吸収したいがそんな暇はない。そのまま回転して隣のスケルトンの頸椎を薙ぎ払い首を落とした。


 これで一対一だ。勢いのまま角付きに剣を振り下ろしたら相手の剣で防がれてしまった。うそだろ!?こっちは両手で振り下ろしたんだぞ。相手は片手で受け止めやがった。防いだ奴は隙ありとばかりに俺に襲い掛かってきた。とっさに横に転がってよけたが完全に運だ。なんて速さだ。こいつ、強い!


 あわてて起き上がり後ろに下がったが、ものすごい速さで距離を詰めてきた。クソッ!剣で受け止めるだけで精一杯だ。いや、受け止めきれてない。受けた端で体に当たっている。所々体が欠けていってしまっている。全く反撃できない。角付きの人型はこんなに強かったのか。間違いなくクマより強い。まずい殺されてしまう。


 その時何かか奴に当たり、体制を崩した。俺は無我夢中で剣を振り下ろしていた。渾身の力を込めて振り下ろした俺の剣は、奴の頭蓋骨に当たった。だが奴は全く動じない。これまでか。一瞬そう思った瞬間奴の頭は二つに割れ一間を置いて倒れた。

 

 そして奴が崩れ落ちた先に杖をこちらに向けた少女と目が合った。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。もし面白いと感じていただけたら、差し支えない範囲でブクマ、感想、評価をしていただけたら嬉しく思います。

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