第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅳ⑥
「今戻りました」
ラナンはリン次官の元に報告に戻っていた。
「それで?」
「はい、シューリーにはちゃんと釘を刺しておきマシした。今のところはただ見張るだけだと」
ラナンは嘘の報告をした。元々全てをリン次官に話すつもりが無かった。
「そうか、くれぐれも暴走させないようにな」
ラナンの報告を聞いてそれを鵜呑みにしてしまう。リン次官は優秀ではあったが経験が圧倒的な足りていなかった。
「さて」
リン次官の部屋を出たラナンは暗部にいくつかの指示を出すとまたザグレブの街に消えて行った。
「また来たのか」
「そう邪険にするなよ」
「私はお前には用がないからな」
「俺も特に用は無い」
「だったら何故私の所に来たんだ?」
「ただの暇つぶしさ」
ロックは完全にシェラックを揶揄っている。シェラックを揶揄う楽しさを憶えてしまったのだ。シェラックとしては堪ったものではない。
「ズィーイ使節団の動向でも探りに行ったんじゃないのか?」
シェラックはロックの動向をちゃんと掴んでいることを伝えるため態とそう言った。勿論ロックも判っている。
「ラナンとか言う奴の跡を付けていたんだが気づきもしないんで嫌になって放置して来た」
ロックとしては剣士としての気配は無理だとしてもせめて魔道でも追跡者のロックに気づいてもらいたかった。ラナンにはその素振りが全く見えなかったのだ。
「あれなら簡単に斬れる」
「簡単に、ってアレはアレば相当な魔道士なんだぞ?」
「あの程度では簡単に斬れるさ。面白くもなんともないがな」




