第12章 東の国の陰謀 暗殺者の災難
「さて、どうしましょうね」
どうしましょう、というのはズィーイの暗殺者の事だ。
「やらせてみましょうか」
「実際にやらせてみるのですか?」
「そうです。僕が囮になりましょう。リロン所長は僕が殺されたら相手を捕まえてください」
「殺されたら、って本当に殺されるつもりですか?」
「まさか」
ルークは笑っている。少し不敵に笑っていた。
「簡単に殺されたりはしませんよ。殺されたように見せかけます」
ルークには何か妙案があるようだった。
「ロックが居てくれればもっと簡単なのですが、どこに行ってしまったのやら」
ロックは朝からずっと戻ってきていない。相手がいつ暗殺に来るのかが判らないのでロックを待ってはいられなかった。
ルークは逆に相手に隙を見せて襲わせる、というのだ。リロンの身はバルバロスとディーが付いている。ロン=スアルは剣も魔道士としてもあまり役に立たなかったのでユスティとサキの護衛に回ってもらう。
各々の配置を決めるとルークは研究所を出た。
「さて、どこで襲ってきてくれるのかな」
ズィーイ皇国の魔道士との対決をルークは楽しんでいるかのようだった。
ルークは街への街道ではなく海沿いの道を選んで散歩しているかのようにゆっくりと歩いている。
道の海側には隠れる場所はないが反対側にはいくらでも隠れる場所がある。相手は狙う気であればいくらでも隠れて魔道を放てる。
しばらく歩いていても相手は襲って来なかった。
「まさか、僕が出たことに気づいていないとか?」
「そんなわけがなかろう」
姿は見えなかったが声がした。ルークは気が付いていなかったがズィーイ皇国なまりの話し方だった。
「なんだ、いきなり襲っては来ないんだな」




