表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

第十四話 私も、レイン様を選びます

 王太子アルベルトは俺を哀れむような目で見ていた。


「愚かな……」


「俺は自分の選択が誤っているとは思いません」


 俺はそうはっきりと言った。


「おまえの補助魔術を認めてやろうと言っているのだがな。王国の管理に従わないのであれば、あの術式は邪術とされても仕方あるまい」


 エリシアの魔法と同様に、俺の術式も理解ができないものだから危険というわけか。


 アルベルトがエリシアに視線を移す。


「エリシア・ブランシェ、おまえにも選ばせてやろう。王家と聖教会の監督のもと、矯正を受けるのならば、王都に留まることを許してもよい」


 エリシアが俺を見る。


「……エリシア様がお決めください」


 エリシアが頷く。普段なら狼狽えそうな彼女が、震えながらも、しっかり前を見据えていた。


「……辺境から来た私は、ずっと魔法をちゃんと扱うことができませんでした。王都で私を見てくれる人はいません。皆さんが見ていたのは、暴発や失敗ばかりでした」


 エリシアは言葉にしないが、辺境出身の平民というだけでも随分と傷つけられてきたのだろう。


「ですが、レイン様だけは私を怖がらずに見てくださったのです。私の魔法を、欠陥ではなく祈りだと言ってくださいました。そして、私に道を照らしてくださいました」


 彼女は俺に向けて微笑み、それからアルベルトに向き直った。


「私も、レイン様を選びます」


 エリシアははっきりとそう言った。


 アルベルトが一瞬目を見開き、冷たい笑みを浮かべた。

 隣の大司教グレゴールが無感動に言う。


「ならば、これ以上の温情を与える必要はございませんな」


 アルベルトは頷いた。


「王国の慈悲を拒んだ以上、二人を王都に留め置く理由はない」


 息を小さく吸い込み、アルベルトは宣言した。


「エリシア・ブランシェ、レイン・グレイヴ。両名に明朝までの王都退去を命じる」


 試験場がざわめいた。



 こうして、俺たちは王都を追われることになった。


 だが、不思議と後悔はなかった。

 俺はようやく、百年前に選べなかったものを選べたのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ