第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅳ⑨
「だとすると、どうなるんだ」
「そもそもリン次官はザグレブに暗殺されに来た、ということだ」
「それは本人は」
「勿論知らないだろう。国に自らの命まで捧げるようには見えなかったからな」
シェラックはリンと会ったことがあったか?とロックは思ったが陰からでも見物に行ったのだろうと、それ以上考えることを止めた。聞いても言わないだろうからだ。
「ズィーイ皇国からするとただの使い捨てだったということなんだな」
「まあ、私の想像の域を出ないがな」
シェラックは独自の情報網をもって見聞きしたことを踏まえて言っている。合っている確率は高いんじゃないかとロックは思った。
「それで俺はどうしたらいいと思う?」
「どうするも何もルークを暗殺される心算なのか?」
「そんな訳が無いどろう」
「だとするとやられる前にやるしかないんじゃないか?」
暗殺される前に暗殺者を殺せ、というのだ。
「そうなるか。暗殺者のことはつかんでいるんだろうな?」
「それはお前と同じくらいには把握しているさ」
「判った。少しだけ手伝ってくれないか」
「何をだ?」
ロックがシェラックに頼みごとをするなんて珍しい。特に魔道士としては手伝ってもらいたくないだろう、とシェラックは思っていた。
「いや、一応特定はしているんだが、万が一間違っていたら」
「そう言うことか。判った、誰か一緒に行かせてズィーイの暗殺者を特定させよう」
「いや、誰かじゃなくてお前が来てくれ」
「私が?どうして?」
「保険だよ」




