第12章 東の国の陰謀 東からの使者Ⅲ⑧
「ロック様」
「シェラックの手の者か」
ロックが声を掛けられたのはシェラックの元を離れて魔道研究所真の帰る途中だった。
「早いな」
「はい。魔道研究所を見張っている者がおります故」
「なるほどな。しかしルークやリロン、さらに俺にも気づかれないと言うことは、相当の手練れだということだな」
「ズィーイ皇国一だということでした」
「本当か?」
「いいえ、流石にそれはないようです。ただかなりの高位魔道士であることは間違いありません」
「そうだな。それでその魔道士の居場所を掴んだということか」
「いいえ、違います。その魔道士とズィーイ皇国外交次官との連絡役の者です」
「なるほど、それなら魔道の技もそれほどではない、ということか」
ロックは少しがっかりしている。剣士ではない高位魔道士と戦ってみたい、という思いもあるのだ。
「今、うちの者が付けています。行かれますか?」
「そいつは暗部という奴なのか?」
「いいえ、少し違うようです。正式な使節団の一員というところでしょうか」
「それは拙いんじゃないか?」
「では暗部の者の所在を掴めるまで待たれますか?」
「そうだな。いや、そいつにも会ってみたい」
「判りました、では参りましょう」
シェラックの配下の者の姿は見えない。ただ声がするだけだ。
ロックが声に付いて行くとどうも城に向かっている様だった。魔道士と接触したあと、報告の為に城に戻るのだろう。あまり城に高い場所での声掛けはしたくなかった。
「おい、少しいいか?」
姿を確認してロックは直ぐに声を掛けた。
「は、はい。なんでしょうか」
ロックはその少し挙動不審な態度に、確かに暗部と呼ばれるような者ではない、と確信するのだった。




