第12章 東の国の陰謀 暗殺者の災難④
シューリーの火焔魔道は炎の塊を放つのではなく炎の鞭の様な魔道だった。それが波状攻撃の様に相手に届くのだ。
「反射」
ルークはほぼ無詠唱の反射魔道を放った。シューリーの魔道はそのまま術者へと向かう。
「なっ、なんだと」
普段であれば反射魔道については十分警戒している筈だった。特に弱い魔道は反射しても弱いだけだ。
相手が油断している時、更に相手の最大の魔道を反射することで精神的も含めて大打撃を与えることが出来る。
ルークはさらに加速魔道を追加していた。シューリーが放った魔道よりもかなり早く相手に戻るのだ。
「うっ、うわぁ」
シューリーが自ら放った魔道で炎に包まれる。
「たっ、助けてくれ」
シューリーは命乞いを始めた。渾身の魔道力を込めて放った火焔魔道の威力を自らの身で確かめることになった。
「いいよ」
ルークは簡単にシューリーが包まれていた炎を消してやった。魔道を消す魔道、最近ルークが一生懸命磨いている魔道の一つだった。
「ふぅ、助かった」
シューリーは煤だらけの顔で言った。服はほぼ燃えてしまっている。
「反射などと卑怯なまねをしおって」
「卑怯なまね、ですか。でもそれであなたは負けたんですよ?」
「あんな魔道でなければ私が勝っていた。みただろう私の最大の魔道を」
確かにシューリーの最大魔道は自慢してもいい強さを持っていた。
「確かに凄かったですね。でも、僕にあの程度の魔道が放てないと思いますか?」
「まさか、できるのか?」
「できますよ、やりませんけどね」
実際ルークには出来る。むしろもっと強い魔道を放つことも可能だった。数字持ちの魔道士には及びませんが、とルークなら言うだろう。
「いずれにしても助けてあげた恩は感じてくださいよ」




