第12章 東の国の陰謀 暗殺者の災難②
「魔道の腕を正々堂々と見せて殺す、それが私のやり方だ」
「自尊心が高いのですね。でもあなたの魔道を僕もリロン所長も気づけなかった。あなたは相当高位の魔道士であることは認めますよ」
「そうだ。お前なんかには負けない。私が最高位なのだ」
「あなたはズィーイ皇国で一番の魔道士なのですか?」
「そっ、そうだ。私が一番だ。私よりも強い魔道士なの存在しない」
自分でも信じていない言葉だ、とルークは思ったが口には出さない。
「そうなんですね。ではあなたに勝ったら僕はズィーイ皇国の魔道士ならだれにも負けなということになりますね」
ルークは態とシューリーを揶揄っている。
「ズィーイ皇国一の魔道士さん、あなたの名前を教えていただけますか?」
「名前か、いいだろう、私の名はシューリー、お前の言う通りズィーイ皇国第一の魔道士だ」
「シューリーさんですか。ただのシューリ―だけですか?」
「そうだ。お前たちの様に二つも名を持ってはいない。一流の魔道士の名はひとつなのだ」
確かにシューリーの言う通りシャロン公国でいう数字持ちの魔道士の名はひとつしかない。
例えばキスエルはただのキスエルだ。ただし「水のキスエル」という風にも呼ばれる。
「数字持ちの魔道士たちの名前は確かに一つだけですね。ただ二つ名を持っているのですが、シューリーさんにも二つ名があるのですか?」
「二つ名だと?」
「そうです。例えばシャロン公国の数字持ち魔道士序列第7位はドーバ老師なのですが、彼は『炎のドーバ』と呼ばれています。得意とする魔道の名を冠しているということです」
姿を現していないので表情は判らないがシューリーは動揺しているようだった。名は一つだが二つ名は持っていないのだ。
「そんなことはどうでもいいであろう。いずれにしてもお前を殺す魔道士の名はシューリー、それだけでよいのだ」
「そうですね。ああ、僕の名前はご存知ですよね。念のため言っておきますとルーク=ロジックと言います。あなたを倒す魔道士の名前です、覚えておいてくださいね」
ルークは完全にシューリーを煽っている。態と怒らせているのだ。
ルークは相手を侮っては居ない。相手を怒らせることで実力を出させないように仕向けているのだった。魔道には、特に強い魔道には集中力が必要だった。怒りは集中を乱させてしまうのだ。
「ふん。覚える必要などないわ、お前はここで死ぬのだからな」
「僕が死ぬんですか?まさか、本気で僕に勝てると思っているのですか?」




