第12章 東の国の陰謀 暗殺者の災難⑤
「なぜ敵である私を助けた」
「敵だとか味方だとか決めつけたりするのは疲れませんか?」
「しかし、私はお前を殺そうとしたんだぞ」
「判っていますよ。でも僕は出来るだけ相手を殺したくない、ただそれだけの自己満足です。甘いですかね?」
「甘いな。またお前を襲うかも知れんぞ」
「いいですよ、あなたには貴方の立場もあるでしょう。一度の失敗で味方に殺されるようなこともないでしょうし」
シューリーはドキッとした。人知れず殺せを言われていたものを正面から堂々と襲って失敗したのだ、ラナンに処分されてしまうかも知れない。
ラナンがシューリーを粛正しようとしてもシューリーは余裕で逃げられるとは思っていたが本国に帰れなくなってしまうかも知れない。
シューリーとしては故郷に皇国一の魔道士になって錦を飾りたかったので本国に戻れないのは困るのだ。
「助けてくれて、このまま逃がしてもくれるのか?」
シューリーは少なくとも拘束されるとは思っていた。ズィーイ皇国の情報を拷問などで吐かされると覚悟していたのだ。
「だって僕だって今は居候の身なのにあなたを引き取る訳には行かないじゃないですか」
「引き取るっ、て匿うつもりだったのか?」
「いや、だから無理だと」
「事情が許せば、と言う意味だろうに」
「まあ、そういう事ではありますが」
「お人好しにも程があるぞ」
「そうですか?では、ひとつだけ頼みがあるんですが」
「なんだ」
「あなたたちの標的からリロン所長は外していただけませんか?」
「なんだ、お前たち二人が標的だと知っているのか」
「勿論です。標的は僕だけに留めて欲しいんですが、どうですか?」
「たしかにどちらかを、という指令だったが」
「では、問題ありませんね」




