表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

第十三話 それでも、俺が支える聖女は、この方です

 俺は王太子アルベルトをまっすぐに見た。


「お断りします」


 俺がそう答えると、試験場の空気が凍りつく。


 アルベルトの眉が、わずかに動く。


 俺に迷いはなかった。


 リュシアの聖女補佐神官になり、王家と聖教会に従えば、俺の地位は万全なものになるだろう。

 だが、俺にそんな打算を微塵も許さないほど、エリシアは圧倒的だった。

 いや、それはエリシアの能力のためだけではない。俺の中に、エリシアを守りたい、という気持ちが強く芽生えていた。


「……そうか。二度とこの機会は与えられないが、よいのだな?」


「構いません」


 俺は即答した。


「いいだろう。ではリュシア・フェルミナの聖女補佐神官はカイル・ローデンとする」


「え? あ、はい」


 カイルが驚いた表情をしながら、前に出てくる。


「本当にいいのか、レイン?」


 カイルが気遣うように小声で話しかけてきた。


「俺は構わない」


 俺が抱いたのは、羨望でも嫉妬でもない。それはリュシアとカイルへの同情と不安だった。


 リュシアに特別な想いはない。だが、それでも同じ神学校の生徒だ。この王国で、実力が不足しているのにも関わらず、聖女になってしまった者の末路を俺は知っている。

 そしてカイルは親友だ。リュシアに従うことで、親友まで不幸な運命を辿るようなことにはなってほしくない。

 リュシアとカイルが、本当の意味での「第二のセラフィナ」、そして「第二のレイン・フェルナー」にならなければよいが。



 アルベルトの隣にいた大司教グレゴールが口を開く。


「殿下。規定外の聖女候補と、邪術疑惑のある補佐神官を王都に留め置くのは危険かと」


 アルベルトは頷く。


「エリシア・ブランシェ、およびレイン・グレイヴには王都からの退去を命じる」


 試験場がざわめいた。


「レイン様……私のせいで……」


 エリシアが震える声で言った。


「違う。これは、俺が選んだことだ」


 俺はまっすぐアルベルトを見返す。


「王都からの退去、承知しました。それでも俺は、エリシア様を選びます」


 王国が危険と呼ぼうと。

 聖教会が欠陥と呼ぼうと。

 誰も彼女を聖女と認めなくとも。


 俺は、エリシアの隣に立った。


「俺が支える聖女は、この方です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ